日本犬の代表格として、国内はもちろん海外でも絶大な人気を誇る柴犬。
その凛々しい立ち姿や愛くるしい表情に、「いつか柴犬と暮らしたい」と憧れを抱く方も多いでしょう。
しかしその一方で、インターネット上では「柴犬 飼っては いけない」という、少しドキッとするような言葉を目にすることもあります。
なぜ、これほどまでに愛される柴犬が、そのように言われてしまうのでしょうか?
この記事では、「柴犬は飼ってはいけない」と言われる背景にある10の具体的な理由と、飼い主が「もう手に負えない…」と感じてしまう瞬間について深く掘り下げて解説します。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 資格保有者が在籍。
目次
- 「柴犬は飼ってはいけない」は本当?
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由①警戒心・攻撃性
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由②頑固さ
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由③探索欲求
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由④ 吠えやすさ・縄張り意識
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑤外排泄へのこだわり
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑥抜け毛
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑦アレルギー傾向
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑧住環境・規約制約
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑨シニアの認知機能低下
- 柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑩怖がり
- 柴犬の手に負えない瞬間は
- それでもやっぱり魅力的!柴犬ならではの素晴らしい個性
- 「柴犬は飼ってはいけない」に関するよくある質問
- 【まとめ】柴犬は「飼ってはいけない」のではなく「十分な覚悟と準備が必要」な犬種
「柴犬は飼ってはいけない」は本当?
柴犬は、その忠実さ、感覚の鋭敏さ、そして警戒心の強さから、古くから日本の猟犬や番犬として活躍してきました。
れらの性質は本来素晴らしい長所ですが、現代の家庭犬として暮らす上で、子犬期の社会化(人や環境に慣らすこと)や、飼い主さんの接し方を間違えると、吠えや噛みつき、お手入れの拒否といった問題行動に繋がることがあります。
日本の公的な飼育ガイドラインでも、社会化としつけの重要性は繰り返し強調されています。
つまり、「飼ってはいけない」と言われる本当の理由は、柴犬自身にあるのではなく、その特性を理解せずに、十分な準備(時間・知識・環境)ができていない人が飼うことの難しさにあると言えます。
(参考文献: SHIBA|FCI(国際畜犬連盟))
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由①警戒心・攻撃性
柴犬は、見知らぬ人や物音に対して本能的に強い警戒心を示すことがあります。
これは番犬としての名残ですが、行き過ぎると過剰な吠えや、恐怖心からの防衛的な攻撃行動(唸る・噛みつく)に繋がることも。
特に、爪切りや耳掃除など、体に触られることに強い抵抗を示す子もいます。
子犬期に、様々な人や音、場所、そしてお手入れに、焦らず少しずつ慣らしていく「社会化」を行うことが、将来的な問題を防ぐ上で非常に重要です。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由②頑固さ
柴犬の「頑固さ」は、時に飼い主を悩ませるかもしれません。
賢いがゆえに自分の意思をしっかり持っており、納得しないことにはテコでも動かないことがあります。
散歩中に突然歩かなくなる「拒否」はその代表例です。
この頑固さには、力でねじ伏せるのではなく、小さなステップで成功体験を積ませ、「できたら褒める」というポジティブなアプローチが有効です。
ご家族全員でルールを統一し、一貫性を持って接することが、信頼関係を築き、しつけを進める近道です。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由③探索欲求
元々が猟犬である柴犬は、匂いを嗅いだり、動くものを追いかけたりする「探索欲求」が非常に強い犬種です。
この欲求が満たされないと、散歩で強く引っ張ったり、家の中の物を壊したりといった問題行動に繋がることがあります。
毎日の散歩はもちろん、おやつを探させるノーズワークや、頭を使う知育玩具などを取り入れ、体だけでなく頭脳も満たしてあげることが大切です。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由④ 吠えやすさ・縄張り意識
自分のテリトリー(家や庭)を守ろうとする意識が強く、来客や家の前の通行人、物音などに反応して吠えやすい傾向があります。
これは社会化不足や、吠える対象への管理不足が原因であることが多いです。
吠えは近隣トラブルの原因にもなりやすいため、吠えなくても大丈夫だと教えるトレーニング(来客=おやつがもらえる、など)や、落ち着ける環境作りが必要です。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑤外排泄へのこだわり
柴犬の中には、「外でしかトイレをしない」という強いこだわりを持つ子がいます。
これは、悪天候の日や、犬や飼い主が病気になった時に大きな問題となります。
環境省のガイドラインでも、災害時の避難などを想定し、室内でも安心してトイレができるように慣らしておくことが推奨されています
成犬になってからでも、根気強く室内トイレのトレーニングをやり直すことは可能です。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑥抜け毛
柴犬は、密集した下毛を持つダブルコートの犬種です。
そのため、春と秋の換毛期には、想像を絶するほどの大量の毛が抜けます。
この抜け毛を放置すると、皮膚の通気性が悪くなり、皮膚病の原因にもなりかねません。
毎日のブラッシングと、こまめな掃除は必須です。
(参考文献:Shiba Inu|The American Kennel Club)
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑦アレルギー傾向
柴犬はアトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚疾患を発症しやすい犬種として知られています。
い頃から発症することも多く、生涯にわたる食事管理、スキンケア、場合によっては投薬が必要になることも。
継続的なケアと、それに伴う医療費がかかる可能性も理解しておく必要があります。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑧住環境・規約制約
柴犬の吠え声や活発さは、集合住宅や住宅密集地では、騒音などのトラブルの原因になる可能性があります。
また、賃貸物件などでは、そもそも中型犬である柴犬の飼育が規約で禁止されている場合もあります。
迎える前に、ご自身の住環境が柴犬の飼育に適しているか、規約などを必ず確認しましょう。
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑨シニアの認知機能低下
これは柴犬に限った話ではありませんが、高齢になると認知機能の低下(認知症)を発症する可能性が高くなります。
夜鳴き、徘徊、トイレの失敗など、介護が必要になることも少なくありません。
愛犬のシニア期を見据え、将来的な介護の可能性も考えておく必要があります。
(参考文献: Managing Cognitive Dysfunction and Behavioral Anxiety|American Animal Hospital Association)
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由⑩怖がり
警戒心の強さは、時に「怖がり」という形で現れることがあります。
雷や花火、掃除機の音、あるいは特定の場所や人を極度に怖がり、パニックになったり、防衛的に吠えたり噛んだりすることも。
子犬の頃からのポジティブな経験の積み重ねが重要ですが、生まれ持った繊細な気質を理解し、寄り添う姿勢が求められます。
柴犬の手に負えない瞬間は
飼い主さんが「もう無理かも…」と感じてしまう代表的な瞬間と、その基本的な対処の考え方です。
来客に激しく吠える
吠え始める前に、お客さんから少し離れた場所でおやつを与え、「静かにできたら良いことがある」と教えます。
散歩で他の犬に突進する
他の犬が見える前にUターンしたり、おやつを使って飼い主さんに注目させたりして、興奮させないようにします。
爪切りや耳掃除を嫌がる
無理やり押さえつけるのではなく、「足先に触る→おやつ」「爪切りを見せる→おやつ」のように、お手入れの各ステップを分解し、少しずつ良いイメージと結びつけていきます。
これらの対応は、専門的なトレーニング技法の応用です。もしご自身でうまくいかない場合は、無理せず早めに獣医師やドッグトレーナーに相談しましょう。
それでもやっぱり魅力的!柴犬ならではの素晴らしい個性
もちろん、柴犬にはたくさんの魅力があります。
飼い主や家族への深い忠誠心、状況をよく理解する賢さ、自分で体を綺麗に保つ清潔好きな一面、そして日本の風土に合った丈夫さと凛とした美しさ。
適切な社会化とトレーニング、そして愛情をもって接すれば、都会の生活の中でも、かけがえのない素晴らしいパートナーとなってくれるでしょう。
「柴犬は飼ってはいけない」に関するよくある質問
Q1. 柴犬の性格はきついですか?
A1. 「きつい」というよりは、「自分の意思をしっかり持っている」と捉えるのが適切です。納得しないことには従わない頑固さもありますが、信頼関係を築き、「褒めて伸ばす」方法で接すれば、非常に賢く物覚えの良い犬種です。
Q2. 柴犬はどんな性格の飼い主に向いていますか?
A2. 柴犬の特性(頑固さ、独立心など)を理解し、尊重できる人。そして、毎日の十分な運動と、根気強いしつけに時間をかけられる人です。家族全員でルールを統一し、リーダーシップをもって接することが大切です。
Q3. 柴犬の匂いは臭いですか?
A3. 柴犬は比較的体臭が少ない犬種です。ただし、抜け毛の手入れを怠ったり、皮膚病になったりすると臭いが出ることがあります。定期的なブラッシングやシャンプー、耳掃除、歯磨きといった基本的なケアをきちんと行っていれば、過度に心配する必要はありません。
【まとめ】柴犬は「飼ってはいけない」のではなく「十分な覚悟と準備が必要」な犬種
結論として、「柴犬は飼ってはいけない」のではなく、その強い個性と要求に応えるための十分な覚悟と準備が飼い主側に求められる犬種である、ということです。
子犬の頃からの適切な社会化、十分な運動と知的刺激、一貫性のある優しいしつけ、そして皮膚やシニア期の健康管理。
これらをしっかりと行い、柴犬が安心して暮らせる環境を整えることができれば、「手に負えない瞬間」は減らすことができます。
迎える前に、ご自身の時間、費用、住環境、そして何よりも柴犬への深い理解と愛情があるか、ご家族全員でよく話し合い、責任ある決断をしてください。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム