2025/12/26
「パグは飼ってはいけない」という言葉を聞くと、驚いてしまうかもしれません。
しかし、これは決してパグを否定しているわけではありません。
その言葉の真意は、パグの愛らしい見た目の裏に潜む、医学的な構造リスクと日々のケアの大変さを知らずに迎えてしまうと、飼い主も犬も辛い思いをする可能性がある、という警鐘と言えます。
この記事では、パグを飼う前に知っておくべき10の現実的なリスクと、それでもパグと暮らしたいと願うあなたが後悔しないために準備すべき「5つの絶対条件」を解説します。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
- 「パグは飼ってはいけない」と言われる真意とは?
- パグを飼ってはいけない理由①熱中症リスクが高い
- パグを飼ってはいけない理由②呼吸の弱さ
- パグを飼ってはいけない理由③壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)
- パグを飼ってはいけない理由④大きな瞳は傷つきやすい
- パグを飼ってはいけない理由⑤肥満になりやすい
- パグを飼ってはいけない理由⑥抜け毛・体臭・清掃負荷
- パグを飼ってはいけない理由⑦顔のシワは細菌の温床?
- パグを飼ってはいけない理由⑧いびきがうるさい時がある
- パグを飼ってはいけない理由⑨「頑固」でマイペース?
- パグを飼ってはいけない理由⑩もしもの時の高額医療費
- 後悔しないための5つのポイント
- 「パグ 飼っては いけない」に関するよくある質問
- 【まとめ】パグを飼ってはいけないは言い過ぎだが、覚悟が必要
「パグは飼ってはいけない」と言われる真意とは?
インターネット上で「パグ 飼っては いけない」という検索ワードを目にすることがあります。
この言葉の真意は、決して「パグが悪い犬だから」ではありません。
むしろ、パグはその明るく穏やかな性格から、家庭犬として素晴らしい資質を持っています。
ではなぜ、否定的な言葉が使われるのか。
理由の一つとして、パグが「短頭種(鼻ぺちゃ犬)」の中でも特に極端な身体的特徴を持っており、それが原因で生涯にわたる健康トラブルとなるためだと言われています。
愛らしい見た目の裏にある「医学的な構造リスク」
私たちが「可愛い」と感じる、潰れた鼻、大きな瞳、たるんだ皮膚。
獣医学的に見ると、これらはすべて「構造的なハンディキャップ」になり得ます。
鼻が短いということは、呼吸をするための気道が極端に狭いことを意味します。
大きな瞳は、傷つきやすく乾きやすいリスクを伴います。
深いシワは、通気性が悪く細菌の温床になります。
「飼ってはいけない」という警告は、これらのリスクを知らずに「可愛いから」「飼いやすそうだから」というイメージだけで迎え入れ、結果として病気に苦しむ愛犬を前に途方に暮れる飼い主さんと、適切なケアを受けられないパグを減らすための、専門家からの強いメッセージなのです。
(参考文献:Inherited defects in pedigree dogs. Part 1: Disorders related to breed standards|ELSEVIER)
パグを飼ってはいけない理由①熱中症リスクが高い
パグを飼う上で、最も命に関わるリスクが「熱中症」です。
犬は汗をかかないため、口を開けてハァハァと呼吸する「パンティング」で体温を下げます。
しかし、パグのような短頭種は、鼻や口の中の表面積が狭く、効率的に熱を逃がすことができません。
他の犬種なら「ちょっと暑いな」で済む気温でも、パグにとっては命取りになります。
真夏の日中
散歩はもちろん、エアコンの切れた室内での留守番は自殺行為です。
春や秋
意外と盲点ですが、湿度が高い日や、車の中などは短時間で危険な状態になります。
興奮
嬉しくてはしゃぎ回るだけで体温が急上昇し、熱中症になることもあります。
パグを飼うということは、「24時間365日、徹底した温度・湿度管理を行う」という覚悟と、それに伴う光熱費を負担し続けることを意味します。
(参考文献:Heat-related Illness in Dogs|BWG)
パグを飼ってはいけない理由②呼吸の弱さ
「ブヒブヒ」という呼吸音やいびきは、可愛いチャームポイントに見えて、実は気道が狭くなっている「短頭種気道症候群(BOAS)」のサインかもしれません。
太ると気道がさらに圧迫されるため、体重管理は必須です。
重症化すると、呼吸を楽にするための外科手術が必要になることもあります。
パグを飼ってはいけない理由③壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)
パグには、原因不明の脳炎(壊死性髄膜脳炎)を発症しやすい傾向があります。
突然のけいれん発作や旋回運動などが現れ、診断や治療にはMRI検査などの高度な医療が必要となり、治療も長期化することがあります。
遺伝的な素因が強いとされていますが、事前に予測することは困難です。パグを迎える以上、この病気のリスクと向き合う覚悟が必要です。
(参考文献: Heritability and transmission analysis of necrotizing meningoencephalitis in the Pug|Research Gate)
パグを飼ってはいけない理由④大きな瞳は傷つきやすい
顔の前面に飛び出した大きな瞳は、散歩中の草木や自分の爪などで傷つきやすく、角膜の病気になりやすいという弱点があります。
目やにが増えたり、まばたきが多かったりしたら、すぐに受診が必要です。
床や家具の角を保護するなど、家の中の安全対策も大切です。
角膜潰瘍・角膜穿孔
散歩中に草むらに顔を突っ込んだり、自分の顔を掻いたりした拍子に、簡単に目の表面(角膜)に傷がつきます。パグは瞬きが完全に閉じきらない子も多く、乾燥しやすいため、傷が治りにくく悪化しやすい傾向があります。最悪の場合、角膜に穴が開いて失明する恐れもあります。
色素性角膜炎
鼻のシワの毛が常に目に当たったり、乾燥による刺激が続いたりすることで、黒目の表面に茶色い色素が沈着し、視界が遮られてしまう病気です。
(参考文献:Impact of Facial Conformation on Canine Health: Corneal Ulceration|PLOS)
パグを飼ってはいけない理由⑤肥満になりやすい
パグは食べることが大好きですが、激しい運動は苦手です。
そのため、油断するとすぐに太ってしまいます。
肥満は呼吸器や関節、心臓に大きな負担をかけるため、まさに万病のもと。
毎月体重を測り、見た目(ボディ・コンディション・スコア)もチェックしながら、フードの量を厳密に管理する必要があります。
パグを飼ってはいけない理由⑥抜け毛・体臭・清掃負荷
短毛ですが、ダブルコートと呼ばれる被毛のため、一年中驚くほどの毛が抜けます。
また、皮脂が多く体臭が出やすいため、こまめなシャンプーやブラッシング、そして部屋の掃除が欠かせません。
特に春と秋の換毛期には、少し体を撫でただけで毛が舞い上がり、抱っこをすれば服が毛だらけになり、部屋の隅にはすぐに毛玉が溜まります。
また、脂っぽい肌質の子が多く、独特の体臭が出やすい傾向もあります。
こまめなシャンプーやブラッシング、そして毎日の掃除機がけが苦にならない人でないと、衛生的な環境を保つのは難しいでしょう。
(参考文献:How to control Pug shedding|BetterPet, Inc.)
パグを飼ってはいけない理由⑦顔のシワは細菌の温床?
パグの最大の特徴である顔の深いシワ。
深く刻まれた顔のシワの間は、湿気がこもりやすく、細菌やカビが繁殖して皮膚炎を起こしやすい場所です。
毎日シワの間を優しく拭き、乾かしてあげるケアが欠かせません。
これを怠ると、赤くただれて悪臭を放つようになってしまいます。
パグを飼ってはいけない理由⑧いびきがうるさい時がある
寝ている時の大きないびきも、気道が狭いことの表れです。
パグは起きている時も寝ている時も、呼吸音が大きくなりがちです。
特に寝ている時のいびきは、人間のおじさん顔負けの大音量になることがあります。
「いびきも可愛い」と思えるうちは良いのですが、同じ部屋で寝ている飼い主さんが睡眠不足になるほどの騒音になるケースもあります。
単にうるさいだけでなく、睡眠時無呼吸症候群のように熟睡できていない可能性もあります。
運動後に呼吸が整うまで時間がかかる場合などは、早めに獣医師に相談しましょう。
パグを飼ってはいけない理由⑨「頑固」でマイペース?
パグの性格は、基本的に平和主義で攻撃性は低いですが、一方で非常に「頑固」でマイペースな一面を持っています。
呼吸が苦しくないよう、自分なりに楽なペースを守ろうとしているだけかもしれません。
そのため、無理やり引っ張ったり叱ったりするのは逆効果。
ご褒美を使って褒めて伸ばすしつけや、快適に過ごせる環境作りが大切です。
「頑固さ(マイペースさ)」は、犬種特性として飼い主さんを悩ませやすいテーマです。
似た論点で語られがちな、柴犬飼ってはいけないの記事も合わせて読むと、しつけの考え方が整理しやすくなります。
パグを飼ってはいけない理由⑩もしもの時の高額医療費
ここまで挙げたリスク(熱中症、呼吸器疾患、脳炎、眼疾患、皮膚炎)は、すべて「医療費」に直結します。
呼吸器の手術や皮膚病の長期治療、脳炎の検査など、パグの飼育には高額な医療費がかかる可能性があります。
若いうちからペット保険に加入し、呼吸器や皮膚などの補償範囲をしっかり確認しておくこと、そして毎月の積立をしておくことが安心に繋がります。
後悔しないための5つのポイント
パグとの生活は、正しい知識と対策があればこれほど愛らしく、飼い主を笑顔にしてくれる犬種はいません。
「パグ 飼っては いけない」という言葉を乗り越え、幸せなパグライフを送るための「5つの絶対条件」をご紹介します。
顔のシワ拭きとブラッシング
毎日のルーティンとして、「顔拭き」を欠かさないでください。濡らしたコットンやペット用ウェットティッシュでシワの間を優しく拭き、水分が残らないように乾拭きします。また、ブラッシングを習慣化し、抜け毛を取り除いて皮膚の通気性を良くすることで、皮膚トラブルを予防しましょう。
通年の温湿度管理
「エアコン代は必要経費」と割り切りましょう。夏は24時間冷房(23〜25℃設定)、冬も乾燥しすぎないように加湿器を併用するなど、温度20~25℃、湿度40~60%の環境を常にキープすることが、呼吸器と皮膚の健康を守る鍵です。
数字で管理する体重・運動
「欲しがるから」とおやつをあげるのは愛情ではありません。フードの量をグラム単位で管理し、定期的に体重を測りましょう。獣医師にボディ・コンディション・スコア(BCS)をチェックしてもらい、適正体型を維持します。運動は、激しい運動ではなく、涼しい時間帯の短時間の散歩や、室内での遊びで無理なく行いましょう。
遊びはあまり激しくないもの
ボール投げで延々と走らせるような遊びは、パグには向きません。興奮しすぎて呼吸困難や熱中症になるリスクがあるからです。おやつを隠して探させる「ノーズワーク」や、知育玩具を使った遊びなど、体を激しく動かさずに頭を使う遊びを取り入れると、呼吸器への負担を抑えつつ満足感を与えられます。
ペット保険に加入していく
パグは「無保険で飼うにはリスクが高すぎる犬種」と言っても過言ではありません。特に、呼吸器疾患や皮膚病、脳神経疾患などが補償対象となるペット保険に、若く健康なうちから加入しておくことを強く推奨します。いざという時、「お金がないから治療を諦める」という悲しい選択をしないで済むように、経済的な備えを万全にしておきましょう。
「パグ 飼っては いけない」に関するよくある質問
Q1.パグは留守番が得意ですか?
A1. 性格的には独立心もあり、留守番はできないわけではありません。しかし、温度管理が命綱であること、寂しがり屋な一面もあることから、長時間の留守番はあまり推奨されません。留守番させる際は、エアコンの遠隔操作やペットカメラでの見守りなど、万全の環境を整える必要があります。
Q2.パグの平均寿命は?
A2. 一般的に12歳〜15歳程度と言われています。これは他の小型〜中型犬と大きく変わりません。ただし、肥満や呼吸器のトラブルを放置すると寿命を縮めてしまう可能性があります。適切なケアと健康管理を行えば、長生きしてくれるポテンシャルを持った犬種です。
(参考文献:Pug|PetMD)
Q3.初心者でも飼いやすい?
A3. 性格は穏やかで攻撃性も低いため、その点では初心者向きと言えるかもしれません。しかし、これまで解説してきた通り、健康管理の難易度(ケアの手間、温度管理、病気のリスク)は非常に高いです。「手間がかからない犬がいい」という初心者の方には、絶対にお勧めできません。「手間がかかっても、この子の全てを愛して守る」という覚悟を持てる初心者の方であれば、獣医師と二人三脚で飼育することは可能です。
(参考文献: Pug breed guide: Care, training, and fun facts|BorrowMyDoggy)
【まとめ】パグを飼ってはいけないは言い過ぎだが、覚悟が必要
「パグ 飼っては いけない」という言葉は、決してパグを否定するものではありません。それは、愛らしい見た目の裏にある「命に関わる医学的なリスク」と、それを生涯支え続けるための「飼い主の重い責任」を強調するための、逆説的なメッセージです。
パグは、手のかかる犬種です。
部屋は毛だらけになるし、イビキもうるさいかもしれません。
しかし、全力で愛情を表現し、ただそこにいるだけで家族を笑顔にしてくれるパグの存在は、それらの苦労を補って余りあるほどの幸せをもたらしてくれます。
この記事で挙げた10のリスクと5つの条件をすべて受け入れ、「それでも私がこの子を守る」と心から思えるのであれば、あなたはきっと最高のパグの飼い主になれるはずです。
万全の準備と覚悟を持って、素晴らしい日々を愛犬パグとお過ごしください。
関連記事
-
-
【獣医師監修】アルビノ犬猫の寿命は?なぜ生まれるのか気をつけるべき点について解説
アルビノとは、「メラニン」とよばれる色素の合成に関わる遺伝子の異常により、体内でメラニン色素が作られないことを指します。 犬や猫においても、稀ではあるもののアルビノは存在するといわれており、その白い被 …
-
-
犬を飼うんじゃなかったと後悔する理由5選!迎い入れる前に知っておきたい事実
「こんなはずじゃなかった…」 愛犬を前に、ふと「犬を飼うんじゃなかった」という思いが頭をよぎり、そんな自分に罪悪感を抱いていませんか? その感情は、決してあなたが冷たい人間だからではありません。 むし …
-
-
【フン!】犬のため息の理由(意味)とは?愛犬が見せる感情のサインについて解説
犬が感情を伝える方法としてボディランゲージがありますが、もう一つ、「ため息」にもその時の状態を知る手掛かりがあります。今回は、犬がため息をつく理由についてご紹介します。
-
-
【ナショナルドッグデー】アメリカ版「犬の日」は8月26日!愛犬とお祝いしよう
日本ではワンワンワンの語呂合わせから11月1日が犬の日ですが、ところ変わってアメリカでは本日8月26日が犬の日「ナショナルドッグデー」(NDD)とされています。
日本では大々的なイベントなどは行われませんが、アメリカではどんなことが行われるのか?今回はナショナルドッグデーについて、その由来などを調べてみました。
-
-
柴犬は飼ってはいけないと言われる理由10選!手に負えない瞬間について徹底解説
日本犬の代表格として、国内はもちろん海外でも絶大な人気を誇る柴犬。 その凛々しい立ち姿や愛くるしい表情に、「いつか柴犬と暮らしたい」と憧れを抱く方も多いでしょう。 しかしその一方で、インターネット上で …
「飼ってはいけない」という言葉は、安易な飼育が招く不幸を防ぐための警告です。特に「呼吸のしづらさ」や「パグ脳炎」といった医学的リスク、そして徹底した「空調管理」と「シワケア」の手間は、可愛いだけでは乗り越えられません。しかし、これら全てを受け入れ、生涯守り抜く覚悟を持てるなら、彼らの底抜けの明るさは人生を豊かにしてくれます。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム