2025/12/26
「ドーベルマンを飼わないで」という強い警告の裏には、単なる「怖い」という感情論だけではなく、飼い主が負うべき重い「社会的な責任」と「法的なリスク」が隠されています。
ドーベルマンの持つ高い知性や運動能力は、正しく導けば素晴らしい家庭犬になります。
しかし、その力を管理しきれなければ、周囲に恐怖を与え、万が一の事故の際には重大な責任を問われかねません。
この記事では、獣医師の視点から「飼わないで」と言われる5つの具体的な理由を整理し、その上で「制御できる強さ」を育てる上手な飼い方を解説します。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
- 「ドーベルマンを飼わないで」…その警告に隠された「社会的な責任」
- ドーベルマンを飼わないでと言われる理由①周囲に与える「恐怖」
- ドーベルマンを飼わないでと言われる理由②万一の咬傷・転倒事故の法的責任
- ドーベルマンを飼わないでと言われる理由③「断耳・断尾」の倫理的な議論
- ドーベルマンを飼わないでと言われる理由④自治体による飼育規制(特定犬)
- ドーベルマンを飼わないでと言われる理由⑤不適切な飼育がもたらす危険性
- ドーベルマンの性格・気質
- ドーベルマンの上手な飼い方
- 「ドーベルマン 飼わないで」に関するよくある質問
- 【まとめ】「犬が好き」だけでは飼えない犬種。社会への責任を負う覚悟がある人が、ドーベルマンの飼い主の資格
「ドーベルマンを飼わないで」…その警告に隠された「社会的な責任」
ドーベルマンのような大型犬を飼うことは、その犬の幸せを守ると同時に、社会の安全を守るという重い責任を伴います。
ドーベルマンは非常に賢く、飼い主の指示を素早く学習しますが、それは逆に言えば、飼い主の甘さや不適切な対応によって「望ましくない行動」もあっという間に覚えてしまうことを意味します。
飼い主には、公道での登録や予防注射といった法律を守ることは当然として、散歩中にすれ違う人が感じる「恐怖」を最小限に抑える配慮や、万が一の脱走を防ぐ厳重な管理、そして事故が起きた際の賠償責任まで、社会全体に対する説明責任が求められます。
この“飼い主の責任が前提になる”構図は、他犬種でも共通です。たとえば、警戒心や社会化の重要性が論点になりやすい柴犬飼ってはいけないの記事もあわせて読むと、犬種選びの視点が整理できます。
(参考文献:Doberman Pinsche|The American Kennel Club)
ドーベルマンを飼わないでと言われる理由①周囲に与える「恐怖」
飼い主がどれだけ「うちの子は優しい」と思っていても、その引き締まった体格や低い唸り声は、犬が苦手な人や小さな子供にとって「恐怖」の対象となり得ます。
実害がなくても、「危ない気がする」という理由だけで苦情やトラブルに発展することも。
飼い主が思う「可愛い」と、第三者が感じる「怖い」の間には大きな隔たりがあることを、常に理解しておく必要があります。
ドーベルマンを飼わないでと言われる理由②万一の咬傷・転倒事故の法的責任
ドーベルマンほどの大型犬が事故を起こした場合、その被害は小型犬とは比較にならないほど大きくなりがちです。
被害者への治療費や休業補償といった民事上の重い賠償責任はもちろん、状況によっては刑事責任や行政指導の対象となる可能性もあります。
ドーベルマンを飼わないでと言われる理由③「断耳・断尾」の倫理的な議論
ピンと立った耳や短い尻尾は、ドーベルマンの象徴的なスタイルですが、これは生まれつきではなく、幼少期に外科手術(断耳・断尾)によって作られたものです。
動物福祉の観点から、美容目的で体にメスを入れることに対しては社会的な批判も多く、ヨーロッパの多くの国では禁止されています。
こうした倫理的な議論の的になりやすい犬種であることも、知っておく必要があります。
ドーベルマンを飼わないでと言われる理由④自治体による飼育規制(特定犬)
お住まいの自治体によっては、ドーベルマンを「特定犬(危険犬種)」として条例で指定し、特別な飼育ルールを課している場合があります。
例えば、「檻(おり)の中で飼わなければならない」「標識の掲示が義務」といった厳しい規制です。
国の法律とは別に、こうした地域独自のルールが存在するかを、迎える前に必ず確認しなければなりません。
ドーベルマンを飼わないでと言われる理由⑤不適切な飼育がもたらす危険性
ドーベルマンの持つ規格外の運動欲求や高い知的好奇心を満たしてあげられないと、そのエネルギーは吠え、噛みつき、破壊行動といった深刻な問題行動となって現れます。
賢いがゆえに、退屈やストレスは彼らにとって耐え難い苦痛なのです。
また、関節や胃腸、皮膚などに痛みや不快感があると、それが引き金となって行動が悪化することもあります。
ドーベルマンの性格・気質
ドーベルマンのしつけを難しくしているのは、彼らの「高い知性」です。
飼い主への集中力が高く、トレーニングへの反応も非常に良いため、正しく導けば最高の家庭犬になります。
しかし、その反面、飼い主の指示が一貫していなかったり、甘やかしたりすると、すぐに見抜かれてしまいます。
力や罰で押さえつけるしつけは、恐怖心から防衛的な攻撃行動を引き起こす危険があり、逆効果です。
「週末だけまとめて運動」では足りず、毎日のルーティンとして、体だけでなく頭も使うトレーニングを組み込めるライフスタイルが求められます。
(参考文献:How much exercise does my Doberman need?|PitPat)
ドーベルマンの上手な飼い方
ドーベルマンの力を制御し社会と共生するために、「上手な飼い方」の核心、「訓練」「環境」「運動」についてポイント解説します。
「制御できる強さ」を育てる
ドーベルマンの飼育は、その強大な力を飼い主が安全にコントロールできることが大前提です。「横について歩く」「待つ」「呼び戻す」「離す」「所定の場所で休む」といった基本的なトレーニングは必須です。また、万が一に備え、口輪(マズル)やクレートにもポジティブなイメージで慣らしておくこと(おやつを与えるなど)は、社会に対する重要な配慮であり、犬自身の安全も守ります。
住環境の「二重扉」や「高柵」設計
事故の多くは「脱走」から起こります。玄関や庭の門を二重扉にし、乗り越えられない高さの頑丈な柵を設置するなど、物理的に「絶対に出られない」環境を整えることが飼い主の法的義務でもあります。室内でも、来客時に犬が直接接触しないよう、待機させる部屋を決めたり、ゲートで動線を分離したりする工夫が必要です。
運動と「知的刺激」を与える
毎日の十分な散歩(目安:朝夕30~45分ずつ)に加え、おやつを探させるノーズワークや、頭を使うトレーニング(知育玩具)を10~15分取り入れましょう。体だけでなく「脳」を疲れさせることが、彼らの満足感に繋がります。運動の後は、必ず興奮を鎮めて静かに休ませる「終わりの儀式」を習慣づけましょう。
(参考文献:Enrichment for Dogs|The Ohio State University)
「ドーベルマン 飼わないで」に関するよくある質問
Q1. 初心者には飼育が難しいですか?
一概に「不可」というわけではありません。重要なのは、犬の飼育経験の有無よりも、ドーベルマンの要求に応え続けられるかという「覚悟と環境」です。毎日1時間半以上の運動と30分程度の知的トレーニング(おやつ探しゲームなど)の時間を確保し、玄関の二重扉や高い柵といった安全対策、そして口輪やハーネスに慣れさせる訓練を徹底できるか。これらを確実に実行できるなら可能性はありますが、自信がないなら「飼わない」という判断が愛犬と社会のためになります。
Q2.雨や猛暑日の運動はどうする?
「雨や猛暑の日の運動はどうするのか」という疑問ですが、無理に外に出す必要はありません。その代わり、室内で「脳」を使わせることが重要です。
おやつを隠して探させるノーズワークといった頭を使うトレーニングを組み合わせることで、体力を消耗させずとも犬を満足させ、疲れさせることができます。
運動の後には必ずクールダウンさせ、静かに休ませる習慣をつけることも大切です。
(参考文献:Effect of feeding toy and the presence of a dog owner during the feeding time on dog welfare|PubMed)
Q3.口輪(マズル)は可哀想ですか?
「口輪(マズル)は可哀想ではないか」という声も聞かれます。しかし、適切に慣れさせれば、それは犬を抑圧する道具ではなく、周囲の人に「この子は安全です」と示すための“思いやりの装備”になります。社会に安心感を与えるための非常に有効な安全策です。
(参考文献:Muzzle Training: A proactive approach|muzzleupproject.org)
【まとめ】「犬が好き」だけでは飼えない犬種。社会への責任を負う覚悟がある人が、ドーベルマンの飼い主の資格
「ドーベルマン 飼わないで」という言葉の裏には、周囲への恐怖を最小限に抑え、条例を守り、万が一の事故をゼロにするという、飼い主が負うべき重い社会的責任があります。
飼う前に、自治体の条例、家の防犯レベルの設備(二重扉や高柵)、個人賠償責任保険、そして毎日の運動とトレーニングの計画が整っているかを確認してください。
飼うと決めたら、褒めて伸ばすしつけで「制御できる強さ」を育て、口輪や識別ベストなど「目に見える安全対策」を当たり前に実践し、周囲への配慮を怠らないこと。
もし、今はその全てを整えられないと思うなら、「整うまで飼わない」という選択も、犬の福祉を守る立派な判断です。
その覚悟と準備が整った人だけが、ドーベルマンと社会に誇れる関係を築くことができるのです。
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ドーベルマンは非常に賢く忠誠心が強い反面、飼い主のリーダーシップと十分な運動量が必須です。好発する心臓病(DCM)等の健康リスクへの理解も不可欠です。安易に迎えるのではなく、彼らの能力とリスクを正しく理解し、生涯向き合う「覚悟」がある方にとってのみ、最高のパートナーとなるでしょう。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム