犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、長期的な投薬や定期検査が必要になるため、「治療費払えないかも…」と悩む飼い主さんは少なくありません。
実際、筆者の愛犬も下垂体腫瘍のクッシング症候群で5年治療をしていたので、治療費の不安はよくわかります。
特に、代表的な治療薬は1錠あたりの値段も高く、体が大きくなるほど投薬量が増えるので、薬代の負担が大きくなるでしょう。
とはいえ、治療費が厳しいからといって自己判断で薬をやめたり、通院を中断したりするのはとても危険です。
愛犬の状態によっては、症状の悪化や合併症につながることもあり、治療を続けることが大切です。
そこでこの記事では、犬のクッシング症候群の治療費払えない時の対処法や末期症状について解説します。
目次
【結論】自己判断で急に薬をやめるのは命に関わる
犬のクッシング症候群は、急に薬をやめると命にかかわることもあります。
クッシング症候群の治療薬は、体内で過剰に分泌されるコルチゾールを抑え、諸症状を改善する目的で使われます。
しかし、薬をやめると抑えられていたコルチゾールの影響が再び強くなり、状態が急変したり、場合によっては突然死につながったりすることも珍しくありません。
もちろん、犬の体調が悪いときは休薬が必要になることもあります。
ただし、それは定期的な通院で獣医師が犬の状態を把握している前提での対応であり、自己判断でやめていいわけではありません。
治療費が払えないからといって自己判断で治療をやめるのは危険
犬のクッシング症候群では、「治療費払えない」と自己判断で治療をやめてしまうのは危険です。
クッシング症候群は治療を始めたら終わりではなく、生涯にわたって犬の体調や血液検査の結果を見ながら、薬の量や服用頻度を調整していく必要があります。※医原性を除く
治療せずに放置すると、糖尿病や高血圧、感染症、血栓症などの合併症を起こすこともあるので注意しましょう。
(参考文献:Treating Cushing’s Disease in Dogs|FDA)
犬のクッシングの治療費が払えない時にできる対処法①獣医師に「毎月の予算の限界」を正直に相談する
犬のクッシング症候群の治療費が払えないときは、まず獣医師に「毎月いくらまでなら治療費を出せるのか」を正直に伝えましょう。
遠慮して曖昧に伝えるよりも、「月1万円まで」「検査が重なる月は厳しい」など具体的に相談したほうが、現実的な治療方針を考えやすくなります。
お金の話をすることは恥ずかしいと思うかもしれませんが、同じように治療費に悩む飼い主さんは少なくありません。
獣医師もそうした事情があることは理解しているため、遠慮せずに相談しましょう。
治療を続けられなくなることのほうが犬の命にかかわる問題なので、正直に相談することが大切です。
犬のクッシングの治療費が払えない時にできる対処法②根本治療ではなく「対症療法(緩和ケア)」に絞る
犬のクッシング症候群は、根本的な治療ではなく、対症療法や緩和ケアという方法に絞ることも検討してみましょう。
根本治療を行う場合、下垂体や副腎の腫瘍を摘出する手術が必要になりますが、手術はとても難しく、対応できる病院が限られているうえ、その費用も高額です。
さらに、手術後はホルモン補充療法が一生涯必要になるため、手術を受ければ治療がすべて終わるというわけでもありません。
根本治療をしてあげたいと思う気持ちもわかりますが、犬の年齢や状態によっては手術が難しい場合もあるので、対症療法や緩和ケアを優先するのもひとつの方法です。
犬のクッシングの治療費が払えない時にできる対処法③クラウドファンディングやSNSで支援を募る
犬のクッシング症候群の治療費が払えない時に、クラウドファンディングやSNSで支援を募る方法もあります。
ただし、不特定多数の人に費用をお願いする以上、治療内容や必要金額、診断書や見積書、集まったお金の使い道を明確に示すことが大切です。
また、SNSではトラブルに発展するケースも多く、伝え方やお金の扱いには慎重さが求められるでしょう。
とはいえ、クラウドファンディングやSNSでの支援を募るのは、安易に選ぶ方法ではありません。
まずは銀行に相談するなど自分で費用を用意する方法を検討し、それでも難しい場合の最終手段として考えましょう。
犬のクッシングの治療費が払えない時にできる対処法④薬代を「個人輸入」で抑える
薬代を抑えたい場合は、獣医師に相談のうえ、薬を個人輸入代行サイトで購入して費用を抑えることも可能です。
犬のクッシング症候群は、医原性を除き、生涯にわたる長期的な投薬管理が必要になります。
個人輸入代行サイトでの購入は、国内の動物病院で処方されるより費用を抑えられるため、治療を続けやすくなるでしょう。
ただし、個人輸入した薬であっても、用量の変更や休薬を自己判断で行うのは危険です。
現在の検査結果や体調に合った量で使う必要があるため、必ず獣医師に相談しながら利用してください。
検査頻度や通院間隔を獣医師へ相談する
検査頻度や通院間隔を獣医師に相談してみましょう。
犬のクッシング症候群では、薬の効果や副作用を見るために、定期的な血液検査やACTH刺激試験が必要です。
ただし、状態が安定している場合は、検査の種類や通院間隔を調整できることもあります。
実際、筆者の愛犬は血液検査は毎月でしたが、状態が安定してからはACTH刺激試験の頻度を1年に1回あるかないかと大きく減らせましたよ。
もちろん、投薬開始直後や薬の量を変更した後の通院や検査は避けられませんが、今の愛犬の状態でどこまで間隔を空けられるかを獣医師に確認してみるといいでしょう。
犬のクッシング症候群を治療しないとどうなる?
犬のクッシング症候群を治療せずに放置すると、症状は徐々に進行し、感染症や血栓症などの合併症を起こしたり、命にかかわることがあります。
元気そうに見えても、少しずつさまざまな症状があらわれるため注意が必要です。
お腹が膨らむ
お腹が膨らむのは、犬のクッシング症候群でよく見られる症状のひとつです。
コルチゾールは筋肉のたんぱく質を分解して血糖を維持する働きがありますが、過剰に分泌されると筋肉が落ちやすくなります。
腹筋が弱くなることでお腹を支えきれず、脂肪のつき方の変化も重なって、「ポットベリー」と呼ばれるビール腹のような体型になることも少なくありません。
(参考文献:Cushing’s Disease in Dogs|vcahospitals)
毛が抜ける
クッシング症候群が進行すると、被毛が薄くなったり、毛が抜けることも珍しくありません。
コルチゾールが過剰に分泌されると、皮膚や被毛の成長に必要な代謝が乱れ、毛が生え変わりにくくなります。
さらに、ホルモンの影響は血液を通じて全身に及ぶため、背中やお腹、脇腹などの毛が左右対称に薄くなったり抜けてしまうのです。
皮膚が薄くなる
犬のクッシング症候群では、血管が透けて見えるくらいに皮膚が薄くなることもあります。
増えすぎたコルチゾールの影響でコラーゲンが作られにくくなり、皮膚の新陳代謝や修復力が低下します。
その結果皮膚のハリや厚みが失われ、少しこすれただけで傷ができやすくなるほか、皮膚のバリア機能や免疫の働きも弱くなるため、細菌感染にも注意が必要です。
(参考文献:Cushing Syndrome (Hyperadrenocorticism) in Animals|merckvetmanual)
「犬 クッシング 治療費払えない」に関するよくある質問
Q1.高齢犬なので無理に治療せず、自然に任せてもいいですか?
高齢犬だからといって、自己判断で治療をやめて自然に任せることはおすすめできません。クッシング症候群は治療をしないと、多飲多尿や強い空腹感、皮膚トラブル、感染症などで余計に体がつらくなることもあります。また、血栓症や糖尿病などの合併症につながるだけでなく、突然死のリスクも高まります。「治療しないほうが楽なのでは?」と決めつけず、愛犬の体の負担や不快感を減らす方法を獣医師と相談することが大切です。
Q2.クッシング症候群と診断されてからペット保険には入れますか?
クッシング症候群と診断された犬がペット保険に加入することはできません。筆者も愛犬のペット保険の乗り換えを検討していたときに、ペット保険記事の調査も兼ねて16社に確認しましたが、ほとんどの保険会社で加入不可という回答でした。たとえ病歴を隠して加入しても、保険金請求のときに調査が入り、告知義務違反として罰せられます。保険で治療費をまかなうより、分割払いの相談や治療費を抑える方法を考えるほうが現実的です。
Q3.動物病院へ行く回数を減らす相談を獣医師にできますか?
相談することはできます。ただし、通院間隔を空けられるかどうかは、犬の状態や血液検査の結果によって異なります。自己判断で通院を減らすと、体内に異変が起きていても気づくのが遅れてしまうので注意が必要です。クッシング症候群の薬は、効きすぎると副腎機能低下を起こし、命に関わることもあります。実際、筆者の愛犬も飲み始めに白血球減少が起こり、薬の調整が必要でした。通院を減らしたい場合は、必ず獣医師に相談してください。
(参考文献:Update on the use of trilostane in dogs|Can Vet J)
【まとめ】一番やってはいけないのは「一人で悩み、無断で治療を諦めること」
愛犬がクッシング症候群と診断されると、病気の心配はもちろん、治療費の不安もあるでしょう。
しかし、一番やってはいけないことは、一人で悩み「治療費払えないからもう行かない」と治療を諦めることです。
クッシング症候群の治療費には、薬代や検査代、通院費などがあり、どこが負担になっているかによって見直せる部分も変わります。
また、獣医師に相談することで、愛犬の状態に合わせて優先すべき治療を考えてくれます。
犬のクッシング症候群は、生涯にわたって治療が必要な病気です。
愛犬のためにも、自己判断で治療をやめる前に、獣医師に費用の不安を正直に伝えましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム