2026/01/20
愛猫が突然激しく体を掻いたり、体に黒いものを見つけたりすると、
「ダニに寄生されているのでは?」
「体調を崩してはいないだろうか?」
「人間に寄生したらどうしよう」
と不安になってはいませんか?
実は、猫にダニがいるかどうかは、特別な医療器具がなくても自宅で判断することも可能です。
また、ダニは種類によって人間に被害を及ぼすケースもあるため、早期に発見し対処する必要があることをご存じでしょうか?
本記事では、現役獣医師の意見をもとに、ダニの種類や猫にダニがいるか調べる方法、ダニによる人間への被害について分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛猫のダニに関する理解を深めていきましょう。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
猫に寄生するダニの種類とは?
猫に寄生する代表的なダニには、
- ミミヒゼンダニ(耳ダニ)
- ツメダニ
- ヒゼンダニ(疥癬)
- ツツガムシ
- マダニ
- ニキビダニ(毛包虫)
などが挙げられます。
なかでも特に問題となるのは「ミミヒゼンダニ」や「ヒゼンダニ」、「マダニ」です。
ミミヒゼンダニは、猫の耳に寄生し、黒い耳垢や強いかゆみを引き起こします。
ヒゼンダニは、猫の皮膚に寄生し、全身に強いかゆみや脱毛を引き起こします。
マダニは猫の皮膚に寄生し、吸血をするほか、種類によってはさまざまな感染症を媒介するダニです。
特に近年では、マダニは「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の人への主な感染源であることが判明し、注意喚起がなされています。
(参考文献:7 Common Bug Bites on Cats | PetMD)
猫にダニがいるか調べる方法【3ステップ】①しぐさで“可能性”を絞る
では、どのような方法で、これらのダニが猫に寄生しているかどうか見分けることができるのでしょうか?
まず、最初に確認すべきは「猫の行動の変化」です。
ダニに寄生されている猫は、
- 体を頻繁に掻く・舐め続ける
- 体の毛が抜ける
- 耳を激しく振る
- 落ち着きがなくなる
といったしぐさを見せることがあります。
ただし、ツメダニでは強いかゆみが現れないケースも多く、体幹に沿った大量のふけが症状として現れる場合があるので、注意が必要です。
このように、ダニに寄生された猫では行動の変化や皮膚の異常が現れることがあるため、愛猫をよく観察することは、ダニの寄生の早期発見へとつながります。
(参考文献:Mange in Cats | PetMD)
猫にダニがいるか調べる方法【3ステップ】②重点部位の確認
もし上記のようなしぐさが見られた場合は、実際にダニがいるかどうか、目で確認する必要があります。
しかし、猫の体は毛で覆われており、なかなかダニを見つけることができないことも多いです。
そのようなときは、まずはダニがよく寄生しやすい部位を重点的に、毛をかき分けて確認しましょう。
特にダニが寄生しやすい部位は、
- 耳の中や付け根
- 首回りや顔
- 脇の下
- 内股
- 尾の付け根
などが挙げられます。
これらの部位にダニが寄生していないか、目で確認しましょう。
ただし、上述したダニのなかには、肉眼で見えない小さなダニの種類も存在するので注意が必要です。
その場合は、脱毛やふけ、皮膚の赤み、耳垢などの症状がないか確認することで、ダニの早期発見につながります。
(参考文献:Mange in Cats | PetMD)
猫にダニがいるか調べる方法【3ステップ】③コーム(ノミ取り櫛)+白い紙で確認
上記のステップでダニが見つからない場合は、最後にコームを用いて全身をチェックします。
吸血前のマダニの大きさは数mmであるため、一般的な目の粗いコームではなく、目の細かいノミ取りコームを使用しましょう。
使い方は、被毛を毛の流れに沿って梳かし、取れた汚れを白い紙やティッシュに落とします。
こちらは本来であればノミを確認する方法ですが、吸血前のマダニであれば同様にコームで取り除くことができます。
ただし、ミミヒゼンダニやヒゼンダニなど、肉眼で確認できないダニに関しては、この方法では確認できません。
②までのステップでダニの寄生が疑われる場合は、動物病院を受診しましょう。
人間に寄生することはある?
ここまでは、猫に寄生するダニの種類や寄生の確認方法を解説しました。
では、もし猫にダニが寄生していた場合、人間にも寄生するのでしょうか?
結論から申し上げますと、ダニの種類によっては、人間に寄生したり感染症を媒介したりする可能性があります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
結論:種類によって違う
上述のダニの種類のうち、
- ツツガムシ
- ヒゼンダニ(疥癬)
- マダニ
は人間に症状を引き起こす可能性があります。
もちろん、猫に寄生したダニが必ず人間に寄生する、ということではありません。
しかし、一時的にでも人間に症状を引き起こすことがあり、さらに以下のような感染症を媒介する可能性があるため、注意が必要です。
- ロッキー山紅斑熱
- Q熱
- ライム病
- バベシア症
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
(参考文献:Scabies Infestation – Skin Disorders | MSD Manual Consumer Version)
(参考文献:Ticks of Cats – Cat Owners | MSD Manual Consumer Version)
猫にダニを見つけた時のNG行為
もし愛猫にマダニが寄生していた場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
ダニを見つけたからといって、自己判断で処理を行うことは危険を伴います。
誤った対応は症状の悪化や感染症のリスクを高めますので、注意が必要です。
無理に引き抜く
マダニは猫の皮膚から吸血する際に、まずは口器を皮膚に差し込みます。
その後、ダニからセメント様の物質が分泌され、口器が皮膚に固定されます。
そうなると、ダニを引き抜こうとしてもなかなか引き抜くことができません。
無理に引き抜いて口器が皮膚に残ってしまうと、そこから皮膚炎を起こす可能性があります。
また、引き抜く際にダニが持つ感染症が人間に感染するリスクが高まります。
必ず動物病院を受診し、獣医師に処置をしてもらいましょう。
(参考文献:How to Remove a Tick from Your Dog | American Kennel Club)
耳をゴシゴシ掃除しすぎる
ミミヒゼンダニの場合は、基本的には耳のみに寄生します。
そのため、市販のイヤークリーナーを使用すれば駆除できると思われがちです。
しかし、猫では耳を強く掃除してしまうと、外耳炎を悪化させたり、中耳や内耳に悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
また私自身、ミミヒゼンダニの治療では、耳掃除以外にも駆虫薬を使用しないとなかなか駆除できないケースを多数経験しています。
無理に耳掃除で様子を見るのではなく、速やかに動物病院を受診しましょう。
(参考文献:Ear Mites in Cats | PetMD)
猫にダニを見つけた時の正しい対処法
以上が、愛猫にダニが寄生していた場合に行ってはならない対処法です。
では、実際にダニが寄生している可能性がある場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Ticks of Cats – Cat Owners | MSD Manual Consumer Version)
動物病院での診断・駆虫薬
愛猫にダニが寄生している可能性がある場合は、まずは速やかに動物病院を受診しましょう。
上述の通り、ダニは早急に除去する必要があり、不適切な処置を行うと人間への感染リスクを高めるおそれがあります。
動物病院を受診し、ダニの寄生を確認・種類を特定してもらった後、適切な駆虫薬を処方してもらいましょう。
寝具・毛布の洗濯(可能なら高温乾燥)
愛猫にダニが寄生していた場合、寝床や毛布、家具などにダニの卵や幼虫が潜んでいる可能性があります。
可能な限り、掃除機をかけたり洗濯を行ったりし、潜んでいるダニや卵を除去しましょう。
必要に応じ、ペットを避難させた後、マダニ駆除用のくん煙剤などを用いて徹底的に駆除を行いましょう。
触らず隔離/素手で触れない
上述の通り、ダニの種類によっては人間に寄生したり、感染症を媒介したりする可能性があります。
マダニはもちろん、愛猫にも可能な限り素手での接触は避け、可能であれば入院などで一時的に隔離するとより安心でしょう。
また、接触してしまった場合は、猫と同様に人間も接触後の体調の変化に注意が必要です。
今日からできる予防策
ここまでは、ダニによる猫と人間の健康被害と寄生時の対策について解説しました。
では、どのようにしたらダニの寄生を予防することができるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Tick Control – Integumentary System | MSD Manual Consumer Version)
動物病院処方の駆除薬を定期投与する(通年予防)
まず、必ず行うべき予防策として、愛猫への毎月のノミ・マダニ駆除薬の投与が挙げられます。
現在使用されているノミ・マダニ駆除薬の多くが、投与後1か月間、ノミやマダニの寄生を予防します。
近年は、気候の変動とともにダニの活動期間が長くなる傾向があります。
そのため、たとえ完全室内飼育であっても、通年で予防することが最も安心できる予防方法です。
完全室内飼いの徹底と侵入ルートの遮断
また、ダニを家に持ち込まない対策も重要です。
外飼いの場合は、猫がダニを家に持ち帰る可能性があります。
また、人間が外出した際に衣類や荷物を介してダニを持ち帰る可能性もあります。
ダニが多く発生している場所に行く際はダニ避けスプレーなどを使用し、帰宅する際もダニがいないかチェックしてから家に入るようにしましょう。
こまめな掃除と寝床の洗濯
上述の通り、目に見えない大きさのダニも存在します。
ダニに感染している兆候がなくても、日頃から掃除機や洗濯を行うことで、ダニが繁殖しにくい環境を維持しましょう。
また、マダニ駆除用のくん煙剤などを定期的に使用することも効果的です。
「猫にダニがいるか調べる方法」に関するよくある質問
Q1.確認頻度の目安は?
猫にダニがいないか確認する頻度は、愛猫のライフスタイルにより変化します。
外飼いの猫では毎日チェックすることが理想的です。
また、完全室内飼育であっても、週に1回はチェックしてあげましょう。
さらに、上述したかゆみやふけなどの症状があれば、すぐにダニがいないか確認してあげましょう。
Q2.ダニを見つけたら、自分で取っていい?
愛猫へのマダニの寄生を発見した場合は、速やかに動物病院を受診しましょう。
マダニを見つけたからといって、自己判断で処理を行うと症状の悪化や感染症のリスクを高めますので、注意が必要です。
また、愛猫の体調の確認や、ダニの種類に応じた適切な駆除薬が必要となるため、動物病院を受診し適切な対処方法を指示してもらいましょう。
Q3.家族が刺されたらどうする?
もし愛猫ではなく人間がマダニに刺されてしまった場合は、人間の医療機関を受診しましょう。
上述の通り、日本では近年、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染が増加しています。
猫から感染し、死亡した事例も報告されていますので、様子を見ずに必ず受診するようにしましょう。
同時に、愛猫への寄生がないかを確認し、必要に応じ動物病院も受診しましょう。
その後に愛猫の体調に変化が現れないかどうかも、チェックすべきポイントの一つです。
(参考文献:How to Prevent Ticks on Cats: 7 Proven Methods That Work | The Pet Vet)
【まとめ】調べる方法で「怪しい」と思ったらすぐ病院へ
今回は、猫に寄生するダニの種類や寄生しているかどうかの調べ方、人間へのダニの寄生、その対処法や予防法について解説しました。
ダニは意外と、身近な草むらや河川敷に潜み、寄生するタイミングを狙っています。
一度ダニが寄生すると、その治療や駆除はとても大変です。
一方、適切に予防薬を使用することで、高い確率でダニの寄生を予防することができます。
また、猫にダニがいるかどうかは自宅で簡単にチェックできますので、本記事を参考に定期的に確認してあげましょう。
そうすることで、大切な愛猫と家族の健康を守ることができます。
愛猫のしぐさや健康状態をチェックし、「怪しい」と感じた時点で早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム