猫の怪我で肉が見える程の傷は自然治癒する?応急処置方法について解説

   

愛猫が喧嘩や事故で怪我をし、皮膚が裂けて痛々しい姿になってしまった。。。

そんなショッキングな光景を目の当たりにして、気が動転してしまうのは当然です。

出血も多く、どうすれば良いか分からず、「猫 怪我 肉が見える」と検索してこの記事に辿り着いた方もいらっしゃるかもしれません。

まずは、落ち着いて深呼吸してください。

あなたの冷静な判断と行動が、愛猫の命を救う鍵になります。

この記事では、肉が見えるほどの深い傷は自然治癒するのか、そして動物病院へ連れて行くまでの最初の10分で飼い主さんがすべき、また絶対にやってはいけない応急処置について、獣医師が緊急性の高い順に解説します。

うさパラ コンテンツ制作チーム

【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム

犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 資格保有者が在籍。

【結論】肉が見える程の猫の怪我は自然治癒に頼らない

皮膚が深く裂け、肉が見えてしまっているような怪我は、自然に治るのを待っていてはいけません。 

このような傷(開放創)は、細菌が入り込みやすく、数時間のうちに急速に増殖し、ひどく化膿してしまう危険性が非常に高いです。

特に猫同士のケンカによる咬み傷は、見た目は小さくても奥深くで細菌感染が起こりやすいのが特徴です。

できるだけ早く(目安として半日以内に)動物病院で適切な処置を受けることが、重症化を防ぐ鍵となります。

なぜ自然治癒が危険なのか

深い傷をそのままにしておくと、細菌感染による膿(うみ)が溜まったり(膿瘍)、傷ついた組織が死んでしまったり(壊死)、いつまでも傷が治らないといった事態を招きます。また、猫自身も強い痛みを感じています。

自己判断で傷の奥を探らない(記録は写真で残す)

傷の状態を確認しようとして、無理に傷口を広げたり、異物を取ろうとしたりしないでください。かえって出血させたり、組織を傷つけたり、感染を悪化させたりする危険があります。獣医師が状況を把握するためには、傷口の状態をスマートフォンなどで写真に撮っておくだけで十分です。応急処置以外で、傷口に直接触れることは極力避けましょう。

(参考文献:Care of Open Wounds in Cats|VCA Animal Hospitals)

肉が見える程の猫の怪我における応急処置フロー

動物病院へ向かうまでの間、愛猫の状態を少しでも安定させ、悪化を防ぐために飼い主さんができる応急処置の手順です。

焦らず、一つずつ行ってください。

1. 圧迫止血:清潔なガーゼを重ねて、しっかり押さえる

出血がひどい場合は、まず止血を試みます。清潔なガーゼやタオルを傷口に直接当て、手のひらで真上から数分間(2〜5分程度)、じっくりと圧迫し続けてください。途中でガーゼを剥がして確認すると、固まりかけた血が剥がれてしまうので、血が滲んできても上から新しいガーゼを重ねて圧迫を続けます。

2. 洗浄:もし可能なら、優しい流水で洗い流す(こすらない)

傷口に土や砂などの異物が付いている場合、可能であれば洗い流します。理想は体液に近い生理食塩水ですが、なければ水道水を、傷口をこすらないように優しく流しかけるだけでも構いません。ゴシゴシこすると組織を傷つけてしまうので、あくまで「洗い流す」程度に留めてください。猫がひどく嫌がる場合は無理に行う必要はありません。

3. 保護:傷口を清潔に保ち、舐めさせない

傷口を外部の汚れから守り、猫自身が舐めて悪化させるのを防ぐために、傷を覆います。まず、傷にくっつきにくいパッドやガーゼを当て、その上から清潔なガーゼを重ね、最後に包帯やテープで締め付けすぎないように巻きます。指が1〜2本入る程度のゆとりを持たせましょう。

4. 搬送準備:安静・保温を心がけ、病院へ連絡

猫をキャリーケースに入れ、できるだけ動かさないようにします。出血が多いと体温が下がりやすいので、タオルや毛布で体を包んで温かくしてあげましょう。必ず事前に動物病院へ電話し、状況(いつ、何が原因で、どんな状態か)を伝えてから向かってください。普段飲んでいる薬やワクチン歴などの情報も伝えると、診察がスムーズです。

(参考文献:First Aid for Bleeding in Cats|VCA Animal Hospitals)

肉が見える程の猫の怪我におけるやってはいけない応急処置

良かれと思った行動が、かえって愛猫を苦しめてしまうことがあります。

以下のことは絶対にしないでください。

水道水で傷口をゴシゴシこすり洗いする

優しい流水で流すのは良いですが、こすり洗いは繊細な組織を傷つけ、感染を悪化させる原因になります。

素手で長時間、傷口に触れ続ける

感染を防ぐため、傷口に直接触れるのは最小限に。可能なら手袋をし、なければ手をよく洗ってから、ガーゼの上から処置しましょう。

人間用の消毒液(マキロン、アルコール等)を使う

人間用の消毒液は猫の組織には刺激が強すぎ、かえって傷の治りを遅らせてしまうことがあります。消毒は病院で行いますので、ご自宅では使わないでください。

「猫 怪我 肉が見える」に関するよくある質問

Q1. 病院に行く前に、ごはんや水をあげても大丈夫ですか?

A1. 原則として、与えないでください。深い傷の処置には、鎮静や麻酔が必要になる可能性があります。胃の中に食べ物や水があると、麻酔中に吐いてしまい、それが気管に入って肺炎を起こす危険(誤嚥)があるためです。病院に着いてから獣医師の指示に従いましょう。

Q2. 止血は何分くらい続ければ良いですか?

A2. まずは2〜5分間、しっかりと圧力をかけ続けてください。途中で手を離さず、じっと押さえることが大切です。それでも止まらない場合は、圧迫を続けながら急いで動物病院へ向かいましょう。

Q3. 包帯が濡れたり、ずれたりしたらどうすれば良いですか?

A3. すぐに交換してください。包帯が血液や体液で濡れたり、汚れたりしたままにしておくと、そこから細菌が入り込む温床になります。病院へ向かう途中であっても、可能であれば清潔なものに交換してあげましょう。

参考文献:

First Aid for Bleeding in Cats|VCA Animal Hospitals

Bandage and Splint Care for Cats|VCA Animal Hospitals

【まとめ】肉が見える程の猫の怪我はすぐに病院へ

愛猫の怪我で「肉が見える」状態は、自然治癒に頼ることは絶対にできません。

それは、感染症やさらなる組織の損傷につながる、一刻を争う緊急事態です。

飼い主さんができる最善のことは、パニックにならず、この記事で紹介した安全な応急処置(圧迫止血、優しい洗浄、保護、保温)を落ち着いて行い、すぐに動物病院を受診することです。

あなたの迅速で適切な判断と行動が、愛猫の回復への一番の近道となります。

監修者コメント
監修者の写真

猫の傷で「肉が見える」状態は、感染や深部損傷の危険がある緊急事態です。この記事では、ショック状態の飼い主様が冷静に、愛猫を傷つけずに病院へ繋ぐための「最初10分の行動」を具体化しました。自己判断で消毒せず、清潔な処置で速やかにプロに託すことが、愛猫の命とQOLを守る唯一の道です。

監修・うさパラ コンテンツ制作チーム

 - 猫の健康

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