
猫をお迎えしたとき、「ケージ飼いしてもいいのかな?」と悩むこともあるのではないでしょうか。
とはいえ、自由に過ごせないのはかわいそうな気もするし、ストレスがたまるのではないかと心配にもなりますよね。
実際、猫のケージ飼いには賛否両論あり、使い方によっては猫に大きな負担をかけてしまうこともあります。
かといって、ケージを使うのはダメというわけでもありません。ケージは、正しく使うことで猫にとってもメリットがあり、状況によってはとても役立つアイテムです。
もちろん、ほとんどケージから出さないという飼い方は避けなければいけませんが、ケージを使うかどうかは、単に「入れる・入れない」で考えないようにしましょう。
この記事では、猫のケージ飼いをしてもいいのか、メリットや注意点、正しい使い方とあわせて解説します。
- 猫をケージ飼いするときの基本的な考え方
- ケージが役立つ場面と注意したい使い方
- 猫が安心して過ごせる環境づくりのポイント
【執筆】なっきー(ペット専門家・ライター)
ペットケアライター。犬猫に関する資格を多数保有するほか、海外のペット関連講座も複数修了。犬猫に関する記事の執筆・監修、ペット用品の商品開発アドバイスなどに携わる。現在も複数の愛犬と暮らしている。
目次
【結論】猫のケージ飼いは、使い方次第で安心できる居場所になる
結論から言うと、猫のケージ飼いは、使い方が適切なら猫にとって安心できる居場所になります。
もともと猫は隠れられる場所や、落ち着ける狭い空間があると安心しやすいため、自分だけの空間があれば落ち着いて過ごすことができるでしょう。
このように、ケージに入れること自体が、必ずしも猫の負担になるわけではありません。
ただし、すべての猫がケージで安心できるわけではないため、猫の様子や反応を見ながら判断することが大切です。
猫をケージ飼いしてもいい?猫の負担にならない考え方
猫のケージ飼いについては、「閉じ込めるのはかわいそう」と感じる人がいる一方で、できるだけケージ内で過ごさせたいと考える人もいるでしょう。
猫のケージ飼いがかわいそうかどうかは、ケージを使うことだけでは判断できません。
人の感覚や都合だけで決めるのではなく、猫の習性や生活の質を基準に考えることが大切です。
ケージを使う目的を理解し、猫の負担とならない使い方にするためにも、ここで基本的な考え方を確認しておきましょう。
①ケージは閉じ込める場所ではなく一時的な安全スペース
ケージは、猫を閉じ込めておくための場所ではなく、必要なときに安全を確保するための一時的なスペースとして使うものです。
飼い主さんの都合で猫の行動を常に制限したり、いたずらへの罰として入れたりする使い方は、本来のケージの使い方ではありません。
猫がケージを嫌な場所だと思わないように、使い方に配慮することが大切です。
②長時間入れっぱなしはストレスや運動不足につながる
猫を長時間ケージに入れたままにすると、自由に動き回ったり高い場所へ移動したりする機会が減り、運動不足につながります。
また、周囲を探索する、爪をとぐ、好きな場所で休むといった猫本来の行動も制限されるため、ストレスになってしまうでしょう。
ストレスや運動不足は体調を崩す原因になることもあり、注意が必要です。
猫のケージ飼いが役立つ場面
猫のケージ飼いは、ケージの使い方を間違えればデメリットしかありませんが、状況に応じて活用すれば、メリットもあります。
猫は自由気ままな動物として知られていますが、常に自由にさせておくことだけが最善とは限りません。
人と一緒に暮らす中では、一時的に行動を制限したほうがいいときや、ケージがあることで猫が落ち着けるときもあります。
また、普段からケージに慣れておけば、いざというときにも猫が過度な不安を感じにくくなるでしょう。
ここでは、猫のケージ飼いがどのような場面で役立つのかを解説します。
①子猫を迎えたばかりの時期
子猫を迎えたばかりの時期は、ケージを活用することで、子猫が新しい環境に慣れやすくなります。
知らない場所に突然連れてこられた子猫は、見慣れない人や音、においなどに囲まれて不安を感じていることも珍しくありません。
最初から広い室内を自由にさせると、子猫は落ち着ける場所がなく、不安や緊張が大きくなってしまうでしょう。
②夜間や留守番中の事故を防ぎたいとき
夜間や留守番中など、飼い主さんが猫の様子を見守れない時間の事故を防ぎたいときに、ケージが役立つこともあります。
猫は好奇心旺盛な動物なので、人が思ってもいない行動をすることも少なくありません。
部屋の安全対策が十分でない場合は、自由にさせるよりも、危険なものに触れられない環境で過ごしてもらったほうが安心です。
③来客・多頭飼い・災害時など一時的に分けたいとき
来客時や多頭飼いの猫同士を一時的に分けたいときにも、ケージは役立ちます。
知らない人の出入りに驚いて脱走したり、多頭飼いでは、感染症の治療中や食事の個別管理など、猫にケージに入ってもらったほうがいい状況になることも珍しくありません。
また、災害時には、避難先で猫にケージに入ってもらう場面も出てくるでしょう。
猫をケージで飼うときの注意点
猫のケージ飼いは、ただ中に入ってもらっておけばいいというものではありません。
飼い主さんから見て猫が問題なく過ごしているように見えても、不快さや不安を我慢していることもあります。
実際、ネット上では、ずっとケージ飼いされている猫が、たまに出すと走り回るからと、すぐにケージに戻されるケースも見られました。
しかし、それは運動不足やたまったエネルギーの表れです。
飼い主さんの都合だけで猫の動きを制限していいわけではありません。
猫に負担をかけないためにも、ケージで飼うときの注意点を理解しておきましょう。
①自由に過ごす時間と遊びの時間を確保する
猫をケージ飼いする場合でも、自由に過ごしたり、飼い主さんと遊んだりする時間を十分に確保しましょう。
猫には、獲物を探し、追いかけ、飛びつくといった狩猟本能があります。
室内では実際に狩りをすることができないため、遊びを通してこうした欲求を満たしてあげなければいけません。
欲求が満たされないと、ストレスや問題行動につながることがあります。
②トイレ・水・寝床を清潔に保つ
ケージ内のトイレや水入れ、寝床は、清潔に保つことが大切です。
猫はきれい好きなため、トイレが汚れていると排泄を我慢したり、粗相したりすることがあります。
また、水に毛やほこり、フードなどが入っていると、飲むことを避けることもあるでしょう。
排泄の我慢や飲水量の低下は、泌尿器系の病気につながるため、汚れたままにしないようにしてください。
③暑さ寒さや音、人通りが多い場所を避ける
ケージは、暑さや寒さの影響を受けにくく、猫が落ち着ける場所に設置しましょう。
直射日光が当たる窓際やエアコンの風が直接当たる場所は、ケージ内の温度が変化しやすいため注意が必要です。
また、テレビの近くや人が頻繁に通る場所では、音や気配が気になって、猫が落ち着いて休むことが難しくなります。
猫が安心して過ごせるケージの使い方
猫のケージ飼いをするためには、安心して過ごせるようにしてあげなければ、意味がありません。
猫にとってケージは、生活環境の一部です。飼い主さんが必要だと思って用意しても、猫に合っていなければ過ごしにくくなってしまうでしょう。
せっかく用意するのであれば、おしゃれなデザインのものを選びたくなることもあると思いますが、猫が無理なく使えるかどうかを考えてあげることが大切です。
ここでは、猫が安心して過ごせるケージの使い方について解説します。
正しい使い方で、猫にとって居心地のいい場所にしてあげましょう。
①無理に入れず短時間から慣らす
最初はケージの扉を開けたままにし、猫が自分から入るのを待ちましょう。
中で落ち着いて過ごせるようになったら、短時間だけ扉を閉め、様子を見ながら少しずつ時間を延ばしていきます。
無理に押し込んだり、いきなり長時間閉じ込めると、ケージを怖い場所や嫌な場所だと覚えてしまうことがあるため、猫のペースに合わせて慣らしていくことが大切です。
②上下運動できる高さと落ち着ける寝床を用意する
猫がケージ内でも上下運動できるよう、高さのあるタイプを選びましょう。
猫は高い場所に上がる習性があります。
最近では、4段タイプや5段タイプの大型ケージもあり、猫の体格に合った広さや高さのものを選べば、限られた空間でも体を動かせるでしょう。
また、周囲を気にせず休める寝床も用意してあげることが大切です。
(参考文献:Setting Up the Environment for Success|FELINEVMA)
③鳴く・嫌がるときは原因を見直す
猫がケージ内で鳴き続けたり、嫌がるときは、叱ったり無視したりせず、原因を見直しましょう。
ケージに慣れていない、不安やストレスを感じている、外に出たいなど、理由は猫によって異なります。
また、痛みや体調不良が隠れていることもあるため、鳴くことをわがままと決めつけないようにしてください。
(参考文献:Training Techniques for Addressing Undesirable Behaviors|FELINEVMA)
猫のケージ飼いに関するよくある質問
Q1.猫を一日中ケージで飼ってもいいですか?
基本的に、猫を一日中ケージに入れたまま飼うのは避けましょう。ずっとケージの中での生活は、猫にとって大きなストレスになります。ケージは猫の生活場所をすべて置き換えるものではなく、必要な場面で一時的に活用するものです。日常的に使用する場合も、ケージの外で自由に過ごせる時間を十分に確保しましょう。
(参考文献:Cat Friendly Homing information pack|international cat care)
Q2.猫を夜だけケージに入れてもいいですか?
夜間の安全確保などはっきりとした目的があり、短時間で猫が落ち着いて過ごせる場合は、夜間に一時的に使う選択肢もあります。ただし、鳴き続ける、落ち着かないといった様子が見られる場合は、夜のケージ飼いが負担になっている可能性があります。その場合、室内の安全対策を行い、夜も自由に過ごせる環境を整えたほうがいいでしょう。
(参考文献:2013 AAFP/ISFM Environmental Needs Guidelines|FELINEVMA)
Q3.ケージに入れると猫はなつかなくなりますか?
ケージに入れることだけで、猫がなつかなくなるとは限りません。ただし、嫌がる猫を追いかけて無理に押し込んだり、いたずらへの罰として入れたりすると、飼い主さんに恐怖や不安を感じるようになる可能性はあります。猫との信頼関係を損なわないためにも、ケージを罰に使わず、できるだけ猫が自分から入れるようにしましょう。
(参考文献:AAFP and ISFM Feline-Friendly Handling Guidelines|J Feline Med Surg)
【まとめ】猫のケージ飼いは補助的に活用しよう
ペットショップなどで見かける猫はケージに入っているためか、猫をずっとケージ飼いしてもいいと考える人も珍しくありません。
しかし、限られた空間だけで一生過ごさせる飼い方は、猫らしい行動を大きく制限してしまいます。
ケージには猫の安全を守ったり落ち着ける空間を作れるなどのメリットはありますが、あくまでも補助的に活用するものです。
ケージの外で自由に過ごせる時間と、安全に過ごせる環境を確保し、猫の様子に合わせて取り入れましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム