背中の毛が束になり、割れることで地肌が見える「毛割れ」が愛猫に見られると、病気ではないかと心配になりますよね。
そんなとき、
「なぜ毛割れが起きたのだろう?」
「このまま様子を見ていていいのだろうか?」
「シャンプーをした方がいいのだろうか?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか?
毛割れは皮脂の増加やグルーミング不足などのさまざまな原因で起こります。
実は、毛割れの原因のなかには病気も含まれることをご存じでしょうか?
特に、高齢になってから起こる毛割れは、愛猫の命に関わる病気が隠れているサインであることもあります。
本記事では、現役獣医師の意見をもとに、猫の毛割れの原因やよくある毛割れのパターン、受診の目安などについて分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、猫の毛割れについて理解を深めましょう。
目次
【結論】猫の毛割れ=必ずしも病気ではない
では、猫の毛割れは病気のサインなのでしょうか?
結論から申し上げますと、必ずしも病気のサインとは限りません。
病気以外で猫に毛割れが見られる原因としては、
- 皮脂の分泌が多い
- グルーミングをしない
- 肥満である
- 高齢である
といったものが挙げられます。
ただし、皮膚にかゆみや脱毛があったり、毛割れ以外の体調の変化が見られたりする場合は、病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。
そのため、毛割れだけで自己判断をせず、愛猫の健康状態や生活環境の変化も含めて観察することが大切です。
特に高齢である場合や、体調の異変が続く場合は早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。
(参考文献:What Makes a Cat’s Coat Feel Greasy or Oily? | PetMD)
猫の毛割れとは?
猫の毛割れとは、何かの原因で毛が多数の束状に分かれることで、地肌が見えてしまう状態を指します。
では、毛割れは、正常な毛並みとどのような点が異なり、どのような部位で起こりやすいのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Coat and Skin Appearance in the Healthy Cat | VCA Animal Hospitals)
正常な毛並みとの違い
正常な猫の毛は均一で、なめらかなうえにツヤがあります。
抜け毛も少なく、ふけや油っぽさもありません。
一方、毛割れがある毛では、乾燥やべたつきがあることが一般的です。
ときに、白いふけのようなものが見られることもあります。
さらに、かゆみや抜け毛の増加が見られることも少なくありません。
このように、毛割れが起きている毛は正常な毛と異なる見た目になります。
毛割れが出やすい部位
猫の毛割れは、主に背中や腰周りに多く見られます。
その理由として、特に猫が自分でグルーミングしにくい部位に起こりやすいからだと言われています。
肥満の猫ではよりその傾向が強く、また背中には皮脂腺が多いといった理由で、その部位に毛割れが起きやすいのです。
そのような部位は入念にブラッシングをすると良いでしょう。
毛割れと似ている症状の違い
猫の毛割れは、毛が束になって地肌が見えてしまう状態ですが、一見すると他の皮膚トラブルと見分けがつきにくいことがあります。
具体的には、
- 脱毛
- ふけ
- 皮膚炎
といったものが挙げられます。
脱毛は、毛が抜け落ちることで地肌が見えてしまいます。
また、皮膚炎でも毛が束になることがありますが、そのほかに皮膚の赤みやただれが見られることも少なくありません。
これらは皮膚病のサインの可能性があり、毛割れとは別の異常として注意が必要です。
猫の毛割れを引き起こす5つの主な原因①皮脂の増加
では、猫の毛割れはどのような原因で起こるのでしょうか?
よくある原因の一つは、皮脂の分泌量の増加です。
皮脂が多くなることで毛同士がくっつき、束になって割れたように見えます。
皮脂が増加する原因としては、
- 体質
- ホルモンバランス
- 脂質の多い食事
- 皮膚病
など、さまざまなものが挙げられます。
また、皮脂が多い状態が続くと、毛割れだけではなく、皮膚炎のリスクも高まるため注意が必要です。
そのため、定期的なブラッシングやスキンケアを行い、清潔な被毛を維持してあげましょう。
(参考文献:What Makes a Cat’s Coat Feel Greasy or Oily? | PetMD)
猫の毛割れを引き起こす5つの主な原因②グルーミング不足
次に、グルーミングが不足することもよくある原因の一つです。
猫は本来、自分で毛づくろいをして毛を清潔に保つ習性をもちますが、
- 肥満
- 関節の痛み
- 体調不良
などが原因で、十分グルーミングを行えなくなることがあります。
その結果、毛に皮脂や汚れがたまりやすくなり、毛割れが起こることも少なくありません。
私自身の臨床経験としては、特に高齢の猫でこの傾向が強い印象があります。
そのため、定期的なブラッシングやスキンケアで清潔な被毛をサポートしてあげることが大切です。
また、原因となる肥満や痛みに対するケアも同時に行ってあげましょう。
猫の毛割れを引き起こす5つの主な原因③肥満
前述の通り、肥満は毛割れの代表的な原因の一つです。
体が大きくなることで体をうまく曲げにくくなり、背中や腰に口が届きにくくなるため、グルーミング不足につながります。
その結果、毛に皮脂や汚れがたまりやすくなり、毛割れが起こりやすくなります。
また、肥満は体質や食事内容から起こることも多く、その分皮脂の分泌も増えやすくなり、毛割れにつながることも少なくありません。
さらに肥満は毛割れ以外にも、
- 尿石症
- 関節炎
- 糖尿病
といった病気を引き起こすリスクもあります。
適正体重を維持することは、被毛の健康にとっても、全身の健康にとっても重要です。
猫の毛割れを引き起こす5つの主な原因④病気
猫に毛割れを引き起こす可能性がある病気としては、
- 関節炎
- 歯周病
- 糖尿病
- 甲状腺機能亢進症
- 慢性腎臓病
といったさまざまなものが知られています。
これらの病気があると、体の痛みや不調から猫がグルーミングの姿勢をとることが困難になったり、グルーミングを行う元気がなくなったりすることが少なくありません。
その結果、毛に皮脂や汚れがたまりやすくなり、毛割れが起こりやすくなります。
また、病気によっては皮脂の増加につながることもあり、被毛の状態がさらに悪化する場合もあります。
毛割れが見られる場合は、愛猫の全身の健康状態にも注意が必要です。
猫の毛割れを引き起こす5つの主な原因⑤寄生虫
最後に、猫の毛割れは、皮膚に寄生する寄生虫が原因で起こることもあります。
代表的なものとして、
- ノミ
- マダニ
- 疥癬
- ニキビダニ
といった寄生虫が挙げられます。
特にノミに寄生された猫は、私自身の日頃の診察でもよく見かけます。
これらが寄生すると皮膚に強いかゆみが起こり、猫が過剰に舐めたり、掻いたりするようになることが少なくありません。
その結果として、毛が抜けたり束となったりすることで、毛割れのように見えることがあります。
この場合は、単にグルーミングを行っても改善する可能性は低く、動物病院で原因となる寄生虫の治療が必要です。
愛猫の毛割れを見つけた際は、早めに動物病院を受診するように心がけましょう。
若い猫でも毛割れは起きる?若い猫に多いパターン
ここまでは、猫の毛割れが起きる原因について解説しました。
これらの原因のうち、特に病気が原因の場合は、高齢の猫で起こることが一般的です。
では、若い猫でも毛割れは起きるのでしょうか?
それぞれのパターンを詳しく見ていきましょう。
肥満傾向
結論から申し上げますと、若い猫でも毛割れは起こることがあります。
若い猫でも運動不足や食べ過ぎにより肥満になると、前述の通りグルーミングが不足し、毛割れが見られることも少なくありません。
特に、避妊・去勢手術を行った後は、体重が増えやすくなる傾向があります。
そのため、若い頃から体重管理をしっかり意識することが、毛割れの予防につながります。
(参考文献:Obesity in Cats: Signs, Causes, and Treatment | PetMD)
環境変化で起きるストレス
猫はストレスを感じると、グルーミングの頻度が増えたり減ったりします。
その結果、被毛が束になりやすく、毛割れにつながることが少なくありません。
猫がストレスを感じる代表的な原因としては、
- 不衛生なトイレ
- 引っ越し
- 家族構成の変化
- 新しいペット
- 新しい家具や床材
- 知らない人の訪問
- 大きな騒音
といったものが挙げられます。
このような原因に心当たりがないか、一度確認してみましょう。
(参考文献:Are You the Cause of Your Cat’s Stress? | PetMD)
生まれつきの「毛質」や「皮脂」の多さ
もともと体質的に皮脂が多い猫や毛が細い猫では毛が束になりやすく、若い猫でも毛割れが起こりやすい傾向があります。
特に長毛種である、
- ペルシャ
- メインクーン
- ラグドール
- サイベリアン
- ノルウェージャンフォレストキャット
などでは、毛が絡まりやすいと言われています。
これらの長毛種の猫は、毛割れの対策として毎日ブラッシングが必要です。
一方、アメリカンショートヘアなどの短毛種の猫では、週に1~2回程度のブラッシングで十分な場合もあります。
(参考文献:Brush Your Cat the Right Way With Tips From the Pros | Chewy)
「猫 毛割れ」に関するよくある質問
Q1.猫にシャンプーは必要ですか?
基本的に猫には頻繁なシャンプーは不要です。
しかし、関節炎や肥満などにより自分でグルーミングを行うことが難しい猫は、獣医師の指導のもとでシャンプーを行うことがあります。
一方、シャンプーのやりすぎは逆に皮膚トラブルを招くこともあり、毛が濡れることで絡みやすくなり、より毛割れが悪化する場合もあるため注意が必要です。
まずは自宅でのブラッシングなどの基本的なケアを優先し、毛割れがひどい場合は専門店にシャンプーを依頼するようにしましょう。
(参考文献:Grooming and Coat Care for Your Cat | VCA Animal Hospitals)
Q2.猫の毛割れはブラッシングだけで治りますか?
軽度の毛割れであれば、ブラッシングによって解消されることがあります。
ただし、毛割れの原因が病気や寄生虫などである場合は、ブラッシングで一時的に解消されたとしても、根本的な改善は難しいと考えられます。
そのため、毛割れが起きた原因をしっかりと検査で確認してもらい、その原因に応じた対策を行うことが大切です。
愛猫の毛割れを見つけたときは、まずは動物病院を受診しましょう。
また、毛割れがひどくシャンプーが必要な場合は、無理に自宅で行わず専門店に依頼しましょう。
(参考文献:What Makes a Cat’s Coat Feel Greasy or Oily? | PetMD)
Q3.猫の毛割れで動物病院を受診すべき目安は?
猫の毛割れで動物病院を受診すべき目安としては、毛割れ以外に体調の変化が見られる場合が挙げられます。
具体的には、
- 体重が急に増えた
- どこか痛そうにしている
- 高いところに登らなくなった
- よく水を飲む
- かゆがっている
- 皮膚が赤い
といった症状が挙げられます。
このような症状が見られる場合は、毛割れの背景に病気が隠れている可能性が少なくありません。
早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。
【まとめ】毛割れは体からのサイン。老化、肥満、脱水など原因を見極めることが大切
猫の毛割れはさまざまな原因で起こります。
健康な猫でも起こることがありますが、その原因の中には、愛猫の健康に関わる重大な病気も含まれています。
毛割れは単なる見た目の問題ではなく、体の状態を示すサインのひとつです。
必ずしも病気とは限りませんが、気づいたときは動物病院を受診するよう心がけましょう。
特に、毛割れ以外の症状がある場合は、病気が隠れている可能性が高まるため注意が必要です。
日頃から愛猫の毛並みや行動の変化を観察し、異常があれば早めに対処することが大切です。
関連記事
-
-
ベンガル猫が飼いにくいと言われる5つの理由!飼いにくいという噂について解説
ヒョウ柄のような美しい被毛と、ワイルドな見た目で人気の高いベンガル猫。 しかし一方で、「ベンガル猫は飼いにくい」「初心者には向かない」といったことを見聞きしたことがある人も多いのではないでしょうか。 …
-
-
猫がクンクンするけど食べない時の対処法5選!餌の匂いを嗅いで食べない原因について解説
「愛猫が餌をクンクンするけど、食べない」 結論から言うと、匂いは嗅ぐのに食べないのは、“食べたい気持ち”と“食べられない何かしらの原因”がせめぎ合っているサインです(参考文献:Recognizing …
-
-
猫がくちゃくちゃ口を鳴らす意味とは?甘えやストレスと言われている理由について解説
いつもは静かにしているのに、ある日突然「くちゃくちゃ」「ぺちゃぺちゃ」と音を立てて口を動かす愛猫…。 「これって甘えているだけ?」「それとも病気?」「猫 くちゃくちゃ で検索したら怖いことばかり出てき …
-
-
猫が尻尾でペシペシしてくる時の猫の気分は?叩いてくる理由について解説
猫が尻尾で「ペシペシ」と叩いてくると、「怒ってるの?嫌われた?」と不安になりますよね。でも、猫の尻尾は“気持ちを伝える道具”。 実はペシペシは、甘えや遊びの催促など「構ってほしい」サインであることが多 …
-
-
猫は一緒に寝る人を選ぶ?一緒に寝るようになった理由や寝る位置が持つ意味について
「猫 一緒に寝る人 選ぶ」で検索しているあなたは、きっと“なぜ自分じゃなくて家族と寝るの?”というモヤモヤを抱えているはずです。 結論から言うと、猫は“えこひいき”ではなく、安心できて快適で、予測でき …
私自身の日頃の診察でも、猫の毛割れはよく見かけます。 また、動物病院を受診する毛割れの多くが、何かしらの病気を背景に持っていると感じています。 猫の毛割れが病気の初期のサインであることも多く、またそのことを知らない飼い主様が多いのも事実です。 さらに、自宅でのケアが毛割れをより悪化させてしまうケースも多く見かけます。 日常的な観察と適切なケアが、愛猫の皮膚の健康を守ることにつながります。 愛猫の体調に気になる点があれば早めに獣医師へ相談しましょう。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム