細く長い足やしなやかな被毛、優雅な佇まいで多くの人を魅了するボルゾイ。
ロシアの王侯貴族のみが飼育を許されたという歴史があり、貴族の犬とも称されています。
そんなボルゾイは、ネット上で「かわいそう」といった声があがっており、その理由が気になっている人も多いのではないでしょうか。
実はボルゾイは、見た目の美しさだけで判断してお迎えしてしまうと、想像していた飼い方と現実の間にギャップが生じやすい犬種です。
この記事では、ボルゾイがかわいそうと言われる理由や、お金持ちしか飼えないと言われる噂の真相、お迎え前に知っておきたいポイントについて解説します。
ボルゾイを家族として迎えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
ボルゾイがかわいそうと言われてしまう5つの理由①巨体
ボルゾイの体高は、牡で75〜85cm、牝で68〜78cmと大きく、超大型犬に分類されます。
そのため、一般的な日本の住宅では、「窮屈そう」「自由に動けなさそう」と感じられ、かわいそうと見られてしまうことも少なくありません。
実際、室内での動線が十分に確保できなかったり、家具や壁にぶつかりやすいなど、その大きな体に住環境が合わないと、日常的なストレスにつながってしまいます。
ボルゾイのような大型犬を狭い環境で飼育することは、不自然な姿勢が継続したり、急な方向転換の増加によって関節への負担につながるため、周囲から同情の対象となってしまうのです。
(参考文献:ボルゾイ|ジャパンケネルクラブ)
ボルゾイがかわいそうと言われてしまう5つの理由②規格外の運動量
ボルゾイはサイトハウンド(視覚ハウンド)としての歴史があり、短い距離を勢いよく走ることが得意な犬種です。
実際、150フィート(45.72m)の直線を走るボルゾイのタイムを計測した研究では、最高速度が時速57.4km、平均でも時速52.1kmに達したという報告もあります。
そのため、毎日の散歩だけでは十分に運動欲求を満たすことが難しく、思い切り走れないことでストレスが溜まってしまうことも少なくありません。
日本ではノーリードで安全に走れる場所が限られており、本来の運動能力を発揮できず「宝の持ち腐れでかわいそう」と見られやすいのです。
(参考文献:Conformation Associated with Speed in Borzoi|Anne Midgarden, DVM)
ボルゾイがかわいそうと言われてしまう5つの理由③胃捻転リスク
ボルゾイは、胸が深くて幅が狭い「深胸型」の体型の持ち主なので、胃捻転のリスクが高いことで知られています。
こうした体の構造は胃が体内で動きやすく、食後の激しい運動や早食いなどがきっかけとなって、胃がねじれてしまう(捻転)のです。
胃捻転はとても危険な状態で、発症から数時間で命を落としてしまうことも珍しくありません。
そのため、日常的に胃捻転のリスクを抱えていることから、かわいそうというイメージを持たれやすい犬種でもあります。
(参考文献:Non-dietary risk factors for gastric dilatation-volvulus in large and giant breed dogs|NIH)
ボルゾイがかわいそうと言われてしまう5つの理由④暑さに弱い
ロシア原産のボルゾイは、厳しい寒さの気候に適応するために豊かで密な被毛を持ち、体内の熱を外に逃がしにくいという特徴があります。
さらに体が大きいので、体の中にたまった熱を逃がすのに時間がかかることも暑さに弱いと言われる一因です。
そのため、日本の高温多湿な気候では体温調整に苦労しやすく、暑さによって体調を崩したり、熱中症のリスクが高まります。
実際、夏場にエアコンを稼働させた室内でも、ハァハァと息を荒くして暑さに耐えるボルゾイも少なくありません。
こうした様子から暑さによる負担が目立ちやすく、「日本の気候で飼うのはかわいそう」と言われてしまうことがあるのです。
ボルゾイがかわいそうと言われてしまう5つの理由⑤怖すぎると思われている
ボルゾイは細長い顔立ちや鋭い眼光から、初対面の人に「怖そう」「攻撃的そう」と思われてしまうことがあります。
実際のボルゾイは穏やかで優しい性格の個体が多いのですが、体格の大きさや表情の印象から「怖すぎる犬」と誤解されやすいのです。
ドッグランなどでほかの飼い主さんから避けられてしまったり、ただ散歩しているだけなのに警戒されてしまうことも珍しくありません。
犬自身はほかの犬と遊んだり、人に甘えたいだけなのに、外見だけで敬遠される状況に「誤解されていてかわいそう」と悲しむ声も多く見られます。
ボルゾイはお金持ちしか飼えないという噂
ボルゾイがお金持ちしか飼えないと言われているのは、体が大きく食費がかかりやすいことや医療費が高額になりやすいことが影響しています。
また、定期的なトリミングの必要性があることや、不自由なく動ける広い居住スペースが求められるといったことも、飼育コストが高い印象につながりやすいでしょう。
実際、海外の調査では、生涯にかかる飼育費用の平均は小型犬で約260万円に対し、大型犬は約810万円という報告もあります。
こうした数字や条件を見ても、ボルゾイが経済的な余裕が必要な犬種という認識は、あながち間違いでもないのではないでしょうか。
(参考文献:The Cost of Dog Parenthood in 2025|THE DOG PEOPLE)
ボルゾイをかわいそうな状況にしないためのポイント
ボルゾイがかわいそうと言われる理由はさまざまですが、お迎えするときは犬種の特性を理解して、環境を整えてあげることが大切です。
ここでは、ボルゾイをかわいそうな状況にしないためのポイントを見ていきましょう。
安全な疾走環境の確保
ボルゾイの運動欲求を満たすためにも、週に数回は広大なドッグランや専用のフィールドで、リードを外して思いっきり走らせてあげることが大切です。
全力で走ることで本来の能力を発揮でき、心身の健康維持にもつながります。
関節の負担にも配慮して、地面はコンクリートではなく芝生やウッドチップなどになっているところが良いでしょう。
安全に走れる場所を確保してあげることは、ボルゾイの生活の質を左右する重要な要素のひとつです。
理想的な住環境
体の大きなボルゾイには、室内でも十分に動ける広いスペースが必要です。
また、フローリングや大理石などの床は滑りやすく、足腰に負担がかかりやすいため、滑りにくいペットマットや毛足の短いカーペットなどを床に敷き詰めてあげましょう。
さらに、首や背中の負担を減らすために、体高に合わせた食事台などを用意する必要もあります。
インテリアの見た目ではなく、ボルゾイが生活しやすい環境かどうかを意識してあげることが大切です。
不測の病気への対応ができる余裕
ボルゾイは大型犬なので、病気やケガが起きたときの治療内容が大がかりになりやすく、結果として治療費が高額になる傾向があります。
病気やケガは予測できるものではなく、どんなに健康に気をつけていても完全に避けられるものではありません。
特にボルゾイは、胃捻転などの緊急性の高い疾患のリスクもある犬種です。
こうした不測の事態に直面したとき、費用面だけでなく、迅速に判断して行動できる余裕があるかどうかも重要なポイントです。
都市の賃貸で飼うことの健康リスク
都市部の賃貸住宅は、ボルゾイにとって運動量や生活スペースが不足しやすく、体調不良やストレスの原因になってしまう可能性があります。
特にマンションなどの集合住宅では、エレベーター利用や共用部でのルールが多く、自由な行動が制限されてしまうことも珍しくありません。
また、周囲の生活音や物音に敏感に反応してしまうこともあり、落ち着いて休めない環境では、精神的な負担が蓄積されやすくなります。
こうした状態が続くことで、免疫力の低下や消化器トラブルなど、さまざまな健康リスクが高まる可能性についてもしっかり考えることが大切です。
「ボルゾイ かわいそう」に関するよくある質問
Q1.巨大犬種を飼育するメリットとデメリットは?
A.巨大犬種であるボルゾイのメリットは、穏やかで優しい性格が多く、そばにいるだけで安心感を与えてくれる点ではないでしょうか。体が大きく、ゆったりとした動きや包み込むような存在感があり、静かに寄り添ってくれる姿に心が落ち着くと感じる人も少なくありません。
ただ、ボルゾイの平均寿命は10〜12歳と短いことや、医療費の金銭的負担、介護が必要になったときの物理的負担の大きくなりやすいのはデメリットと言えるでしょう。
Q2.留守番はできる?
A.ボルゾイは比較的穏やかで自立心もあるため、成犬であれば4〜6時間程度の留守番が可能です。ただ、ボルゾイは胃捻転のリスクがあり、発症から2〜3時間が生死を分けるとも言われています。そのため、安全を最優先するなら留守番時間も2〜3時間までにとどめておいた方が安心です。また、4〜6時間家を空ける場合は、出かける直前にごはんを与えない、もしくは食後2時間は家を空けないといったリスク管理を徹底する必要があります。
Q3.マンションでも飼える?
A.「超大型犬飼育可」で、なおかつ十分な広さが確保できる場合は、マンションでの飼育も難しくはないでしょう。ただ、ボルゾイの体の大きさや必要な運動量を考えると、現実的には難しく、基本的には推奨できません。マンションは集合住宅ならではの制限も多く、飼育する場合は1階の部屋や大型エレベーターの有無など、最低限の条件の確認も必須です。マンションという住環境が、本当にボルゾイに合っているかどうかをよく考えてみましょう。
【まとめ】ボルゾイへの最大の愛情は、理解し尽くすこと
ボルゾイがかわいそうと言われるのは、ボルゾイに対する理解不足や飼育環境が合わなかったことなどによるものです。
ボルゾイは美しい見た目で多くの人を魅了しますが、情報不足やイメージ先行で迎えられてしまうと、ボルゾイにとって負担の大きい暮らしになってしまうことも否定できません。
かわいそうな状況にしないためには、ボルゾイという犬種を正しく理解し、それに合った生活を送らせてあげたり、環境を整えてあげることが大切です。
自分の生活環境や価値観と本当に合っているかを考え、迎えるかどうかを冷静に判断することが、ボルゾイへの最大の愛情と言えるでしょう。
場合によっては、お迎えしないという選択肢も間違いではないのです。
ボルゾイとの暮らしを検討している人は、もう一度よく考えてみてくださいね。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム