愛犬のお世話を一生懸命しているのに、何とも言えない距離を感じて寂しくなっているのではないでしょうか。
ほかの家族には甘えるのに、自分のところにはあまり来てくれないと、余計に「もしかして嫌われているのかな」と落ち込みますよね。
愛犬との距離が開いてしまうのは、もしかしたら接し方を間違えているのかもしれません。
また、特に距離は感じていなくても、「もっと好かれたい」「もっと信頼されたい」という気持ちは、飼い主なら誰もが思うことでしょう。
この記事では、犬に好かれる方法と、最短で関係を築くコツについて解説します。
これから犬を迎える予定の人にとっても役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてください。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
犬に好かれる方法は“運”ではなく手順
犬に好かれるかどうかは、相性や性格、運といったあやふやなものではなく、誰にでもできる手順が重要です。
もちろん、この手順はすべての犬に当てはまるわけではありません。
実際、近年の研究ではオス犬では明確な変化が見られない一方で、メス犬は有能さを感じさせる人を好む傾向にある可能性を報告しています。
とはいえ、こうした個体差があるからといって、犬に好かれる方法が難しくなるというわけでもないので安心してください。
犬には、性別や性格に関係なく共通して働く本能や学習能力があり、そのポイントを押さえることで良好な関係づくりを築くことができます。
(参考文献:Female dogs evaluate levels of competence in humans|ScienceDirect)
犬に好かれる方法の基礎知識
犬に好かれるためには、好きという自分の感情だけでなく、まず犬という動物そのものを知ることが大切です。
犬はとても賢く共感能力もありますが、人の気持ちを人間と同じように理解できるわけではありません。
ここでは、犬に好かれる方法の3つの基礎知識について見ていきましょう。
群れの本能が求める「安心できる仲間」の存在
犬は群れで協力して生きてきたオオカミを祖先に持つため、本能的に安心できる仲間を求める動物です。
オオカミは、生存率を高めるために群れで狩りや子育て、防衛などを行っていました。
そのため現在の犬にも、「仲間とつながりたい」「安心できる相手のそばにいたい」という群れの本能が残っているのです。
(参考文献:Wolf–Dog–Human: Companionship Based on Common Social Tools|University of Vienna)
ネガティブな経験をさせない「予測可能な行動」
犬は本能的に危険かどうかを事前に判断できない状態にストレスを感じるため、次に何が起こるか予測できない行動を苦手とします。
たとえば、突然の大声や急な動作、態度の急変などは、犬に不安や警戒心を与えてしまう原因になりかねません。
予測できるかどうかは、犬が安心して人と関われるかを判断する重要な要素のひとつです。
オキシトシン(愛情ホルモン)を分泌させるポジティブな学習
犬は、心地良いと感じる関わり合いによってオキシトシンが一時的に増加し、そうした状態を繰り返し経験する中で「この人は安全だ」と学習します。
犬と人が見つめ合ったり触れ合うことで両方のオキシトシンが増えることは研究でも明らかになっています。
その関係性が、絆の形成に深く関わっていると示す報告も少なくありません。
(参考文献:Oxytocin-gaze positive loop and the coevolution of human-dog bonds|麻布大学)
犬に好かれる方法①警戒心を与えないファーストアプローチ
犬に好かれるために最初に重要なのは、出会った瞬間に「この人は安全な存在だ」と判断してもらうことです。
たとえば、以下のような行動は犬に好かれるどころか、警戒心を与えてしまいます。
- 正面や死角から近づく
- 上から覗き込む
- 急に触る
- 立ったまま覆いかぶさるように接する
- じっと目を見つめ続ける
こうした行動は、予測しづらい動きや、威圧的な行動として受け止められやすいため、犬にとって警戒心を強める原因になりかねません。
ファーストアプローチは、少し横向きに立って視線と距離を保ち、犬の反応を見ながら必要に応じてゆっくりと腰を落としましょう。
無理に距離を詰めず、犬が自分から近づいてくるのを待ってあげることが大切です。
犬に好かれる方法②過度な触れ合いを避け、犬に選ばせる
犬に好かれるためには、自分の都合で触ることよりも、犬に選ばせてあげることが重要です。
早く仲良くなりたいからといって、嫌がる犬を抱っこしたり撫で続けたりすると、犬にとって逃げ場がない拘束となり、強いストレスにつながります。
犬が自分から撫でてほしいと近づいてきたときにはたくさん触れ、離れたときは無理に追いかけないようにしましょう。
こうした距離感を守ってあげることで、犬は自分の意思を尊重してくれる人だと学習し、安心して身を委ねてくれるようになります。
犬に好かれる方法③信頼を固定化する報酬のルール
犬との信頼関係を安定させるための、「良い行動の後には良いことがある」という報酬のルールを一貫して守ることも重要です。
犬は行動と結果の結びつきで学習するため、対応がぶれると何が正解なのかが分からなくなってしまいます。
たとえば、落ち着いて待てた、呼んだら来れたなどの行動ができたら、すぐに褒めたりご褒美を与えたりしてあげましょう。
犬を混乱させないためにも、自分ひとりだけでなく、家族みんなが同じルールで徹底することが大切です。
犬に好かれる方法④声量と動作
犬はもともと音や動きに敏感な感覚を持つため、接するときの声の大きさや動作の速さも、犬の感じ方を大きく左右する要素のひとつです。
また、犬は声のトーンや表情、身体の動きといった複数の情報を組み合わせて人の感情を判断していると考えられています。
そのため、たとえ優しい言葉をかけていても、大声や急な動作が伴えば、犬に不安や恐怖を与えかねません。
立ち上がる、手を伸ばすなどの普段の何気ない動きも、ゆっくり動くことを意識しましょう。
あなたの落ち着いた動きが、安心感につながります。
(参考文献:Dogs recognize dog and human emotions|University of Lincoln)
犬に好かれる方法⑤褒め言葉やフードを使う
犬は、うれしい感情を相手や状況と結びつけて記憶するため、褒め言葉やフードを使うことで、「この人といると良いことがある」と学習する手掛かりになります。
また、犬は言葉の意味をある程度理解している可能性も示されており、褒め言葉は積極的に取り入れたいコミュニケーション手段と言えるでしょう。
たとえば、良い行動の後に「いい子だね」「偉いね」と伝えたり、ご褒美に少量のフード(おやつなど)を使うことで、ポジティブな記憶として定着しやすくなります。
ただし、何でもない場面で褒めたりフードを与えると効果は薄まってしまうため、褒めるタイミングを意識することが大切です。
(参考文献:Neural evidence for referential understanding of object words in dogs|ScienceDirect)
犬に恐怖を与える2大NG行為
どれだけ可愛がっていたり大切に想っているつもりでも、犬にとって恐怖や警戒につながってしまう行動もあります。
ここでは、無意識にやりがちな犬に恐怖を与えるNG行為を確認しておきましょう。
ハグ
人にとってハグは愛情表現ですが、犬にとっては逃げ場のない恐怖を感じやすい行為です。
ハグとは犬の体に両腕を回して抱きしめることで、犬は体の自由を奪われ、その場から逃げ出すことができません。
特に顔の近くに腕を回す動作は、犬に強い緊張や恐怖を与える原因になりやすいため注意が必要です。
そのため、関係性ができていない犬や抱っこが苦手な犬のハグは、避けたほうが良いでしょう。
もちろん、関係性が築けていて自分から体を委ねてくれる犬の中には、ハグを自然に受け入れられる個体もいますよ。
真正面からの凝視
真正面からジッと見つめるのは、犬にとって威嚇や挑戦と受け取られやすいNG行為です。
犬は本来争いを嫌う動物で、目をそらすことで敵意がないことを伝えています。
そのため、まだ関係性ができていない犬をジッと見つめると敵意や緊張のサインとなり、不安や恐怖、警戒心を一気に高めてしまう原因にもなりかねません。
関係性が築けるまでは目が合っても見つめ続けず、状況に応じてそっと視線を外してあげましょう。
「犬に好かれる方法」に関するよくある質問
犬に好かれるためにはさまざまな積み重ねが大切ですが、方法とまでは言わなくても「じゃああれは?」という疑問も出てくるでしょう。
そこでここでは、犬に好かれる方法に関するよくある質問にお答えします。
Q1.どんな人が犬に好かれますか?(特徴)
A1.犬に好かれやすい人には、特徴の傾向があります。
- 優しく穏やかな声で話す
- 落ち着いた態度をとっている
- 感情の起伏が少ない
- 犬の目線に合わせられる
- 犬のペースを尊重できる
こうした特徴を持つ人は、犬にとって安心できる相手と認識されやすく、自然と距離も縮まりやすくなります。また、犬は人間の気持ちに共感する能力が高いことが研究でも示されており、もしかしたら「この人、自分のこと好きかも」という空気感も伝わっているかもしれません。
<参考文献:Emotional contagion from humans to dogs is facilitated by duration of ownership.>
Q2.知らない犬に好かれる方法は?
A2.知らない犬に好かれるために大切なのは、自分から距離を詰めすぎないことです。仲良くなりたいからとグイグイいってしまうと、かえって犬は警戒してしまいます。まずは犬のほうから近づいてくるのを待ち、近づいてきてくれたら手の甲のニオイを嗅いでもらいましょう。無理に触ろうとせず、犬のペースを尊重してあげることが大切です。耳を伏せる、体をそらすなどのサインが見られたら「これ以上はやめてほしい」という意思表示なので、距離をとってあげましょう。
Q3.怖がりの犬との接し方は?
A3.怖がりの犬と接するときに最優先すべきことは、犬の気持ちや選択を優先してあげることです。無理に近づこうとせず、逃げ道や隠れられる場所を確保した状態にしてあげるだけでも犬にとっては大きな安心材料になります。仲良くしたい気持ちをグッと我慢し、犬が自分から近づいてきてくれたタイミングで接するようにしましょう。犬のペースに合わせてコミュニケーションを取ることが信頼関係を築く一番の近道になります。
(参考文献:How to Train a Fearful Dog|AMERICAN KENNEL CLUB)
【まとめ】絆は運ではなく、科学的な「犬に好かれる方法」の積み重ね
愛犬との距離を感じて、相性が合わないのではないか、嫌われているのではないかと不安になることもあるかもしれません。
しかし、犬との絆は互いの性格や相性、運などではなく、犬に好かれる方法の積み重ねで育って行くものです。
もう一度、今愛犬とどう接しているのかを見つめ直してみましょう。
犬は言葉を話すことができませんが、その分声のトーンや動き、距離感、姿勢、感情などを敏感に察知できます。
だからこそ、大切なのは犬の基本的なルールを理解し、愛犬のペースを尊重してあげること。
焦らずにゆっくり、愛犬との距離を縮めてあげてくださいね。
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犬は生き物である以上、その性格は千差万別です。慣れるのに時間がかかる犬もいれば、すぐに心を開いてくれる犬もいます。ただ、ひとつ共通しているのは、犬の行動はすべて何かの理由があるということです。しっかり愛犬と向き合い、寄り添ってあげることで、関係性は大きく変わるでしょう。正解を急がず、その子のペースに合わせて関係を育てていく意識が大切です。この記事が、あなたと愛犬の絆を深める橋渡しになりますように。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム