育犬ノイローゼでペットを手放したいと思う前に!原因と対策について解説

      2025/10/22

子犬との生活を夢見ていたはずなのに、現実は鳴り止まない夜鳴き、終わらないトイレの失敗、そして自分の時間はゼロ。

「もう無理かもしれない」「いっそ手放した方が…」そんな風に自分を責めていませんか。

その苦しい気持ちは、「育犬ノイローゼ」が原因の可能性があり、あなたがダメな飼い主だからではありません(参考文献:Development and validation of the puppy blues scale measuring temporary affective disturbance resembling baby blues|npj Mental Health Research)。

この記事では、育犬ノイローゼについての説明、まず自分自身を守るための緊急対応と、愛犬との関係をもう一度やり直すための具体的な対策を解説していきます。

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「もう無理、手放したい…」育犬ノイローゼで苦しむ、あなたへ

「子犬を手放したい」と思ってしまう自分を、ひどい飼い主だと責めていませんか。

まず知ってほしいのは、その感情は決して異常ではないということです。

慢性的な睡眠不足や、思い通りにいかないことへの不安、孤立感は、誰の心にも大きな負担をかけます。

東京都の公式サイトでも、ペットとの生活に困った際の選択肢として、ペットシッターの利用や一時預かり、そして新しい飼い主を探すことまで、段階的な方法が示されています。

追い詰められた状態で結論を出す前に、まずはあなた自身が「休む」という選択肢があることを知ってください。

育犬ノイローゼとは

「育犬ノイローゼ」は正式な病名ではありませんが、子犬を迎え入れた後に飼い主が経験する、精神的・身体的な不調の総称です。

慢性的な睡眠不足、ホルモンバランスの変化、そして「完璧な飼い主でいなければならない」という強いプレッシャーが重なることで、以下のような症状が現れます。

  • 常に不安やイライラを感じる
  • 突然涙が出る、気分が落ち込む
  • 愛犬を可愛いと思えない、触れるのが怖い
  • 不眠、頭痛、吐き気などの身体症状
  • 「手放したい」「いなくなればいいのに」と考えてしまう

これらの症状は、あなたの心がSOSを出している証拠です。決して意志の弱さの問題ではありません。

(参考文献:Can Dog Owners Experience the ‘Puppy Blues?’|The American Kennel Club)

【手放したいと思う前に】育犬ノイローゼ対策①:心と体を守る“応急リセット”

しつけやトレーニングを考える前に、まずあなた自身の安全と休息を確保しましょう。

Step 1:安全な距離をつくる

 ケージなどは、愛犬とあなたの両方にとっての「安全地帯」です。あなたが家事をしたり、少し一人になったりする間、愛犬が安全に過ごせる場所を作りましょう。誤飲やイタズラの心配から解放されるだけで、心の余裕が生まれます。

Step 2:意図的に休む

 ペットシッターやドッグデイケア、ペットホテルなどのサービスを、ためらわずに利用してください。数時間だけでも愛犬と離れ、まとまった睡眠をとったり、自分の好きなことをしたりする時間を作りましょう。心が休まれば、不思議と愛犬の行動も違って見えてくるものです。

(参考文献:How to crate train your dog or puppy|Humane World for Animals

【手放したいと思う前に】育犬ノイローゼ対策②完璧な飼い主を目指さない

まず、あなたの心を縛っている「完璧な飼い主にならなければ」という思い込みを手放しましょう。

SNSで見かけるような「お利口な子犬」は、編集されたハイライトかもしれません。トイレの失敗も、夜鳴きも、甘噛みも、子犬にとってはごく自然な成長過程の一部です。

100点満点の飼い主など、どこにも存在しません。

今日一日、無事に過ごせたら、それだけで自分と愛犬を褒めてあげてください。

【手放したいと思う前に】育犬ノイローゼ対策③:意識的に犬と離れる時間を作る

ワンオペ育児ならぬ「ワンオペ育犬」で24時間つきっきりでは、誰でも疲弊してしまいます。

育犬ノイローゼから抜け出すには、意識的に愛犬と物理的な距離と時間を確保することが最も効果的です。

数時間でも構いません。ペットホテルやドッグデイケア、ペットシッターなどのサービスを利用して、まずはまとまった睡眠時間を確保しましょう。

心に余裕が生まれれば、不思議と愛犬の行動も許せるようになるものです。

【手放したいと思う前に】育犬ノイローゼ対策④:「褒めるしつけ」を基本にする

「ダメ!」「コラ!」と叱ってばかりのしつけは、飼い主のストレスを増大させるだけでなく、犬との信頼関係を損なう原因になります。

育犬ノイローゼで疲れている時こそ、しつけの基本を「叱る」から「褒める」に変えてみましょう。トイレが成功した時、静かにしている時、おすわりができた時。

どんな些細なことでも良いので、「できた!」瞬間に心から褒めて、おやつをあげてみてください。

愛犬の喜ぶ顔は、あなたの心を癒す一番の薬になるはずです。

【手放したいと思う前に】育犬ノイローゼ対策⑤:一人で戦わず、プロを頼る

子犬育ては、一人で乗り越えなければならない試練ではありません。

あなたには、頼れるプロの味方がたくさんいます。

まずは、一人で悩まず専門家に「助けてください」と声を上げることは、あなたと愛犬の未来を守るための、最も賢明な選択です。

専門家への相談は、決して恥ずかしいことではありません。

育犬ノイローゼに陥る主な原因

あなたを追い詰めている行動には、必ず原因があります。それを理解することが、解決への第一歩です。

鳴り止まない「吠え」 

「吠えれば構ってもらえる」と学習してしまった要求吠えや、恐怖心からくる警戒吠えなどが主な原因です。体罰は恐怖心を煽り、事態を悪化させるだけ。東京都の公式情報でも推奨されているように、吠える原因から距離をとったり、「静かにできている時」を逃さず褒めたりする「褒めるしつけ」が基本です。

終わらない「噛み癖」

 子犬が噛むのは、歯の生え変わりの違和感や、物を確かめたいという本能的な行動です。人の手を噛ませる習慣をつけないために、サークルやベビーゲートで物理的に噛めない環境を作り、「これなら噛んでも良いよ」と、おもちゃを先に与えて正しい遊び方を教えてあげましょう。

一人になれない「分離不安」 

飼い主の不在、あるいはその気配だけでパニックになり、吠え続けたり、物を壊したり、粗相をしたり。これは、犬が精神的に強い不安を抱えているサインです。獣医師や専門家と相談しながら、少しずつ一人で過ごす練習を家庭で行うことが効果的です。

(参考文献: Behavior Problems of Dogs|MerckVetManual

育犬ノイローゼから心を立て直すための応急処置

しつけやトレーニングを考える前に、まずあなた自身の心と体を守りましょう。

睡眠を確保する 

ペットホテルや一時預かり、ペットシッターなどの民間サービスをためらわずに利用して、“意図的に休む”時間を作ってください。自治体もこうしたサービスの活用を案内しています。まとまった睡眠が、あなたの判断力と心の余裕を取り戻してくれます。

噛まれた時の正しい対応 

もし噛まれて出血してしまったら、自己判断で消毒せず、まずは流水で傷口をよく洗い流し、必ず人間の医療機関を受診してください。犬の口内には雑菌が多いため、感染症や破傷風のリスクを評価してもらう必要があります。

(参考文献:Rabies Prevention and Control|CDC)

「育犬ノイローゼでペットを手放したい」に関するよくある質問

Q1. 育犬ノイローゼはいつまで続く?

 個人差が大きいですが、子犬のトイレや夜鳴きが安定し、生活リズムが整う生後半年〜1年頃に楽になることが多いです。辛い時期に一人で抱え込まず、早めに専門家やサービスに頼ることが、長期化を防ぐ鍵です。

Q2. プロに相談するタイミングは? 

「辛い」と感じた時が相談のタイミングです。特に、「犬に手をあげてしまいそう」「寝不足」など、心身の限界を感じたら、迷わずすぐに相談してください。

Q3. どこに相談すべき?

まずは、病気の可能性を調べるために「かかりつけの動物病院」へ。日常のしつけに困っているなら「ドッグトレーナー」、行動が深刻で手に負えないと感じたら「獣医行動診療科」というように、悩みの段階に合わせて専門家を選びましょう。

まとめ: 自分を大切にすることが、愛犬を大切にすることにも繋がる

今、「子犬を手放したい」と感じているのは、あなたが限界まで一人で頑張ってきた証拠です。

まずは48時間の応急処置で、あなた自身の安全と睡眠を取り戻してください。

そして、専門家や周りのサポートを得ながら、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

あなた自身を大切にすることが、結果として愛犬の穏やかな未来を守る最短ルートなのです。

そして、もし全ての努力をしても難しい場合は、「手放す」という選択が、愛犬の幸せを願う故の最後の愛情表現になることもあります。

その際も、決して一人で抱え込まず保護団体、そして動物病院に相談してください。

監修者コメント
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「もう年だから…」と犬との暮らしを諦める前に、知ってほしいことがあります。法律上の年齢制限はありませんが、生涯責任を持つための「備え」は不可欠です。この記事では、後見人制度や成犬を迎える選択肢など、高齢の方が夢を叶えるための具体的な道筋を解説しました。年齢だけで判断せず、未来への計画を立てるヒントとなれば幸いです。

監修・うさパラ コンテンツ制作チーム

 - 犬の健康

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