2026/09/04

猫は「暑さに強い」と思っている人も多いのではないでしょうか。
猫の祖先は暑い砂漠で暮らしていたとされているうえに、実際に夏でも日当たりのよい窓辺でくつろいでいたり、自分から暑い部屋に行ったりする姿を見ると、「やっぱり暑くても平気なんだ」と思っても不思議ではありません。
しかし、カラッとした砂漠の暑さと、日本のジメッとしたまとわりつくような暑さでは、暑さの負担が大きく異なります。
特に近年は異常気象が続き、年々夏場の気温が上がっているため、「猫は暑さに強いから大丈夫」と考えるのは危険です。
また、猫は自分からすすんであまり水を飲まないことも多く、脱水や熱中症につながることも珍しくありません。
そこでこの記事では、猫が暑さに強いといわれる理由や日本の夏を快適に過ごすための室内環境について解説します。
- 猫が暑さに強いといわれる理由と限界
- 日本の夏で整えたい室温・湿度の目安
- 熱中症を疑うサインと相談のタイミング
目次
【結論】猫は暑さに強い面があっても、日本の夏では暑さ対策が必要
結論から言うと、猫は暑さに比較的強い面を持ちますが、「暑い環境でも平気」というわけではありません。
特に、日本は湿度が高く、同じ気温でも乾燥した地域より体に熱がこもりやすいため、体温調節にも負担がかかります。
そのため、本来の猫が持つ暑さへの適応力だけでは十分とは言えず、日本の夏では暑さ対策が必要なのです。
「猫は暑さに強い」というイメージだけで判断せず、日本の気候に合わせて考えてあげましょう。
猫が暑さに強いといわれている理由
そもそも、猫が暑さに強いといわれるのは、猫の祖先のイメージが大きいのでしょう。
しかし、現在の家猫が暮らす環境は、祖先が暮らす環境とは大きく異なります。
また、猫は人間のように全身で汗をかいて体温を下げることができず、汗をかけるのは主に肉球など限られた部分です。
そのため、暑いときは涼しい場所に移動したり、活動量を減らして体温の上昇を抑えます。
猫が体を伸ばして、床に寝そべっている姿を見かけることもあるのではないでしょうか。
こうした行動も、体の熱を逃がそうとして行っている可能性があります。
とはいえ、体温調節には限界があるため、日本の夏でも平気とは言えません。
(参考文献:The Integumentary System in Animals|Merck Veterinary Manual)
祖先が暑い地域で暮らしていたとされる
猫の祖先とされるリビアヤマネコは、中東や北アフリカなどの暑く乾燥した地域に生息していました。
こうした背景から、猫は暑さに強い動物というイメージを持たれがちです。
しかし、家庭で暮らしている猫は、リビアヤマネコではありません。
祖先が暑い地域に適応していたからといって、現在の猫に当てはめることはできないのです。
(参考文献:The Near Eastern Origin of Cat Domestication|Science)
日本の高温多湿では体に負担がかかりやすい
日本の夏は、暑いだけでなく湿度も高いのが特徴です。
猫は暑くなると、毛づくろいで被毛に唾液を広げたりして、蒸発するときの気化熱で体の熱を逃がします。
しかし、湿度が高いと水分が蒸発しにくくなるため、十分に熱を逃がすことができません。
そのため、高温多湿の環境では体温が下がりにくく、体に負担がかかりやすくなるのです。
(参考文献:Hot Topic: Keeping Your Pet Safe As Temperatures Rise|Texas A&M University)
暑さに注意したい猫の特徴
猫は暑さに比較的強い面はあるものの、暑さによる影響の受けやすさは個体差があります。
同じ環境で過ごしていても、問題なく過ごせる猫もいれば、暑さが負担になる猫もいるため注意が必要です。
暑さによる負担をそのままにすると、体調不良につながることも珍しくありません。
負担を少しでも減らしてあげるためにも、愛猫が暑さの影響を受けやすいかどうかを知り、夏の暑さ対策に役立てましょう。
ここでは、暑さに注意したい猫の特徴を解説します。
①子猫や高齢猫は暑さの影響を受けやすい
子猫はまだ体温調節機能が未熟なため、周囲の温度変化の影響を受けやすい時期です。
また、高齢猫は加齢によって体温調節の働きが低下しやすく、若い頃より暑さにうまく対応できないことも少なくありません。
さらに、暑さは体力を消耗させるため、もともと体力が十分ではない子猫や、体力が低下している高齢猫では、負担がより大きくなります。
②長毛種・短頭種・肥満気味の猫は熱がこもりやすい
長毛種や肥満気味の猫は、被毛や皮下脂肪によって体の熱を逃がしにくく、体内に熱がこもりやすいので注意が必要です。
また、ペルシャやエキゾチックショートヘアなどの短頭種は、もともと鼻や喉の空気の通り道が狭い傾向にあるため、暑いときに呼吸でうまく熱を逃がすことができず、体温が上がってしまうこともあります。
(参考文献:Heatstroke in Cats: Signs, Treatment, and Prevention|petMD)
③持病や体調不良がある猫は特に慎重に見る
持病がある猫は、暑さによって体温調節や水分バランスを保つための負担が増えることで、状態が悪化してしまうこともあります。
また、体調不良のときは食欲や飲水量が落ちたり、体力を消耗していたりするため、普段より暑さに対応しにくい状態です。
そのため、持病や体調不良がある猫は特に慎重に見てあげましょう。
夏の室内で見直したい猫の暑さ対策
猫の暑さ対策で注意したいのが、「室内なら大丈夫」という思い込みです。
実際、電気代を気にして、エアコンをかけずに外出する飼い主さんも少なくありません。
しかし、真夏の室内はエアコンを止めると短時間で温度が上がり、猫にとって危険な環境になることがあります。
また、扇風機やサーキュレーターを回しておけば安心と思っている飼い主さんも見られますが、全身で汗をかかない猫にとって、風を当てるだけでは暑さ対策にはなりません。
脱水や熱中症を防ぐためにも、「室内だから大丈夫」と油断せず、猫が安全に過ごせる環境を整えておくことが大切です。
ここでは、夏の室内で見直したい猫の暑さ対策について見ていきましょう。
①エアコンで室温と湿度を調整する
夏はエアコンを使い、猫が過ごす部屋の室温と湿度を調整しましょう。
【猫が過ごしやすい室温・湿度の目安】
- 室温…25~28℃前後
- 湿度…50%前後
ただし、年齢や体型などによって快適に感じる環境は異なります。
また、室内でも床付近とキャットタワーなどの高い場所では温度差が出るため、猫がよく過ごす高さに温湿度計を設置してこまめに確認することが大切です。
1 水飲み場と涼しい逃げ場を用意する
暑い時期は体温調節のためにも十分な水分が必要になるため、猫がいつでも水を飲める環境を整えておきましょう。
水飲み場は1か所だけでなく、猫がよく過ごす場所の近くなど複数に分けて置くと、器を倒してしまったときの備えにもなります。
また、暑さを感じたときに自分で逃げられるよう、冷却マットなどを用意することも大切です。
③留守番中は閉め切りと直射日光に注意する
留守番中は部屋を閉め切ることも多いですが、室温が上がりすぎないように注意が必要です。
特に日当たりのよい部屋では、窓から差し込む直射日光によって室内がさらに暑くなります。
カーテンやブラインドで日差しを遮り、日当たりによる室温の上昇を抑えましょう。
また、夏場の留守番ではエアコンをつけたままにしてください。
猫が暑がっている可能性があるサイン
猫は暑さを感じても、「暑い」と教えてくれるわけではありません。
そのため、飼い主さんが気づいたときには脱水を起こしていたり、熱中症になっていることがあります。
特に熱中症は、体温の上昇によって全身の臓器に影響を及ぼし、重症化すると命に関わることもあるので注意が必要です。
また、猫は不調を隠す動物のため、ちょっとした異変も見逃さないようにしましょう。
ここでは、猫が暑がっている可能性があるサインを解説します。
1 口呼吸・よだれ・ぐったりが見られる
猫が口を開けてハアハアと呼吸している場合は、暑さによって体温が上がっているのかもしれません。
猫は犬のように日常的にパンティング(口を大きく開け、舌を出した「ハァハァ」と浅く速い呼吸)をする動物ではないため、落ち着いて休んでいるのに口呼吸が見られるときは注意が必要です。
また、よだれが増える、ぐったりして動かない、反応が鈍いといった様子も、熱中症で見られることがあります。
2 食欲低下・ふらつき・嘔吐がある
食欲低下やふらつき、嘔吐なども、暑さによる体調不良や熱中症で見られることがある症状です。
また、食べたり飲んだりできない状態や嘔吐が続くと、体から水分が失われて脱水が進むことも珍しくありません。
脱水が進むと体から熱を逃がしにくくなり、体温が上がりやすくなるため、熱中症のリスクもより高まります。
③いつもと違う様子があれば獣医師に相談する
愛猫に普段と違う様子が見られた場合は、早めに獣医師へ相談しましょう。
熱中症は短時間で状態が悪化します。
動物病院を受診するときは、いつから症状が出ているのか、水を飲めているかなどを伝えると診察もスムーズです。
また、呼吸が苦しそう、意識がもうろうとしているなどの場合は、夜間であっても早急に受診してください。
猫の暑さに関するよくある質問
Q1.猫はエアコンなしでも大丈夫ですか?
真夏にエアコンなしで過ごさせることはおすすめできません。室内でも外気温や日当たりの影響で室温が上がり、高温多湿の環境になります。特に留守番中は猫の様子を確認できないため、エアコンを使って室温と湿度を調整してください。また、停電時のことも考え、冷却マットなど電気を使わずに涼める場所も用意しておくと安心です。
Q2.猫にとって夏の室温は何度くらいがよいですか?
猫にとって夏の室温は25〜28℃前後が目安ですが、快適に感じる室温には個体差があります。冷房の効いた場所を避ける、反対に涼しい場所ばかりで過ごすなど、愛猫の様子を見ながら快適な温度を見つけてあげることが大切です。また、快適な室温はその日の体調によっても変わるため、愛猫に合わせて調整してあげましょう。
Q3.暑さに強い猫種はいますか?
暑さに強いと言い切れる猫種はありません。暑さへの耐性は猫種だけで決まるものではなく、個体差も大きいものです。サバンナやベンガルなどは暑さに強いと紹介されることがありますが、ほかの猫種より暑さに強いといえる根拠はなく、暑さ対策は十分に行う必要があります。特定の猫種だから大丈夫と油断しないようにしましょう。
【まとめ】猫は暑さに強い面があっても、室内環境で負担が変わる
猫は寒さよりも暖かい環境を好む傾向がありますが、単純に暑さに強いということはできません。
特に高温多湿の日本の夏では、猫自身の体温調節だけでは対応しきれないこともあります。
そのため、夏の暑さ対策はしっかりと行ってあげましょう。
特に、暑さの影響を受けやすい猫では、いつも以上に室温や体調の変化に気を配ることが大切です。
愛猫に普段と違う様子がないかをこまめに確認し、早めに異変に気づいてあげてくださいね。
関連記事
-
-
猫は必ず帰ってくるという噂は本当?不安な時に飼い主がとるべき行動
猫が帰ってこない夜、「猫は 必ず帰ってくるって聞いたから…」と自分に言い聞かせながらも、胸のざわつきが消えずにスマホを握っている方は多いと思います。 「帰ってくる猫」は確かにいますが、「必ず」ではあり …
-
-
猫は一緒に寝る人を選ぶ?一緒に寝るようになった理由や寝る位置が持つ意味について
「猫 一緒に寝る人 選ぶ」で検索しているあなたは、きっと“なぜ自分じゃなくて家族と寝るの?”というモヤモヤを抱えているはずです。 結論から言うと、猫は“えこひいき”ではなく、安心できて快適で、予測でき …
-
-
スコ座りとは?スコティッシュフォールドの病気という噂について
猫が後ろ足を前に投げ出し、まるで人のように座る姿。 「おじさんみたいで可愛い!」と微笑ましく思う反面、「足は痛くないのかな?」 「何か病気のサイン?」と不安になり、「スコ座り」について検索された方も多 …
-
-
犬みたいな猫ってどんな猫種?特徴や性格について解説
猫は自由気ままでマイペース、犬は人懐っこく飼い主に忠実、そんなイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。 実際、猫は気が向いたときにしか甘えないツンデレな個体が多い一方で、犬は飼い主のあとをついて歩 …
-
-
ラガマフィンが飼いにくいと言われる理由5選!性格が悪いという噂について解説
大きな体にふわふわの被毛と優しい表情が魅力のラガマフィン。おっとりした性格で人懐っこい猫としても知られ、近年人気が高まっている猫種のひとつです。 しかし、インターネット上には「飼いにくい」「性格が悪い …
基本的に、猫は暑いときに、自分で快適に過ごせる場所を探して移動します。そのため、少し涼しい場所と、冷えたときに温まる場所の両方を行き来できるようにしておくといいでしょう。人が快適だと感じる場所が、猫にとっても同じとは限りません。ただし、高齢猫や体調を崩している猫では、自分で移動できないこともあるため、ときどき愛猫の様子を確認してあげましょう。この記事が夏の暑さ対策を見直すきっかけになれば幸いです。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム