愛犬がおしりを向けて座っていたり、背中を向けてくつろいでいたりすると、何となくそっぽを向かれているような寂しい気持ちになることもありますよね。
犬がおしりを向ける行動は、よく安心や信頼のサインと言われますが、実はそれだけではありません。
同じおしりを向けるという行動でも、置かれている状況や犬の状態によって、意味がまったく異なることがあります。
意味をよく理解しないで接してしまうと、犬が伝えようとしているサインを見逃したり、無意識のうちに負担をかけてしまうこともあるのです。
この記事では、犬がおしりを向ける理由や、おしりを向けられたときの接し方を解説します。
場面別の行動の意味もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
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目次
犬がおしりを向ける行動が持つ3つの意味合い①信頼の表明
犬がおしりを向けるのは、安心や信頼を感じているときに見られる行動のひとつです。
犬は警戒しているときに、すぐに動き出せるように正面を向いて様子をうかがいます。
そのため、背中やおしりは無防備になり、警戒している相手に見せることはほとんどありません。
だからこそ、室内でくつろいでいるときや、日常的に自然に見られる場合は、飼い主さんのことを信頼して安心しているサインと言えます。
ただし、この行動は必ずしも甘えや愛情表現とは限らないため、「喜ぶはず」と決めつけて接しないように注意してあげましょう。
(参考文献:Communication in Dogs|NIH)
犬がおしりを向ける行動が持つ3つの意味合い②背中見せで回避したい
犬がおしりを向ける行動には、距離を取りたい、これ以上関わりたくないという気持ちの表れであることもあります。
これは、犬が不安や緊張を感じたときに見せるカーミングシグナルのひとつで、正面から向き合うのを避け、その場をやり過ごそうとしている行動です。
初対面の人や犬、慣れていない環境、トレーニング中などで見られる場合はこうした意味合いであることも少なくありません。
こうした行動が見られるときは無理に近づいたり構いすぎたりせず、犬の様子を見ながら距離を保ってあげることも大切です。
(参考文献:Analysis of the intraspecific visual communication in the domestic dog (Canis familiaris): A pilot study on the case of calming signals|Journal of Veterinary)
犬がおしりを向ける行動が持つ3つの意味合い③おしり周りの痒み
犬がおしりを向けるときは、心理的な理由だけでなく、体の違和感が関係していることもあります。
特におしり周りに痒みや不快感があると、無意識におしりを向けたり、気にするようなしぐさを見せることも珍しくありません。
おしり周りの痒みは、肛門腺のトラブルや皮膚炎、アレルギーなどで起こることが多いです。
散歩後や排泄後、シャンプー後など、特定のタイミングで繰り返す場合は、肛門周りへの刺激が関係しているかもしれません。
もちろん、ちょっとおしりがムズムズしただけという一時的な場合もありますが、頻繁に見られる場合は早めに動物病院を受診しましょう。
場面別!「犬がおしりを向ける」行動の意味
犬がおしりを向ける行動は、いつ、どんな状況で見られるかによって意味が変わってきます。
ここでは、よく見られる3つの場面に分けて、犬がおしりを向ける行動の意味を見ていきましょう。
寝る時(安心・愛着)
犬が寝る時に飼い主さんのそばでおしりを向けるのは、その環境に安心して身を委ねられるからです。
寝ている間は周囲への警戒が弱まるため、信頼できる相手と安全な場所でなければ、こうした姿勢で眠ることはありません。
ただし、犬が寝心地の良さを優先して、途中で向きを変えたり場所を移動することも普通にあります。
初対面や訓練中(緊張・回避)
初対面や訓練中など、緊張しやすい場面では、おしりを向けて距離を取ろうとすることがあります。
こうした場面は、犬にとって情報や刺激が多く、気持ちが落ち着かないことも少なくありません。
この行動は相手を拒否しているわけではなく、情報を整理するために一時的に距離を置きたい気持ちの表れです。
おしりを床にこする(健康のサイン)
おしりを床にこする行動が見られる場合は、肛門周りに違和感がある可能性があります。
座った姿勢のまま前に進んだり、立ち上がってもまたすぐに座って同じ動きを繰り返したりすることも珍しくありません。
においが強くなったり、床やカーペットにおしりをこすった跡が残るなどが見られる場合は、動物病院を受診しましょう。
(参考文献:Dog Scooting & Recognizing Anal Gland Problems|Hills Pet Nutrition)
犬がおしりを向ける以外の“安心・好意”サイン
犬は言葉を話すことはできませんが、安心しているときや好意を持っているときに、さまざまな行動で気持ちを表してくれます。
おしりを向ける以外の安心・好意サインを知っておきましょう。
- 少し離れた場所でくつろいでいる
- 飼い主の腕や足にあごを乗せる
- 飼い主の動きについてくる
- 穏やかな表情で見つめてくる
- 深いため息をつく
好意サインというと、熱烈なアピールをイメージしがちですね。
しかし、過度に甘えたりしてこなくても、自然体でそばにいてくれること自体が、安心や好意の表れなのです。
犬におしりを向けられた時の正しい接し方
犬がおしりを向ける行動は、必ずしも同じ意味とは限りません。愛犬が何を伝えようとしているのかを、見極めてあげることが大切です。
ここでは、犬におしりを向けられた時の接し方について解説します。
まず観察
犬がおしりを向けてきた時は、まずその行動の前後をよく観察しましょう。
直前に何か緊張や刺激になることはなかったか、おしりを気にする様子はないかを考えることで、心理的な反応なのか体調面のサインかを判断しやすくなります。
すぐに関わろうとせず、全体の流れを見てあげることが大切です。
やさしく声かけ
犬におしりを向けられた時は、穏やかなトーンでやさしく声をかけることを意識することが大切です。
大きな声や急な呼びかけは、犬を驚かせてしまうことにつながります。
ただし、おしりを向けているからといって犬が注意を向けてほしい場面とは限りません。
反応がない場合は、無理に呼び続けないようにしてあげましょう。
短時間撫でる
犬が自分から身を委ねたり、触られたい様子を見せたときは、短時間優しく撫でるようにしましょう。
執拗に撫で続けたり、力を入れて強く触ったりすると、かえって犬のストレスとなってしまうことがあります。
犬が途中で体を離したり姿勢を変えた場合は、その時点で一旦やめてあげましょう。
いきなり尻尾の付け根や腰を触らない
犬がおしりを向けているからといって、いきなり尻尾の付け根や腰に触るのは避けましょう。
これらは犬にとってとても敏感な部位で、驚かせてしまったり不快にさせてしまいやすい場所です。
たとえ信頼関係ができていても、急に触られると警戒心が高まってしまうこともあります。
「犬がおしりを向ける」に関するよくある質問
Q1.初対面でおしりを向けられたら?
A.初対面で犬がおしりを向ける場合、距離を取りたいというサインのことがあります。必ずしも信頼のサインとは限らないため、無理に触ろうとせず、まずは犬の様子をそっと観察することが大切です。また、正面からの視線や急な動きが犬にとって負担になることもあります。落ち着いた姿勢で接し、犬が自ら近づいてくるのを待ってあげましょう。
Q2.おしりを向けてきた時に、撫でる最適部位は?
A.犬がおしりを向けてきた時は、撫でるなら首の付け根や胸元、肩など、犬が比較的安心しやすい場所を撫でましょう。ただし、犬は基本的に体の先端部分を触られることが苦手なので、鼻先や足、尻尾などは避けた方が犬のためでもあります。犬の反応を見ながら、嫌がる素振りが見られたらすぐにやめることが大切です。
Q3.おしりを床にこすっているように見えるが大丈夫?
A.一時的な行動であれば様子を見ていて問題ないこともありますが、頻繁に繰り返す場合はおしり周りに何らかの異変がある可能性があります。肛門周りのトラブルでは、肛門嚢の破裂や腫瘍といった病気が隠れていることもあるため、自己判断せずに早めに動物病院を受診することが大切です。動画に残しておくと、獣医師が状況を把握しやすくなりますよ。
Q4.そっぽを向かれるのは、嫌われているサイン?
A.犬にそっぽを向かれているからといって、必ずしも嫌われているとは限りません。犬がそっぽを向く行動には、安心している、刺激を減らしたい、少し距離を取りたいなど、さまざまな意味があります。そのため、状況やその後の行動とあわせて判断してあげましょう。好意のサインは個体差もあり、決めつけないことが大切です。
【まとめ】おしりを向けるのは「信頼」と「SOS」でケースバイケース
犬がおしりを向けることは、そっけなく見えることもありますが、とても奥が深い行動ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
信頼のサインや緊張のサイン、体の違和感など、同じ行動でも見られる場面や頻度、前後の様子、状況によって意味は大きく変わります。
そのため、一つの解釈に決めつけないことが大切です。
また、犬はおしりを向ける行動以外にも、距離の取り方や表情、体の使い方など、さまざまなサインで気持ちや状態を伝えてくれています。
愛犬が何を伝えようとしているのか理解しようとしてあげることは、より良い関係づくりにつながるでしょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム