犬のクッシング症候群、薬代は?症状やかかりやすい犬種を解説

      2026/07/10

愛犬が動物病院を受診した際に、クッシング症候群と診断された場合、薬代が心配になりますよね。

そんなとき、「そもそもクッシング症候群って?」、「毎月どれくらいの費用がかかるのだろう?」、「治療はいつまで行うのだろう?」といった疑問をお持ちではありませんか?

クッシング症候群は、副腎と呼ばれる臓器から分泌される「コルチゾール」というホルモンが過剰になる病気です。中高齢犬に多く見られ、多飲多尿に加えさまざまな症状を引き起こし、生活の質が低下することが少なくありません。また、多くの場合は治療が生涯にわたることをご存知でしょうか?

今回は、現役獣医師の意見をもとに、犬のクッシング症候群の薬代の目安やなりやすい犬種、症状、よくある質問についてわかりやすく解説します。

最後までお読みいただき、犬のクッシング症候群について正しい理解を深めましょう。

この記事でわかること
  • クッシング症候群の治療費と毎月かかる薬代の目安
  • 加齢と間違えやすい初期症状や好発犬種のチェックポイント
  • 長期間続く投薬治療と愛犬の体調を守る食事の管理方法
うさパラ コンテンツ制作チーム

【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム

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【犬のクッシング症候群】「長期的な投薬治療」が必要なため、薬代は高くなりやすい

犬のクッシング症候群は薬代が高くなりやすいと言われますが、毎月の費用の目安はどれくらいなのでしょうか?クッシング症候群は、その病態から完治が難しいケースが多いため、症状をコントロールするために長期間の投薬が必要となります。

薬代が高くなりやすい理由と、費用の目安をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

(参考文献:Cushing’s Disease in Dogs | VCA Animal Hospitals

犬のクッシング症候群の薬代はなぜ高くなりやすいのか

犬のクッシング症候群の内科治療に主に用いられる「トリロスタン」という薬は、薬価が他の薬と比べて高いことが、その理由の一つとして挙げられます。

また、毎日継続して投与する必要があり、体重が重い犬ほど薬の使用量が増えます。

さらに、薬の効果を確認するために定期的な血液検査やホルモン検査が必要となることが少なくありません。

そのため、長期的に見ると治療費が高額になりやすい病気といえます。

(参考文献:Dog Cushings Treatment Cost in Dogs | SpectrumCare

犬のクッシング症候群の薬代と毎月かかる費用の目安

では、実際に犬のクッシング症候群の薬代と毎月かかる費用の目安はどれくらいなのでしょうか?

費用の目安は、使用する薬や検査の頻度などによって大きく異なります。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

毎月の薬代

前述の通り、犬のクッシング症候群の治療薬には「トリロスタン」が一般的に使用されます。その薬代だけであれば、毎月1~2万円程度かかると考えられます。

しかし、クッシング症候群では、感染症や糖尿病、高血圧などの合併症を併発することが少なくありません。その場合は、上記の治療よりさらに高額になる可能性があります。

(参考文献:Dog Cushings Treatment Cost in Dogs | SpectrumCare

定期検査の頻度と費用

犬のクッシング症候群では、

  • 血液検査
  • 尿検査
  • 腹部超音波検査
  • ACTH刺激試験

といった検査が定期的に行われることが一般的です。

特に、治療を開始した直後は、薬の調節のために2週間前後で再検査が行われることも少なくありません。

その後、安定すれば1~3ヶ月ごとに定期検査が行われます。費用は、検査内容により大きく変動するものの、目安としては2~5万円程度であることが多いです。

(参考文献:Cushing’s Disease in Dogs: Symptoms, Diagnosis & Treatment | SpectrumCare

年間でかかるおおよその総額

愛犬がクッシング症候群と診断された場合、その診断に必要な検査や薬代を含め、初年度の費用の目安は約12~45万円と言われています。

ただし、これは一般的な内科治療を行った場合の金額であり、

  • 診断にCT/MRI検査を行う
  • 副腎腫瘍の手術を行う
  • 下垂体腫瘍に放射線治療を行う

といった高度な検査や治療を行った場合は、さらに金額が高くなることも少なくありません。

病状が安定するまでは、高額な治療費がかかることが一般的です。

(参考文献:Dog Cushings Treatment Cost in Dogs | SpectrumCare

犬のクッシング症候群で見られる症状

では、クッシング症候群を発症した場合、愛犬にどのような症状が見られるのでしょうか?

クッシング症候群では、特徴的な症状がいくつか知られています。

具体的に詳しく見ていきましょう。

(参考文献:Cushing’s syndrome | Cornell University College of Veterinary Medicine

水をよく飲む・尿が増える

クッシング症候群のもっとも典型的な症状は「多飲多尿」です。その頻度は、クッシング症候群の症例の80~90%でみられると言われています。

健康な犬の飲水量は、体重あたり約50~80mlですが、クッシング症候群では100ml/kgを超えることも少なくありません。自身の診察でも、愛犬の多飲多尿をきっかけに来院される方が非常に多いと感じています。

食欲が異常に増える

犬のクッシング症候群では、体内にコルチゾールが多量に分泌されることにより、食欲が異常に増加することが知られています。そのため、多くの症例で、体重の増加や肥満が見られることがあります。

しかし、飼い主様が「よく食べるのは健康そのもの」と思い込んでしまい、そのことが病気の発見を遅らせる一つの要因になることも少なくありません。

そのため、日頃から体重を測定しておくことで、病気の早期発見につながります。

お腹がぽっこり膨らむ

犬のクッシング症候群では、コルチゾールの作用により筋肉が減少し腹筋が薄くなることから、お腹がぽっこり膨らんだように見えることがあります。その他、上述の通り体重が増加し脂肪が増えることや、お腹の臓器が大きくなることで、さらにお腹がぽっこり膨らんだように見えることが少なくありません。

このことは通称「ポットベリー」と呼ばれています。体重の増加がなくてもお腹だけが目立つ場合でも、注意が必要です。

毛が抜ける・皮膚が薄くなる

犬のクッシング症候群では、コルチゾールの作用により、毛が抜けやすくなったり、皮膚が薄くなったりすることがあります。

特に、痒みがない上に、左右対称に毛が抜けている場合は、クッシング症候群をはじめとしたホルモンの病気による脱毛であることが少なくありません。

また、皮膚炎や寄生虫などの感染症が起こりやすくなることが多いです。繰り返す皮膚炎から細かい検査が行われ、クッシング症候群が判明するケースもよくあります。

疲れやすい

犬のクッシング症候群では、コルチゾールの作用により筋肉が減少し、疲れやすくなることがあります。典型的なケースでは、暑くないのにパンティングがよく見られたり、お散歩で歩く距離が短くなったりすることが多いです。

上述した体重の増加が、疲れやすさに拍車をかけるケースも少なくありません。

また、甲状腺機能低下症や心臓のトラブルを併発した際にもよく見られる症状です。

クッシング症候群になりやすい犬種

ここまでは、クッシング症候群の治療費と主な症状について解説しました。

では、犬のクッシング症候群はどのような犬種で多く見られるのでしょうか?クッシング症候群は、日本で多く飼育されている小型犬でもよく見られる病気です。

具体的な犬種を詳しく見ていきましょう。

(参考文献:Cushing’s syndrome | Cornell University College of Veterinary Medicine

ミニチュア・ダックスフンド

ミニチュア・ダックスフンドは国内でも飼育頭数が多く、クッシング症候群の発症例も比較的多く報告されています。私自身の診察でも、クッシング症候群を発症したミニチュア・ダックスフンドをよく診察します。

特に7歳以上の中高齢期では、前述したよく見られる症状が起きていないか、日頃から体調の変化に注意してあげましょう。特に毛並みの変化やお腹の膨らみなど、初期症状を見逃さないことが大切です。

トイ・プードル

トイ・プードルも国内での人気が高く、多く飼育されている犬種の一つですが、クッシング症候群が比較的多く見られる犬種として知られています。私自身の診療経験でも、中高齢のトイ・プードルで多飲多尿や左右対称の脱毛をきっかけに診断へ至るケースをよく経験します。

もともと毛量が豊富な犬種のため、被毛の変化に気付きやすい一方で、加齢による変化と思われて受診が遅れることも少なくありません。

ヨークシャー・テリア

ヨークシャー・テリアもクッシング症候群の好発犬種の一つとして知られています。特に中高齢になると、食欲の増加や多飲多尿、腹部膨満などの症状が見られることがあります。

体が小さいため症状の変化が目立ちにくいこともありますが、飲水量の増加や被毛の変化など、日頃の小さな異変に気付くことがクッシング症候群の早期発見につながります。

「クッシング症候群 犬 薬代」に関するよくある質問

Q1.クッシング症候群の薬は一生必要ですか?

犬のクッシング症候群では多くの場合、投薬による治療は生涯継続します。

クッシング症候群はホルモン分泌の異常が原因であり、病態により異なるものの、病気そのものを完全に治すという治療より、症状をコントロールする治療を行うことが一般的です。ただし、慢性腎臓病などの他の病気を併発することで、一時的に休薬することがあります。

また、長期間投薬を行っている場合、稀に副腎からのホルモンの分泌が減少し、減薬や休薬をすることもあります。しかし、自己判断で投薬を中止すると症状が再発したり悪化したりする可能性があるため、必ず獣医師の指示に従って治療を続けることが重要です。

(参考文献:Cushing Disease (Pituitary-Dependent Hyperadrenocorticism) in Animals | Merck Veterinary Manual

Q2.おやつは与えてもいいですか?

おやつを完全に禁止する必要はありませんが、高脂肪・高カロリーのものは控えるのが望ましいです。

クッシング症候群の犬では、コルチゾールの影響から肥満や脂質代謝異常のリスクが高まる可能性があるため、低脂肪・低カロリーのおやつを選ぶ方法があります。食事管理は愛犬の状態により異なるため、獣医師に相談しましょう。

また、どんなおやつでも与え過ぎは肥満の原因になるため、1日の摂取カロリーを考慮しながら適量を心がけることが大切です。もし体重が増加してしまう場合は、ドライフードを体重管理用のものに切り替えることも、カロリーを管理する一つの方法です。

Q3.通販の薬を使ってもいいですか?

犬のクッシング症候群の治療は長期間にわたるため、薬代を少しでも抑えたいと考える飼い主様も少なくありません。

しかし、クッシング症候群の治療薬は、適切な診断と定期的な検査を前提に使用する必要があります。自己判断で薬を購入・使用すると、投与量の誤りや副作用の発生につながる可能性があるため、注意が必要です。

また、愛犬の状態や検査結果に応じて薬の投与量を調整する必要があるため、通販の薬を利用する場合でも、定期的に獣医師の診察や検査を受けながら使用することをおすすめします。

費用に関して不安がある場合は、薬の入手方法や治療費の見通しも含め、 自己判断せず、まずはかかりつけの獣医師に相談しましょう。

【まとめ】費用の見通しと正しい食事管理で、愛犬との穏やかな毎日を守ろう

犬のクッシング症候群は、長期的な投薬と定期検査によって症状をコントロールしていく病気です。

薬価が高く検査も高額であるため、毎月の薬代や検査費用は継続的にかかりますが、早期発見と適切な治療によって、良好な生活の質を維持できることが多いです。

愛犬のためにも、費用に関して不安がある場合は、自己判断せず一度かかりつけの獣医師に相談しましょう。

また、食事管理や体重管理も治療において重要なポイントです。

高脂肪のおやつや人の食べ物を避け、低脂肪・低カロリーの食生活を心がけましょう。

気になる症状がある場合は、様子を見ずに早めに受診するよう心がけましょう。

監修者コメント
監修者の写真

クッシング症候群は中高齢犬で比較的よく見られる内分泌疾患ですが、適切な治療を継続することで症状の改善や生活の質の維持、長期的な予後が期待できる病気です。 特に多飲多尿や食欲増加は初期から見られやすい病気のサインです。 しかし、経験上これらの症状は加齢による変化と間違われやすく、病状が進行してから動物病院を受診する飼い主様が少なくありません。 そのため、気になる症状があれば早めに動物病院へ相談するよう心がけましょう。 また、治療中は定期検査による経過観察が重要です。 費用に関しても獣医師と連携しながら、愛犬に合った治療を続けていくことが大切です。

監修・うさパラ コンテンツ制作チーム

 - 獣医師コラム

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