ウルウルとした大きな瞳、アップルヘッドと呼ばれる特徴的な丸い頭、そして世界最小と言われるその小さな体。
チワワは、計り知れない魅力で私たちを虜にする、大人気の犬種です。
しかし、そのあまりの可愛らしさから、つい衝動的に迎えてしまった結果、「こんなはずじゃなかった…」「チワワ 飼うんじゃなかった」と、想像と現実のギャップに深く悩んでしまう飼い主さんがいるのも事実です。
この記事では、なぜそのような後悔が生まれてしまうのか、飼い主さんが「もう無理かもしれない」と感じてしまう5つの瞬間を、獣医師の視点から徹底的に解説します。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
【結論】チワワは初心者には工夫と勉強が必須な犬種
チワワはその愛らしさとは裏腹に、非常に感受性が高くデリケートなため、飼育には少しコツが必要です。
上手に付き合えば最高の家庭犬になりますが、ご家族全員が一貫したルールを守ること、チワワの華奢な体格に合わせた安全な住環境を整えること、そしてかかりやすい病気への理解とい点は、迎える前に必ず押さえておく必要があります。
これさえ理解しておけば、「チワワを飼うんじゃなかった」という後悔の多くは避けることができるはずです。
チワワを飼うんじゃなかったと後悔する瞬間①吠え・噛みが止まらない
チワワが「飼いにくい」と感じる最大の理由が、警戒心の強さからくる吠えや噛みつきです。
来客や物音に激しく吠えたり、口や足先などを触られるのを嫌がって噛もうとしたりするのは、彼らの臆病さの裏返しでもあります。
大切なのは、まず「いつ・何に対して」その行動が起きるのかを冷静に観察すること。
そして、怖い対象から距離を置いたり、おやつを使って「来客=良いことがある」と教えたりして、不安を安心に変えてあげるトレーニングが重要です。
要求吠えに対しては、吠えている時は応えず、静かになった瞬間に褒めるという一貫した態度が求められます。
(参考文献:Breed differences in canine aggression|Elsevier B.V.)
チワワを飼うんじゃなかったと後悔する瞬間②華奢な骨格ゆえのケガ・寒がり・暑さに弱い
チワワの体は非常に華奢で、私たちが思う以上に怪我をしやすいです。
ソファから飛び降りただけで骨折したり、滑るフローリングで膝や腰を痛めたりすることも少なくありません。
また、体が小さいため体温調節が苦手で、寒さにも暑さにも非常に弱いです。
室内の動線には滑り止めマットを敷き、ソファなどにはスロープを設置する。
散歩は首への負担が少ないハーネスを選び、夏は涼しく冬は暖かい服装や寝床を用意するなど、超小型犬専用の環境整備が不可欠です。
(参考文献:Fracture fixation: distal radius and ulna|Vetstream Ltd)
チワワを飼うんじゃなかったと後悔する瞬間③持病リスク
チワワには、その犬種特有のかかりやすい病気がいくつかあります。
代表的なものは、膝のお皿が外れやすい膝蓋骨脱臼(パテラ)、呼吸が苦しくなる気管虚脱、そして小さな口に歯が密集することで起こりやすい歯周病などです。
子犬の頃は、食事が空くと低血糖でふらつくことも。
これらのリスクをあらかじめ知っておくことが、早期発見と予防(滑らない床、歯磨きの習慣化など)に繋がります。
(参考文献:Patellar Luxations| American College of Veterinary Surgeons)
チワワを飼うんじゃなかったと後悔する瞬間④しつけの問題
チワワは非常に賢い反面、一貫性のないルールや、飼い主さんの甘やかしには敏感です。
ご家族の中で対応がバラバラだと、犬は何を学べば良いか混乱し、結果として「言うことを聞かない」状態になってしまいます。
また、大きな声で叱るなどの罰を与える方法は、臆病なチワワには逆効果で、信頼関係を失うだけです。
「できたら褒める」というポジティブな方法で、家族全員が同じルールで根気よく教えることが成功の鍵です。
(参考文献:Why-We-Dont-Punish|SAN FRANCISCO ANIMAL CARE & CONTROL)
チワワを飼うんじゃなかったと後悔する瞬間⑤突発的な出費
前述した骨折や膝蓋骨脱臼の手術、あるいは歯周病の専門的な歯科処置には、数十万円単位の突発的な医療費がかかることがあります。
日々のフード代や消耗品費だけでなく、こうした万が一の医療費に対する経済的な備え(ペット保険の加入検討や貯蓄)があるかどうかも、後悔しないために重要なポイントです。
【チェック】あなたはチワワの飼い主に向いているか?
チワワとの幸せな生活のために、ご自身の状況をチェックしてみましょう。
まず、滑らない床材や段差対策など、安全な環境をすぐに整えられますか?
警戒吠えが出やすいことを理解し、近隣に配慮しつつトレーニングの時間を確保できますか?
毎日の歯磨きやこまめなお手入れを習慣にできますか?
そして何より、突発的な医療費への備えはありますか?
もし不安な項目が複数あるなら、まずはその準備期間を設けることをお勧めします。
迎える前に始めるべき準備(後悔の予防策)
犬との生活は喜びですが、安易な決断は犬と飼い主双方を不幸にしています。
将来後悔しないために、迎える前に必ず知っておくべき経済的・環境的な「予防策」を始めましょう。
チワワのしつけについて学ぶ
後悔を防ぐ鍵は、迎える前の「予習」にあります。特に重要なのが、子犬期の「社会化」です。様々な音や人、触られる経験に少しずつ慣らすことで、将来の臆病さや警戒吠えを減らすことができます。また、叱るのではなく褒めて教えること、そして興奮した時に落ち着ける「安全地帯」(マットやクレートを教えるトレーニング法を学んでおきましょう。
環境の準備
チワワが家に来る前に、安全な環境を整えておきます。滑りやすい床にはマットを敷き、ソファやベッドにはスロープを設置します。高い場所へ行けないようベビーゲートで行動範囲を区切ることも有効です。首への負担を減らすハーネスや、温度管理のためのエアコン、ペットヒーターなども準備しましょう。
心の準備
「吠え癖をゼロにする」といった完璧を目指すのではなく、「吠える時間を短くする」など、現実的な目標を立てることが大切です。もししつけがうまくいかなくても、ご自身を責めず、環境や教え方を見直しましょう。そして、少しでも困ったら、一人で抱え込まずに獣医師やトレーナーといった専門家に早めに相談するという心の準備をしておいてください。
「チワワを飼うんじゃなかった」に関するよくある質問
Q1. チワワは共働きで飼えますか?
A1. 可能です。ただし、長時間の留守番は大きなストレスになるため、段階的な留守番練習が不可欠です。カメラでの見守り、夢中になれる知育玩具の活用、そして何より在宅時のコミュニケーションを密にすることが前提となります。必要に応じて、日中のペットシッターや一時預かりの利用も計画に入れておきましょう。
Q2. チワワにはどんな特徴がありますか?
A2. 賢く、飼い主への愛情が深い一方で、臆病さからくる警戒心も強いのが特徴です。体は非常に華奢で、膝や気管、歯のケアが特に重要。また、寒さや暑さにも弱いため、一年を通した室温管理が欠かせません。
(参考文献:Chihuahua|PetMD)
Q3. 旅行や急な不在時はどうすれば良いですか?
A3. 普段からクレートやサークルを「安心できる場所」として慣らしておくことが非常に重要です。環境の変化にデリケートなため、預け先となるペットホテルやペットシッターも、事前に何度か短時間から利用し、愛犬が安心して過ごせる場所かを確認しておきましょう。
【まとめ】チワワを「可愛い」だけで飼って後悔する前に予習をして、検討しよう
チワワの「可愛い」という魅力の裏には、吠えやすさ、骨格の華奢さ、体温調節の難しさ、かかりやすい病気といった、飼い主の特別な配慮を必要とする現実があります。
しかし、これらのリスクをあらかじめ理解し、安全な環境整備、正しいしつけ、そして健康管理という3つの柱をしっかり整えれば、「チワワ 飼うんじゃなかった」という後悔は、「うちの子でよかった」という深い喜びに変えることができます。
迎える前にご自身のライフスタイルや経済状況を見積もり、ご家族全員で一貫したルールで向き合うことを約束しましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム