愛犬の健康管理において欠かせないことのひとつに「フィラリア予防」があります。
現在はさまざまなタイプのフィラリア予防薬が販売されていますが、
「どのフィラリア予防薬を選べばよいのだろう?」
「うちの子にはどれが合っているのだろう?」
「獣医師がおすすめする予防薬はどれだろう?」
といった疑問や悩みをお持ちではありませんか?
実は、フィラリア予防薬を選ぶ際に「失敗しないコツ」があることをご存じでしょうか?
本記事では、現役獣医師の意見をもとに、失敗しない予防薬の選び方やおすすめの予防薬について分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬に最適なフィラリア予防薬選びの一助になれば幸いです。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
フィラリア症とは?
犬のフィラリア症は、蚊の吸血を介して感染したフィラリア(犬糸状虫)が原因で起こる感染症です。
体内に侵入した幼虫は皮膚の下で成長し、数か月かけて血管内を移動して心臓や肺動脈へたどり着きます。
その後フィラリアは成虫となり寄生し、子虫であるミクロフィラリアを産生する、という流れがフィラリアのライフサイクルです。
犬がフィラリアに感染し病気が進行すると、呼吸困難や腹水、重度の心不全、貧血などを引き起こし、死に至ることがあります。
フィラリア症は主に犬の病気ではありますが、猫でも発症することがあり、突然ショック状態となり死に至ることも珍しくありません。
一方で、フィラリア症は予防薬を適切に使用することで予防できる病気でもあります。
(参考文献:Heartworm Disease in Dogs, Cats, and Ferrets – Circulatory System | MSD Veterinary Manual)
フィラリア予防薬の効果や用法
フィラリア予防薬は「予防薬」と呼ばれているものの、実際は体内に侵入したフィラリア幼虫が成虫になる前に「駆除」をするための薬です。
つまり、フィラリア予防薬は蚊に刺されないように効果を発揮するのではなく、「刺された後に侵入したフィラリアを駆除する薬」ということです。
蚊を介して犬の体内に侵入したフィラリアの幼虫は、皮膚の下で生活しながら、心臓や肺動脈に移動する準備を整えます。
その準備期間は約2か月とされていますので、1か月に1回フィラリア予防薬を定期的に投与することが、愛犬・愛猫を感染リスクから守る確実な方法といえます。
(参考文献:Heartworm Disease in Dogs, Cats, and Ferrets – Circulatory System | MSD Veterinary Manual)
獣医師が教える!失敗しないフィラリア薬の選び方
ここまではフィラリア症とその予防薬の効果について解説しました。
では、さまざまなフィラリア予防薬の種類がある中で、予防薬はどのような基準で選べばよいのでしょうか?
選び方の目安をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Choosing Heartworm Prevention | Just 4 Pets Wellness Center)
投与のしやすさ(おやつタイプ vs スポット vs 注射)
チュアブルタイプのフィラリア予防薬は嗜好性が高いため、錠剤が苦手な犬にもおすすめです。
チュアブルタイプでも飲むのが難しい犬には、皮膚に滴下するだけのスポットタイプが使いやすいでしょう。
また、注射タイプであれば年1回の投与で済むうえ、自宅で飲ませる必要がありません。
しかし、注射タイプのフィラリア予防薬では、副作用の一部に死亡した例が報告されていることから、多くの獣医師が推奨していないのが現状です。
愛犬の性格に合わせた与え方を選びましょう。
持病や年齢
それぞれのフィラリア予防薬には適正な月齢と体重の目安が決められており、使用するには一定の月齢や体重を超えることが必要です。
また、子犬の頃はチュアブルタイプを好んで食べていても、成犬になり嗜好が変わることで食べなくなり、薬を変更することがあります。
さらに、シニアになり肝臓や腎臓などに病気を抱えると、内服薬よりも負担の少ないタイプに変更することがあります。
特定の成分にアレルギーがないか
チュアブルタイプのフィラリア予防薬には、原材料の一部に肉や大豆を使用しています。
そのため、それらの原材料にアレルギーがある犬では、投与後に体調を崩す可能性があります。
また、コリー系の犬に見られる「MDR1遺伝子」の異常により、一部の薬で副作用を引き起こすことが知られています。
そのほかに、注射タイプであれば注射による腫れやアレルギー反応が見られることがありますので、愛犬の犬種や体質を考慮して予防薬を選びましょう。
(参考文献:Proheart | For Animal Healthcare Professionals zoetisus.com)
(参考文献:Heartworm disease – Overview, intervention, and industry perspective|PubMed CentralⓇ)
犬のフィラリア予防薬おすすめ3選①チュアブルタイプ
ここからは、おすすめのフィラリア予防薬3選をご紹介していきます。
まず、近年多くの飼い主様が選んでいる「チュアブルタイプ」のフィラリア予防薬です。
こちらはフレーバーがついており、飲み薬が苦手な犬でも与えやすい予防薬です。
フィラリア予防単体のほかに、ノミ・マダニやお腹の寄生虫の駆除も同時に行うことができる製品も開発されています。
その製品であれば、月に1回飲ませるだけのオールインワンの予防薬であり、犬を飼い始めたばかりの飼い主様でも美味しく簡単にフィラリア予防を行うことができます。
(参考文献:Heartworm Disease in Dogs, Cats, and Ferrets – Circulatory System | MSD Veterinary Manual)
犬のフィラリア予防薬おすすめ3選②スポットタイプ
次は、月に1回皮膚に塗布する「スポットタイプ」のフィラリア予防薬です。
こちらもチュアブルタイプと同様に、飲み薬が苦手な犬にも最適です。
多くの製品で、フィラリア予防のほかにもノミやミミヒゼンダニ、シラミなどの駆除も同時に行うことができます。
ただし、使用前には皮膚の状態を確認し、異常がないことを確かめたうえで使用することが重要です。
また、
- 使用直後にシャンプーができない
- 塗布した部位にかゆみや脱毛が起こることがある
- マダニの予防ができない
などのデメリットもあるので、愛犬のライフスタイルや健康状態を考慮して選択しましょう。
犬のフィラリア予防薬おすすめ3選③錠剤タイプ
最後におすすめなのは「錠剤タイプ」のフィラリア予防薬です。
こちらは、一般的な飲み薬と同様の外見をした予防薬です。
かつては味のない単純な錠剤としての製品のみでしたが、近年はフレーバーがついたタイプの製品も開発されています。
そのままの錠剤では薬を飲むのが難しい犬でも、フレーバーがつくことによりおやつ感覚でフィラリア予防を行うことができます。
また、フィラリア予防のほか、ノミやマダニ、回虫、鉤虫、鞭虫の駆除も同時に行えるオールインワンの予防薬もありますので、そちらがおすすめです。
月1回の投与で予防効果を発揮し、シャンプーの影響を受けず、投与直後でもいつも通り安心して触れ合うことができます。
フィラリア予防薬は年間投与がおすすめ!
ここまではおすすめのフィラリア予防薬について解説しました。
では、フィラリア予防薬はどれくらいの期間投与した方がよいのでしょうか?
結論から申し上げますと、フィラリア予防薬は「年間投与」がおすすめです。
これまでは、蚊のいる季節のみ予防を行う「季節投与」が主流でした。
しかし近年は、環境や気候の変動の影響で蚊の活動期間が長くなり、フィラリアへの感染リスクが増加しています。
そのため現在は、年間を通じてフィラリア予防薬を投与する「年間投与」が推奨されています。
冬に蚊が少なくなるのは事実ですが、フィラリアの感染リスクがゼロになることはありません。
そのうえ、年間投与であれば飲み忘れを防ぐこともできるというメリットもあります。
フィラリア予防は通年で行い、確実にフィラリア症を予防してあげましょう。
(参考文献:AHS_Canine_Guidelines_WEB_19JUN2025 | American Heartworm society)
犬のフィラリア予防薬に関するよくある質問
Q1.フィラリア予防薬の効果に違いはありますか?
国内で動物病院から処方される正規のフィラリア予防薬は、基本的にフィラリア症の予防効果に大きな差はありません。
どの薬も月に1回の投与で、ほぼ確実にフィラリア症を予防することができます。
そのため、重要なことは「どの薬が一番効くか」よりも「どの薬が一番合っているか」ということです。
効果は同等でも、投与のしやすさや副作用の出やすさといった点に若干の違いがあるため、愛犬に合った薬を選んであげましょう。
Q2. 初めてフィラリア予防をする犬には、どのタイプがおすすめ?
特に子犬に初めてフィラリア予防薬を与える際には、私自身もよくこのご質問を受けます。
子犬は食欲旺盛であることが多く、かつ投与が簡単な薬であるチュアブルタイプのオールインワンの予防薬が投与しやすいでしょう。
また、月に1回投与する予防薬であれば、その薬で副作用が起こらないか一度確認することが可能ですので、おすすめです。
その反面、注射薬は一度接種すると、万が一体質に合わなかった場合に調整できないというデメリットがあるので注意が必要です。
Q3. フィラリア予防薬の投与を忘れてしまった場合は?
フィラリア予防薬を予定の日に飲み忘れてしまった場合は、まずは気づいた時点で動物病院に相談し、獣医師の指示を仰ぎましょう。
飲み忘れて1~2か月以内であれば、気づいたその日から投与を再開することが多いです。
フィラリア予防薬は、体内に侵入したフィラリア幼虫を成虫になる前に駆除する薬です。
さらに、フィラリアが寄生部位である心臓や肺動脈に移動するまでの準備期間は、約2か月とされています。
以上の理由から、フィラリア予防薬は飲み忘れてもすぐに投与を行うことが一般的です。
ただし、犬の健康状態や地域により判断が異なるため、必ず獣医師の判断を仰ぎましょう。
(参考文献:Heartworm Basics|American Heartworm Society)
【まとめ】愛犬にベストな「フィラリア薬」を見つけよう!
犬のフィラリア症は、正しい予防でほぼ確実に防げる病気です。
愛犬の性格やライフスタイル、健康状態に合ったフィラリア予防薬を選び、通年で投与を継続することが大切です。
現在は多くのフィラリア予防薬があるため、愛犬に最適な薬を選べるようになっています。
フィラリア予防と同時に、ノミ・マダニやお腹の寄生虫の対策を行うことができる便利なオールインワンの予防薬も開発されています。
また、安全性が高く継続しやすい薬も開発されていますので、本記事を参考にしつつ、獣医師と相談しながら最適な薬を選んであげましょう。
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私自身、日頃の診察においてフィラリア予防薬に関する相談をよく受けます。 なかでも、フィラリア予防薬の選び方については、多くの飼い主様が悩んでいると実感しています。 薬の投与が大変になると、フィラリア予防を中止してしまう飼い主様が多いのも事実です。 その結果、フィラリアに感染してしまった犬を多く診察してきました。 近年はさまざまな予防薬があり、犬の性格や生活環境に合わせた選択が可能です。 獣医師に相談のうえ、安全で効果的な予防を心がけましょう。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム