自然界で暮らしてきた犬にとって、「靴を履く」という習慣はありません。
そのため、靴を履いている犬に対して「かわいそう」「人間のエゴ」といった声があるのも事実です。
だからこそ、愛犬に靴を履かせてよいのか迷ってしまいますよね。
でも、考えてみてください。
夏の海水浴場で熱々の砂浜の上を裸足で歩こうとして、「靴がないと無理!」と感じたことはありませんか?
人間の足の裏と犬の肉球では構造が違いますが、熱や冷たさに対する耐性は大きく変わりません。
もちろん、靴にはデメリットもありますが、犬が靴を履く目的は決してファッションのためではありません。
この記事では、犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由や、靴を履くメリットとデメリットについて解説します。
目次
【結論】慣れるまではストレスだが、目的があれば「かわいそう」ではない
結論から言ってしまうと、犬が靴を履くことは、正しい目的と使い方であれば「かわいそう」ではありません。
確かに、犬にとって靴を履くという慣れない行為は、違和感を覚えたりストレスになることもあります。
実際、筆者の高齢の愛犬がナックリング(足の甲を地面に擦ってしまう状態)で靴が必要になったとき、最初は脱ごうとしたり歩き方がおかしかったりして、申し訳ない気持ちになったものです。
しかし、少しずつ慣れてもらうことで、靴を気にせず過ごせるようになりましたよ。
このように靴には足を守る役割があり、適切に使えば必ずしもかわいそうなものではないです。
本当に「かわいそう」なのは、合わない靴と無理強い
犬にとって本当にかわいそうなのは、サイズが合わずに歩きにくい靴を選んだり、デザイン重視で履き心地が悪い靴を選んだり、嫌がっているのに無理強いすることです。
犬に合わない靴は痛みの原因になったり、歩こうと必死になって関節に負担をかけてしまうこともあるため、愛犬に合った履き心地がよい靴を選んであげましょう。
犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由①「蒸れ」によるリスク
犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由のひとつが、蒸れによる皮膚トラブルのリスクが高まることです。
靴の中はどうしても通気性が悪くなりやすく、長時間履いていると汗や体温で湿気がこもってしまいます。
蒸れた状態が続けば雑菌が繁殖しやすくなるため、かゆみや赤み、皮膚炎などを引き起こす原因となってしまいます。
もちろん、蒸れないように通気性に配慮した靴もあるため、そうした靴を選ぶとよいでしょう。
また、長時間履かせ過ぎないようにしたり、靴を脱いだあとは拭いてからしっかり乾かすなど、こまめなケアを心がけてあげてくださいね。
(参考文献:Hyperhidrosis in Naïve Purpose-Bred Beagle Dogs (Canis familiaris)|NIH)
犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由② 爪や関節への負担
サイズや形が愛犬に合っていない靴は、爪や関節に余計な負担をかけることがあります。
窮屈な靴で指先が圧迫されれば、本来しっかり地面につくはずの指が不自然に曲がり、体重が爪に集中しやすくなるため、痛みや違和感につながります。
また、足の動きを制限されることで歩き方が不自然になり、膝や股関節、背骨や腰などに負担がかかってしまうことも少なくありません。
こうした状態が続くことで、関節トラブルや歩行障害の原因になってしまいます。
余計な負担をかけないためには、足にしっかりフィットする靴を選んであげることが大切です。
犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由③ 感覚遮断による転倒や不安感
犬は肉球を通して地面の状況を判断しますが、靴を履くことで感覚が遮られ、段差で踏み外したりバランスを崩して転倒するリスクが高まります。
さらに、足裏の感覚がないことで不安を感じ、歩くこと自体を嫌がるようになる犬も少なくありません。
そうした姿に、「かわいそう」と言われてしまうことがあります。
犬の靴はさまざまな種類がありますが、最初はできるだけ薄く柔らかい素材でできているものを選び、感覚の遮断にも徐々に慣れてもらうようにしましょう。
ただし、急に長時間使用すると恐怖心やストレスにつながるため、短時間にとどめることが大切です。
犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由④ 合っていない靴だと違和感が出る
歩くたびにズレたり、擦れたりするような愛犬の足に合っていない靴は、犬に強い違和感を与えてしまいます。
足首部分が緩ければ脱げやすくなり、逆にきつすぎれば締め付けによる痛みや血行不良の原因になりかねません。
また、靴の中で指先が圧迫されれば、前述したように爪や関節に負担がかかりますが、ゆるゆるでも不安定な歩き方になり、転倒や関節トラブルにつながります。
合っていない靴では、犬が靴を履くこと自体を嫌がるようになってしまうこともあるため、正確なサイズを測り、試着できる靴を選ぶとよいでしょう。
犬が靴を履くのはかわいそうと言われる理由⑤ 痛そうに見える
犬が靴を履いた姿は、痛そうに見えたり無理させているように見えるため、かわいそうと感じる人も少なくありません。
実際、初めて靴を履く犬は、固まって動けなくなってしまったり、足を高く上げたりとぎこちない歩き方をする傾向にあります。
ほとんどの場合、痛みではなく靴に慣れていないことによる戸惑いが原因ですが、こうした不自然な動きは「かわいそう」という印象につながりやすいです。
犬に限らず、慣れないものに最初は戸惑いを覚えるのは当然のことでしょう。様子を見ながら、愛犬にとって無理のないペースで慣れてもらうことが大切です。
犬が靴を履くメリット
犬が靴を履くのはかわいそうと言われやすいですが、履いてもらうことで足を守れるというメリットはあります。
正しく使うためにも、犬が靴を履くメリットについて知っておきましょう。
肉球ダメージ・ケガの予防
本来、犬の肉球は角質層が厚く傷つきにくい構造をしていますが、現代の犬は室内で過ごすことが多いため、足裏への刺激が少なく、角質層がそこまで厚くなりません。
そのため、散歩中のアスファルトのひび割れや砂利、ガラス片などは、肉球を傷つける原因になります。
靴を履くことでこうした刺激を防ぎ、肉球のダメージやケガの予防に役立ちます。
暑さ・寒さ・薬剤からの保護
犬の肉球は人間の足の裏に比べれば角質層は厚いですが、肉球の中には神経や血管が網の目のように走っているため、熱さや冷たさには非常に弱くなっています。
そのため、夏場の高温なアスファルトによる火傷や、冬場の冷たい地面でのひび割れや凍傷、道路に撒かれる融雪剤による化学火傷などのリスクが伴います。
靴を履くことで、こうしたダメージから足を保護してあげられるでしょう。
シニア犬・治療中の補助
足腰が衰えるシニア犬では、踏ん張ることが難しくなるため、フローリングなどの滑りやすい床は転倒や関節トラブルのリスクが高まります。
また、加齢や脊髄疾患によってナックリングが起きている場合では、足を守るために靴が不可欠です。
犬が靴を履くことは、歩行のサポートやケガから守ることにもつながります。
犬が靴を履くデメリット
犬が靴を履くことにはメリットがたくさんありますが、同時にデメリットも存在します。
使い方を間違えれば犬の負担になってしまうため、デメリットについても知っておきましょう。
慣れるまでストレス
ずっと裸足で生活してきた犬にとって、靴を履くことは慣れるまでストレスとなります。
足の裏の感覚が遮られたり、足の自由を奪われたように感じたりして、不安や戸惑いを覚える犬も少なくありません。
最初は嫌がったり、自分で脱いでしまう犬も多いですが、焦らずに、少しずつ慣れてもらうことが大切です。
歩行の不安定さ
犬が靴を履くことで足の裏の感覚が遮られてしまうため、慣れるまでは歩行が不安定になりがちです。
また、靴が合っていなければ踏ん張りが弱くなってしまったりして、つまずきやすくなったり姿勢が上手に保てないこともあります。
特に、滑りやすい場所や段差がある場所では転倒するリスクが高くなるため、十分に注意してあげましょう。
(参考文献:Ground force kinetic adaptations associated with canine boots|ResearchGate)
皮膚・被毛を傷める可能性
靴を長時間履くことで、靴の中での摩擦や蒸れによって、皮膚や被毛を傷めてしまう可能性も否定できません。
特に履き口や足首周りは擦れやすく、炎症の原因になってしまうことがあります。
サイズが合っていない靴では特にこうしたトラブルが起こりやすいため、サイズ選びは慎重に行いましょう。
「犬靴 かわいそう」に関するよくある質問
Q1.嫌がって歩けない時はどうする?
A.犬が靴を嫌がって歩けないときは、無理に履かせ続けるのはやめましょう。基本的に、靴を履くことを嫌がる犬がほとんどということを忘れてはいけません。まずは室内で数分だけ履かせることを繰り返すなど、少しずつ慣らしてあげることが大切です。それでも嫌がる場合や動けなくなる場合は、サイズや素材が合っていない可能性も考えられます。別の靴を試してみたり、痛みや異変がないか確認して必要に応じて獣医師に相談しましょう。
Q2.防災用に必要?
A.災害時はガラス片や瓦礫、道路の破損など犬の肉球を傷つけやすい危険物がたくさんあるため、防災用にひとつ用意しておきましょう。特に長距離の避難や屋外での待機が必要な場合は、ケガの予防のためにも足の保護が重要です。普段から少しずつ慣らしておくことで、非常時もスムーズに履いてもらいやすくなるでしょう。また、まったく新しい靴を用意すると合わない可能性もあるため、履き慣れた靴を一つ防災用にするのがおすすめです。
Q3.どれくらいの時間ならOK?
A.犬に靴を履かせるのは、30分〜1時間程度を目安にしましょう。お出かけや旅行などで長時間履かせる必要がある場合では、2時間に1回は靴を脱がせ、数分間足を空気に触れさせてあげることが大切です。また、室内で履かせる場合は、メッシュ素材などの通気性に優れたものを選び、寝る時は必ず脱がせてください。履き続けると蒸れによる皮膚トラブルを起こすリスクが高くなるため、長時間の連続使用は避けましょう。
【まとめ】誤った使い方をすれば「かわいそう」だが、正しく使えば愛犬を守るグッズになる
犬が靴を履くことを、「かわいそう」という声もあります。確かに、自然の中で暮らしてきた犬は「靴を履く」という習性はありません。
そのため、犬に靴を履かせることを、不自然に思うのも当然のことでしょう。しかし、昔の犬と今の犬では環境もだいぶ変わりました。
高温のアスファルト、凍結防止の薬剤、滑りやすい床など、犬の足に負担がかかる場面も増えています。
靴は正しい目的や使い方をすれば、愛犬の足を守る大切なケアグッズになります。
サイズ選びや慣らし方、履かせる時間などに配慮しながら、愛犬に合った方法で取り入れていきましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム