2025/11/13
短い足でちょこちょこと歩く姿がたまらなく愛らしいマンチカン、そのユニークな魅力で、今や大人気の猫種です。
しかし、その人気の一方で、インターネット上では「マンチカン 飼っては いけない」「飼って後悔した」という、不安を煽るような言葉を目にすることがあります。
「あんなに可愛いのに、なぜ?」「何か重大な問題があるの?」と、家族として迎えることを検討している方にとっては、深刻な悩みですよね。
この記事では、なぜマンチカンが「飼ってはいけない」と言われることがあるのか、その背景にある5つの具体的な理由を徹底的に解説します。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
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目次
マンチカンとは?
マンチカンは、その短い四肢が特徴的な猫種です。
この短足は、骨の成長に関わる遺伝的な背景によるものとされ、近年では特定の遺伝子の変異が関連していることが報告されています。
「短足=即ち病気」というわけではありませんが、その特殊な骨格ゆえに、関節や背骨への負担がかかりやすいことは事実です。
そのため、痛みが出ないよう、日々の暮らしの中で飼い主さんが配慮してあげることが非常に重要になります。
(参考文献:MUNCHKIN BREED GROUP (MK/MKL)|The International Cat Association)
マンチカンを飼ってはいけない理由①短肢ゆえにできる運動が限られる
マンチカンは走るのが速く活発ですが、足が短いために高い場所からのジャンプや、急な段差の上り下りは苦手な傾向があります。
特に、高い所から降りる際の着地の衝撃は、関節や背骨に負担をかける可能性があります。
猫は年齢を問わず関節炎になりやすいことが知られており、短足のマンチカンはそのリスクがより高いとも考えられるため、痛みが出ていないか日頃からよく観察することが大切です。
(参考文献:Genetic Welfare Problems of Companion Animals|The International Animal Welfare Science Society)
マンチカンを飼ってはいけない理由②高所中心の住環境が合わない
猫は本来、高い場所を好みますが、マンチカンにとっては高所への上り下りがリスクになります。
そのため、一般的な猫用に設計された背の高いキャットタワーなどは、マンチカンの住環境には合わない可能性があります。
彼らの行動欲求を満たしつつ安全を確保するには、段差が小さくステップ数の多いタワーを選んだり、家具を隣接させて階段状にし、横移動で登れるようにしたりするなど、飼い主側で「横移動中心」のレイアウトに工夫する必要があります。
マンチカンを飼ってはいけない理由理由③肥満リスク
マンチカンにとって肥満は最大の敵です。
ただでさえ負担がかかりやすい足腰に、体重オーバーによる負荷が加わると、関節炎やヘルニアなどの痛みを伴う病気を発症するリスクが劇的に高まります。
また、肥満は糖尿病や脂肪肝など、全身の病気の原因にもなります。
適切な体重管理は、マンチカンと暮らす上で後悔しないための回避策と言えるでしょう。
獣医師の指導のもと、定期的な体型チェックと食事管理を行うことが不可欠です。
(参考文献:Environmental Risk Factors for Diabetes Mellitus in Cats|PubMed)
マンチカンを飼ってはいけない理由④見た目イメージとのギャップ
「短足だから大人しい」というマンチカンへの先入観は、多くの場合、現実と異なります。
彼らは高く跳ぶのは苦手でも、床を素早く走り回ったり、非常に活発です。
SNSなどで見かける「ぬいぐるみのように静かな姿」と、実際の有り余るエネルギーとのギャップが、「こんなはずじゃなかった」「いたずらが多い」という飼い主の後悔や、「マンチカンは飼ってはいけない」という誤解を生む原因になります。
1日2回の遊び時間や知育玩具で欲求を満たし、滑らない床や低い段差のスロープで安全な「横移動」の動線を確保するなど、その特性に合った環境を整えてあげれば、マンチカンは最高の遊び相手になってくれます。
マンチカンを飼ってはいけない理由⑤お手入れの大変さ
短足ゆえに体勢がとりにくく、自分での毛づくろい(グルーミング)が隅々まで行き届かないことがあります。
特に長毛種は毛玉ができやすく、飼い主さんによる毎日のブラッシングが欠かせません。
また、爪切りや足裏のケアも、無理のない体勢を保てるよう、台の上に乗せたり、クッションで体を支えたりといった工夫が必要です。
もし嫌がるそぶりを見せたら、それは痛みや不快感のサインかもしれません。(参考文献:Grooming your cat|International Cat Care)
後悔しないための条件
「マンチカンを飼ってはいけない」のではなく、後悔しないために「迎える前に知っておくべき条件」があります。
正しい知識の理解
まず、マンチカンの短足が遺伝的背景による形態的な特徴であり、病気そのものではないこと、しかし関節などへの負担や痛みのリスクは常にあることを正しく理解することが前提です。猫の関節炎は珍しい病気ではなく、若いうちから発症することもあります。「段差を避ける」「毛づくろいが減った」といった初期サインを見逃さないようにしましょう。
飼育環境を整備
マンチカンが安全に、かつ楽しく暮らせるよう、家の中をカスタマイズする必要があります。床には滑りにくいマットを敷き、ソファやベッドにはスロープやステップを設置して、ジャンプによる着地の衝撃を減らします。キャットタワーは段差を小さく設計し、家具の配置を工夫して「横移動」で高い場所へ行けるようにしてあげましょう。
体重管理
厳格な体重管理は、マンチカンの飼い主の最も重要な責務です。毎月体重を測るだけでなく、ご家庭で体型チェックを行い、肋骨が軽く触れるか、ウエストにくびれがあるかを確認しましょう。急激なダイエットは猫にとって危険なため、獣医師と相談しながら、適切な食事量と遊び(運動)で、健康的な体型を維持しましょう。
マンチカンに関する誤解
「病弱」「運動音痴」「大人しい」。これらはマンチカンへの大きな誤解です。
見た目のイメージと、獣医学的な事実は異なることも。その真相を一つずつ解説します。
「マンチカンは8割が病気」?
そのようなデータは出典が不明確です。ただし、猫全体として関節炎(OA)は非常に多く見られる病気であり、マンチカンも例外ではありません。リスクを正しく理解し、体重管理や環境整備で「予防」することが大切です。
「運動能力が低い」?
ジャンプのような上下運動は苦手ですが、走る(水平方向の)運動能力は非常に高く、遊び好きです。動きの種類が違うだけで、運動が嫌いなわけではありません。
「おっとりしている」?
個体差が大きく、非常に活発な子も多いです。もし静かすぎると感じたら、それは性格ではなく、どこかに痛みや不快感を隠しているサインかもしれません。
(参考文献:Genetic Welfare Problems of Companion Animals|The International Animal Welfare Science Society)
「マンチカンを飼ってはいけない」に関するよくある質問
Q1. マンチカンの寿命は短命ですか?
A1. 短足だからといって短命であるという根拠はなく、一般的な室内猫の平均寿命(12〜15年)と大きく変わりません。大切なのは、遺伝性疾患のリスク(親猫の検査歴を確認する)と、関節炎などの慢性的な痛みを早期に発見し、適切に管理してあげることです。
(参考文献:Munchkin|PetMD)
Q2. オスとメス、性格は違う?
A2. 性格は個体差が非常に大きいです。一概にオスとメスで性格が違うとは言い切れないでしょう。
Q3. 足が短いと、運動能力は低いのでしょうか?
A3. 高さへのジャンプは苦手ですが、走るのは得意で、遊びも大好きです。運動能力が低いわけではありません。段差の小さいキャットタワーを選んだり、床でのおもちゃで遊んだりするなど、その子の体型に合った遊びで欲求は十分に満たせます。
【まとめ】「飼ってはいけない」は誤解。正しくは特性を理解し、向き合っていきましょう
「マンチカン 飼っては いけない」という言葉の背景には、その短足という特徴が持つ遺伝的な背景と、関節などへの負担に対する懸念があります。
しかし、そのリスクを正しく理解し、「高所からのジャンプを避ける住環境」「徹底した体重管理」「定期的な健康診断」といった適切なケアを行えば、マンチカンは十分に健康で幸せな生活を送ることができます。
「飼ってはいけない」と諦める前に、その特性と生涯向き合う覚悟がご自身にあるかどうか、ご家族でよく話し合ってみてください。
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「マンチカンを飼ってはいけない」という噂に不安を感じていませんか。その背景には、短足という体型ゆえの健康リスクや、必要な環境整備への覚悟が問われているからです。この記事では、後悔しないために知るべき「理由」と、具体的な「飼育方法」を整理しました。可愛いだけで迎えず、特性と生涯の責任を理解するきっかけになれば幸いです。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム