2026/08/03

夏になり、蚊をよく目にするようになると、愛猫も蚊に刺されないか心配ですよね。
そんなとき、「猫は毛が多いから、蚊に刺されないのでは?」、「猫が蚊に刺されたときは、どんな症状が出るの?」、「猫もフィラリアに感染することはある?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
実際には、猫も人と同様に蚊に刺されます。その結果、皮膚のかゆみや脱毛などの皮膚症状が現れることが珍しくありません。また、蚊は皮膚トラブルだけでなく、フィラリア症を媒介する可能性があるため注意が必要です。
さらに、室内飼いの猫でも、玄関や窓の開閉時に侵入した蚊に刺されるケースがあります。
本記事では、猫が蚊に刺された際に見られる症状や注意したい病気、受診の目安、家庭でできる予防方法までを獣医師がわかりやすく解説します。
最後までお読みいただき、大切な愛猫を蚊から守るための正しい知識を身につけましょう。
- 猫が蚊に刺されやすい部位と気付きにくい理由
- 蚊による皮膚炎やフィラリア症で注意したい症状
- 室内飼育でも行いたい蚊対策と受診の目安
【執筆】なっきー(ペット専門家・ライター)
ペットケアライター。犬猫に関する資格を多数保有するほか、海外のペット関連講座も複数修了。犬猫に関する記事の執筆・監修、ペット用品の商品開発アドバイスなどに携わる。現在も複数の愛犬と暮らしている。
目次
【結論】猫も蚊に刺されるため、皮膚症状やフィラリア予防に注意が必要
結論から申し上げますと、猫も人と同じように蚊に刺されるため、日頃から蚊への対策を行うことが大切です。
猫は全身が毛で覆われているため刺された跡を見つけにくく、気付かないまま過ごしていることも少なくありません。
また、蚊に刺されることによるアレルギー反応から皮膚や耳に炎症が起きたり、蚊が媒介するフィラリアに感染したりするリスクもあります。
さらに、室内飼育であっても、蚊との接触は完全には避けられないため、「外に出ないから蚊に刺されることはない」とは限りません。そのため、どの猫でも日頃から蚊への対策を行うことが大切です。
(参考文献:Disorders of the Outer Ear in Cats | Merck Veterinary Manual)
(参考文献:Heartworm Disease in Cats | Merck Veterinary Manual)
猫も蚊に刺されるが、刺された跡は分かりにくい
猫は全身を被毛に覆われているため、蚊に刺されてもその跡を探すことは難しいことが多いです。その結果、皮膚の変化を確認できず、刺されたことに気付かないケースが少なくありません。
では、猫では一般的に体のどの部位が蚊に刺されやすいのでしょうか?具体的には、耳や鼻などの毛が薄い部位が挙げられます。
刺されやすい部位と、刺された場所が気付きにくいケースについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Disorders of the Outer Ear in Cats | Merck Veterinary Manual)
①耳・鼻すじ・目の周り・肉球などは刺されやすい
猫の被毛は、蚊などの昆虫から身を守る役割を持っています。
しかし、
- 耳
- 鼻
- 目の周り
- 口の周り
- 肉球
といった部位は、もともと被毛の量が少ないため、蚊に刺されやすいと言われています。
特に、耳は蚊のアレルギーによる皮膚炎やかゆみが起こりやすいと言われているため、これらの部位を日頃からよく観察することで、蚊に刺されたかどうかの早期発見につながります。
②被毛に隠れて刺された場所に気付きにくい
体や背中などの被毛が密集している部位でも蚊に刺されることはありますが、毛に隠れて皮膚の変化が分かりにくいことが多いです。
そのため、頻繁に体を掻いたり、毛づくろいをしたりする様子が見られる場合は、蚊に刺されたサインである可能性もあります。
蚊に刺されたかどうか判断するためには、普段からスキンシップやブラッシングを通じて皮膚の状態を観察し、日頃から愛猫の様子を観察することが大切です。
猫が蚊に刺されたときに見られる症状と注意したい病気
猫が蚊に刺された場合、一時的な皮膚症状のみが見られることも少なくありません。しかし、体質によっては強いアレルギー反応を起こしたり、掻き壊しによる皮膚炎へ発展したりすることがあります。
また、蚊は猫のフィラリア症の原因となる寄生虫を媒介するため、注意が必要です。では、蚊が原因でアレルギーを引き起こした場合、どのような症状が見られるのでしょうか?
蚊に刺されることで起こる病気についても、それぞれ詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Allergic Skin Disease Affecting the Pinna in Dogs and Cats | Merck Veterinary Manual)
(参考文献:Heartworm in Cats | Cornell University College of Veterinary Medicine)
(参考文献:Companion Animal Parasite Council | Heartworm capcvet.org)
①赤み・かゆみ・腫れが出ることがある
猫が蚊に刺された場合、初期では刺された部位に小さな赤みや軽い腫れが生じることがあります。
一方で、かゆみによって頻繁に掻いたり舐めたりする様子が見られることも珍しくありません。アレルギーなどが背景にある場合は、後述するように症状が激しくなる場合や範囲が広がる場合があるため、注意が必要です。
②かさぶた・脱毛・掻き壊しが続く場合もある
蚊に刺されたことでアレルギー反応が起こり強いかゆみが続くと、猫は引っかいたり舐めたりすることで、皮膚や耳を傷つけてしまいます。その結果、かさぶたや脱毛、細菌感染による二次感染が起こることも少なくありません。
私の診察でも、夏に両耳が脱毛し、蚊によるアレルギーを疑う症例がよく来院します。重度では、リンパ節が腫れたり、発熱を引き起こしたりするケースもあります。
症状が重い場合は、自己判断せず速やかに動物病院を受診しましょう。
③蚊刺咬過敏症や猫フィラリア症に注意する
このように一部の猫では、「蚊刺咬過敏症」と呼ばれるアレルギーによる皮膚炎を起こすことがあります。
また、蚊はフィラリアを媒介するため、感染した蚊に刺されることで愛猫がフィラリア症を発症する可能性があります。
猫は一般的に、犬ほど感染率は高くありませんが、少数の寄生でも重い呼吸器症状や突然死につながることがあるため、予防を心掛けることが重要です。
猫のフィラリア症の最も一般的な症状には、
- 嘔吐
- 下痢
- 呼吸困難
- 咳
- 食欲不振
- 倦怠感
- 体重減少
などが挙げられるものの、これらはフィラリア症特有の症状ではないため、感染に気付きにくい特徴があります。
さらに、一度感染すると治療が難しいことから、日頃の予防が大切と言われています。
猫が蚊に刺されたかもと思ったときの受診目安
では、もし愛猫が蚊に刺されたかもしれないと思った場合、どのようなタイミングで動物病院を受診すればよいのでしょうか?
動物病院を受診する目安として、
- 皮膚症状が強い
- 皮膚症状を繰り返している
- 咳や嘔吐をしている
- 元気がない
といった症状が見られる場合が挙げられます。
これらの症状が見られる場合は、蚊のアレルギーによる皮膚炎やフィラリア症をはじめとした病気が隠れている可能性があります。
では、これらの症状について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Allergic Skin Disease Affecting the Pinna in Dogs and Cats | Merck Veterinary Manual)
(参考文献:Heartworm in Cats | Cornell University College of Veterinary Medicine)
①皮膚症状が強い、または繰り返している
もし耳や鼻、目の周りなどの蚊に刺された部位で、赤みや腫れが数日経っても改善しない場合は、一度獣医師に相談することをおすすめします。
かゆみが強く掻き壊している場合や、耳の脱毛が進行している場合も、動物病院を受診して適切な治療を受けさせてあげましょう。
また、人用の外用薬には猫に使用できない成分が含まれる可能性があるため、自己判断で市販薬を使用しないようにしましょう。
②咳・嘔吐・呼吸の変化・元気や食欲の低下
もし愛猫に皮膚症状以外にも、
- 咳をしている
- 呼吸が速い
- 呼吸が苦しそう
- 嘔吐を繰り返す
- 元気や食欲がない
- 発熱している
といった症状が見られる場合は、蚊に刺されることによる皮膚炎以外の病気が起きている可能性があります。
特に、猫のフィラリア症ではこのような症状が現れることがあるため、早めに動物病院で診察を受けましょう。
猫を蚊から守るために家庭でできる予防策
ここまでは、猫での蚊による健康被害について解説しました。
近年、猫のフィラリア症においては、室内飼育猫を含めて感染例が報告されており、予防の重要性が指摘されています。そのため、愛猫を蚊から守るためには、蚊に刺されない環境づくりと、フィラリア予防を組み合わせることが大切です。
これらの予防策は、現在では完全室内飼いの猫であっても、通年で行うことが重要だと言われています。地域や生活環境に応じて獣医師と相談しながら、フィラリア予防薬を含めた適切な対策を考えることが重要です。
また、虫よけ対策を行う上でも、人用の虫よけや市販薬には猫に有害な成分が含まれているものもあるため、自己判断で使用しないことが重要です。
では、これらの対策をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Companion Animal Parasite Council | Heartworm capcvet.org)
(参考文献:Can Cats Get Bitten by Mosquitos? Vet-Reviewed Risks & Preventions – | Catster)
(参考文献:Feline Heartworm Guidelines | American Heartworm Society)
①網戸や玄関まわりを見直して蚊の侵入を減らす
まず、愛猫が蚊に刺される機会を減らすことが重要です。
網戸に隙間や破れがないか確認し、玄関や窓の開閉時間をできるだけ短くすることで、室内への蚊の侵入を減らしましょう。
また、ベランダや庭に水たまりを作らないことも蚊の発生予防につながります。さらに、扇風機を使用したりすることも、蚊の予防につながるとされています。
②フィラリア予防薬は獣医師に相談して選ぶ
現在日本では、月に1回、皮膚に塗布するフィラリア予防薬が多く使用されています。アメリカなど、1年を通して予防薬を使用することが推奨されている地域もありますが、通年で予防が必要かどうかは、住んでいる地域や飼育環境によって異なります。
そのため、自己判断せず獣医師と相談しながら、愛猫に合ったフィラリア予防を行っていきましょう。
③人用の虫よけや市販薬を自己判断で使わない
虫よけとして使用される「忌避剤」も、蚊の対策につながると言われています。しかし、人用の虫よけスプレーや市販の忌避剤には、猫に適さない成分が含まれていることがあります。
そのため、自己判断でこれらのグッズを使用することは避けましょう。忌避剤を使用する場合は、獣医師と相談のうえ、必ず猫用として安全性が確認された製品を選びましょう。
猫の蚊刺されに関するよくある質問
Q1.室内飼いの猫でも蚊に刺されますか?
「外に出ない室内飼育の猫であれば蚊に刺されない」と思われがちですが、実際は蚊に刺されることが珍しくありません。
蚊は玄関や窓の開閉時に室内へ侵入するほか、網戸の隙間などから入り込むこともあります。そのため、完全室内飼育だからといって、蚊との接触がゼロになるわけではありません。
特にフィラリア症は室内飼育の猫でも報告されているため、住んでいる地域の感染状況も踏まえ獣医師と相談し、適切な対策を行ってあげましょう。
(参考文献:Companion Animal Parasite Council | Heartworm capcvet.org)
Q2.猫が蚊に刺されても自然に治りますか?
もし愛猫が蚊に刺されても、軽度であれば数日程度で赤みやかゆみが落ち着くこともあります。
しかし、かゆみが強く掻き壊してしまったり、かさぶたや脱毛が広がったりする場合は、アレルギーによる炎症を起こしている可能性があります。
また、咳や嘔吐、発熱などの全身症状を伴う場合や、皮膚症状を繰り返している場合は、蚊に刺された以外の病気も考えられるため、症状が改善しないときは早めに動物病院を受診しましょう。
(参考文献:Heartworm in Cats | Cornell University College of Veterinary Medicine)
Q3.猫に虫よけスプレーを使っても大丈夫ですか?
愛猫を蚊から守るためには、忌避剤を使うことも一つの選択肢です。しかし、忌避剤の中には猫に使用できる製品と使用できない製品があります。
人用の虫よけや市販の製品には、猫に有害となる成分が含まれていることがあるため、猫で安全性が確認されていない製品を使うことは避けましょう。
忌避剤を使用する場合は、猫用として販売されている製品を選び、獣医師と相談のうえ使用しましょう。忌避剤に加え、フィラリア予防薬を併用するなど、包括的な対策を行うことが大切です。
(参考文献:Can Cats Get Bitten by Mosquitos? Vet-Reviewed Risks & Preventions – | Catster)
【まとめ】猫も蚊に刺されるため、皮膚症状と予防策をあわせて確認しよう
人と同様に猫も蚊に刺されることがあり、耳や鼻など毛の少ない部位を中心に、皮膚の赤みやかゆみが現れることがあります。
一部の猫では蚊刺咬過敏症を発症したり、蚊が媒介するフィラリア症に感染したりする可能性もあるため注意が必要です。
完全室内飼育でも蚊との接触を完全に防ぐことは難しいため、蚊が侵入しにくい環境づくりやフィラリア予防を取り入れることが、蚊の健康被害から愛猫を守るためにとても大切です。
皮膚症状が長引く場合や、咳・呼吸の異常など全身症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。
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猫は被毛に覆われているため、蚊に刺されても気付きにくいことがあります。また私自身、蚊で猫にアレルギー反応が起きることをご存じない飼い主様にもよくお会いします。
アレルギー以外にも、蚊が媒介するフィラリア症に感染したりする可能性があるため、どの猫でも蚊への対策は重要だと実感しています。日頃から愛猫の皮膚の状態や体調をよく観察し、生活環境に合わせた予防対策を行うことが、愛猫の健康を守る第一歩です。
気になる症状がある場合は、自己判断せず早めに獣医師へ相談しましょう。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム