ネコとマタタビと蚊よけ…

      2025/07/24

お願いがあるのよ
あなたが手に持つマタタビ
大事に思うならば
ちゃんと与えて欲しい

マタタビで酔っても
二日酔いするわけでもない
これには理由があるの
だから実家には返さないで

ネコとマタタビと蚊よけ
愛するあなたのため
毎日健やかでいたいから

時々マタタビ買ってね
愛するあなたのため
健康でいさせてー♪ 

(『部屋とYシャツと私』の替え歌:猫松愛理)

はい、1990年代のちょっと懐かしい歌(歳がばれる💦)の替え歌から始まりましたが、「ネコにマタタビ」という諺の通り、本当にネコちゃんはマタタビが好きなんだなという内容が伝わる替え歌ですねーw

ご存知の方も多いかもしれませんが、2021年1月に岩手大学、名古屋大学、リバプール大学、京都大学の共同研究により、ネコがマタタビを好む理由が解明されました。研究発表があった当時はニュースでも凄く話題となり、一時はマタタビがトレンドワードになったほどでした。ということで、今回のうさパラスタッフブログは、ネコちゃんがマタタビを好む理由について簡単にまとめてみたので、最後までお付き合いください。

マタタビと猫

マタタビ反応

マタタビ反応は、ネコちゃんがマタタビの匂いを嗅ぐと、葉や実などに頭や首、体をこすりつけ、ゴロゴロ転がるような行動をとることです。

ネコちゃんがマタタビを好むことは、江戸時代の1704年の書物や浮世絵にも書かれており、マタタビで酔っているような様を「マタタビ踊り」とも言われ知られていたようです。しかし、ネコちゃんたちがマタタビでなぜそんな行動をするのかまでは解明されていませんでした。

そして今回の岩手大学らの研究により、マタタビに含まれるネペタラクトールという成分に蚊よけ効果があり、その効果を得るためにマタタビに体(被毛)をこすりつけ蚊を忌避していたことが立証されました。

再検証と3つの実験

ここから詳しく今回の実験を見ていきます。60年以上前の研究結果を背景に開始された3つの実験を紹介しますね。

マタタビ反応を誘起する活性物質の再検証-1

マタタビ反応について1964年にも研究はされていて、マタタビから抽出した、β-フェニルエチルアルコール、マタタビラクトン、アクチニジンに対しネコちゃんは反応を示すとされていました。

しかし、マタタビラクトンは、イリドミルメシンやジヒドロネペタラクトン、アクチニジンなどが含まれた混合成分で、どれに強く反応を示すのかは明確ではありませんでした。

そこで今回の研究では、マタタビ反応を誘起する活性物質の再検証からスタート。

液体中の複数の化学物質を成分ごとに分離できる技術により、マタタビ葉抽出物の成分を分離し、それぞれネコちゃんに嗅がせて反応を見るという実験を行いました。

その結果、ネペタラクトールという物質に対し強力なマタタビ反応を示したことがわかりました。ネペタラクトールをしみ込ませたろ紙を床に置くと、典型的なマタタビ反応を示し、ネコちゃんは顔や頭をこすりつけ床をゴロゴロ転がったのです。

このネペタラクトール、実は以前の研究では見逃されていた成分なので、今までマタタビ反応の原因がわからなかったのも、仕方なかったのかもしれませんね💦

実験1 多幸感とマタタビ反応に関する実験

マタタビ反応中に酔っぱらっているような行動を示すネコちゃんは、幸福感を感じているかどうかを調べる実験をしました。

当然のごとく、多幸感を強く示した結果が出ています

正確には、高揚や幸福感に働きかけるβエンドルフィンという脳内神経伝達物質の濃度が上昇。これにより、多幸感に関わる神経系が活性化されていることが明らかになったのです。

実験2 大型ネコ科動物のマタタビ反応

動物園に協力してもらい、大型ネコ科動物のジャガー、アムールヒョウ、シベリアオオヤマネコなどに対して、ネペタラクトールによるマタタビ反応を調査しました。

結果、ネコちゃん同様、大型ネコ科動物もネペタラクトールを嗅いでマタタビ反応を示したんですね。

イエネコと大型ネコ科動物が、ネペタラクトールによるマタタビ反応を示すことがわかったことで、以下の推測ができます。

マタタビ反応は、イエネコ・大型ネコ科動物が進化で分裂する前の1000万年以上前のネコ科の祖先が獲得した本能である

これだけ長年受け継がれているものなのだから、何か重要な役割があるのでは?と疑問が残るのですが、次の実験でマタタビ反応を示す理由が解明されます。

床以外の壁や天井などに提示した場合のマタタビ反応 再検証-2

ネペタラクトールの提示を、以前は床でしていましたが、今度はそれ以外の壁や天井に設置してネコちゃんの反応を調べました。

壁や天井にあるネペタラクトールに、ネコちゃんは顔や首を擦り付けはするものの、酔ったように寝転がる行動はしなかったのです。

この実験により、マタタビ反応はネペタラクトールを自分に擦り付ける行動であることが明らかになったのです。

では、1000万年以上前のネコ科の祖先から引き継いだ
ネペタラクトールを体に擦り付ける本能というのは何を意味するのか?

ということで次の実験で全てが解明されます。

実験3 ネペタラクトールとマタタビの蚊に対する忌避活性

ネペタラクトールの蚊の忌避率を確認するため、ネペタラクトールの処置の有無による蚊の寄ってくる数を比較する実験をしました。

(画像左←)

  • ネペタラクトールを付けたネコちゃん (左)
  • ネペタラクトールを付けていないネコちゃん (右)

(画像右→)

  • マタタビの葉によるマタタビ反応をしていないネコちゃん(左)
  • マタタビの葉によるマタタビ反応をしたネコちゃん(右)

岩手大学 研究概要動画より)

これにより、ネペタラクトールの付いたニャンちゃんやマタタビの葉に頭を擦り付けたニャンちゃんは、何も処理をしなかったニャンちゃんたちに比べ蚊の寄ってくる数が半減していることがわかりました。

ということで
ネペタラクトールには蚊に対する忌避活性があることが判明したのです!

まとめ

マタタビ反応は、マタタビに含まれるネペタラクトールを頭や体に擦り付けることで、寄生虫やウイルスなどを媒介する蚊から身を守るという役割があることがわかりました💡

今回紹介した研究結果は、岩手大学のホームページに詳しく掲載されているので、気になる方はぜひそちらもご覧くださいネ!

以上、うさパラでした。

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