2025/12/25
結論から申し上げますと、確かにバーニーズは他の大型犬と比較しても平均寿命が短い傾向にあります。
ある調査データでは「平均8.4歳」という報告もありますが、統計によって多少の幅はあり、10歳を超えれば十分に「長寿」と言えるのが現実です。
しかし、これはあくまで「平均」の話。寿命は遺伝的な運命だけで決まるものではありません。大切なのは、「なぜ短命と言われるのか」という医学的な理由を正しく理解し、それに対抗するための「リスク管理」を行うことです。
この記事では、獣医師の視点からバーニーズの寿命に関する真実と、彼らの時間を1日でも長く、濃密なものにするための具体的な対策について解説します。
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
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目次
【結論】平均寿命は大型犬の中でも短めの傾向
バーニーズマウンテンドッグは、残念ながら「短命な犬種」として語られることが多いのが事実です。
一般的に、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバーなどの大型犬の平均寿命が10〜12歳程度と言われるのに対し、バーニーズの平均寿命はそれよりも2〜3年ほど短い傾向にあります。
とある調査では平均寿命が8.4歳と報告されています。
この数字だけを見ると、「10年も一緒にいられないのか」とショックを受けるかもしれません。
しかし、これはあくまで統計上の数字です。
寿命や健康状態は、生まれ持った「遺伝子」だけでなく、食事や運動、住環境といった「後天的な要素」によって大きく変わります。
つまり、バーニーズの寿命は「変えられない運命」ではなく、「飼い主のリスク管理と愛情次第で伸ばせる余地がある」と考えるべきです。
なぜバーニーズマウンテンドッグは短命と言われるの?
では、なぜ彼らの寿命は短いのでしょうか? 「なんとなく体が弱い」といった曖昧な理由ではなく、獣医学的な視点でその要因を分解し、対策可能な課題として捉え直してみましょう。
1. 超大型犬の宿命と身体的負担
バーニーズは体重40kg〜50kgを超えることもある超大型犬です。 犬の世界では、体が大きければ大きいほど、全身に血液を送り出す心臓や、体重を支える関節にかかる負担が大きくなるため、老化のスピードが早いと言われています。 人間換算で見ても、小型犬より早くシニア期(7歳頃)を迎えるため、健康管理のスタートラインを前倒しにする必要があります。
2. 遺伝的な「がん(悪性腫瘍)」のリスク
バーニーズが短命と言われる最大の医学的理由は、「悪性腫瘍(がん)」の発生率が高いことにあります。 特に「組織球性肉腫(そしききゅうせいにくしゅ)」という悪性度の高いがんは、この犬種特有の遺伝性疾患として知られており、平均寿命を大きく押し下げる要因となっています。 だからこそ、お迎えする際には「親犬や祖父母犬が何歳まで生きたか」「がんの家系ではないか」を確認することが、最初のリスク管理になります。
(参考文献:Identification of a Hypomorphic FANCG Variant in Bernese Mountain Dogs|MDPI)
3. 命に関わる「胃捻転」のリスク
胸が深い骨格を持つ大型犬に多い「胃拡張・胃捻転症候群」も、寿命を左右する重大な要因です。 食後に急に運動したり、大量の水を飲んだりすることで胃がねじれ、処置が遅れると数時間で死に至る恐ろしい病気です。「食後は必ず休ませる」という知識があるかどうかだけで、守れる命があります。
(参考文献:Non-dietary risk factors for gastric dilatation-volvulus in large and giant breed dogs|PubMed)
4. 日本の高温多湿による「熱中症」
スイスの冷涼な山岳地帯原産の彼らにとって、日本の高温多湿な気候は過酷すぎます。 分厚い被毛に覆われた体は熱を逃がすのが苦手で、慢性的な暑さストレスは心臓や免疫系にダメージを与え、寿命を縮める要因になります。真夏だけでなく、湿度の高い梅雨や初秋も熱中症リスクがあることを忘れてはいけません。
バーニーズマウンテンドッグを長生きさせる習慣
短命の理由がわかれば、それに対抗するための習慣が見えてきます。
日々の生活の中で実践できる「長寿へのパスポート」をご紹介します。
徹底した暑さ対策で心臓を守る
日本の環境でバーニーズを飼う以上、空調管理は生命線です。 室内はエアコンと除湿機をフル稼働させ、室温25〜26℃、湿度50%以下を目安に「人間が少し肌寒いと感じるくらい」の環境をキープしましょう。 散歩はアスファルトの熱が冷めている早朝や夜遅くに行い、日中は絶対に無理をさせないこと。これが心臓への負担を最小限に抑える秘訣です。
「太らせない」が最強の予防薬
関節疾患や心臓病のリスクを持つ彼らにとって、肥満は大敵です。 成長期に「大きくしたい」という一心でフードを与えすぎると、未熟な骨格に過度な負荷がかかり、将来的な寝たきりのリスクを高めます。 成犬になってからも、おやつのカロリー計算を徹底し、背骨や肋骨がうっすら触れるくらいの「理想体型」を維持することが、健康寿命を延ばす一番の近道です。
毎日のスキンシップで「小さなしこり」を発見する
がんが多い犬種だからこそ、早期発見が運命を分けます。 ブラッシングやマッサージのついでに、全身をくまなく触り、皮膚の赤みや小さなしこり(デキモノ)がないかチェックする習慣をつけましょう。 「昨日まではなかったしこり」に気づけるのは、毎日触れている飼い主さんだけです。
年齢に合わせた「早期発見」の設計
症状が出てから病院に行くのではなく、「何もなくても行く」のがバーニーズの健康管理です。 特に腫瘍リスクが高まる中高齢期以降は、以下のペースでの検診を推奨します。
- 子犬〜若齢期:去勢避妊手術時の血液検査、股関節レントゲンなど
- 成犬期(3〜6歳):年1回のドック(血液検査、エコー、レントゲン)
- シニア期(7歳〜):年2回の徹底的な検診
「バーニーズマウンテンドッグの寿命」に関するよくある質問
Q1. 暑さ対策は具体的に何をすればいい?
単にエアコンをつけるだけでなく、「湿度」と「風」の管理が重要です。 除湿機を使って湿度を下げ、サーキュレーターで冷気を循環させましょう。犬が寝ている床付近の温度計をチェックすることも忘れずに。散歩は時間帯だけでなく、「手で地面を触って熱くないか確認」してから出かけるのが鉄則です。
Q2. バーニーズマウンテンドッグの7歳は人間だと何歳?
大型犬の年齢換算には諸説ありますが、一般的には「最初の1年で約17歳になり、その後は1年ごとに7歳をとる」と考えられています。 この計算式でいくと、7歳のバーニーズは人間でいう約59歳(還暦手前)になります。見た目は若々しくても、体の中は立派なシニア世代。運動量を調整したり、フードをシニア用に切り替えたりと、労わるケアが必要です。
Q3. バーニーズ・マウンテン・ドッグの”最高齢”は?
公式な最高齢記録を見つけるのは難しいですが、中には15歳や、稀にそれ以上生きたという長寿の報告もあります。 平均寿命が短いことは事実ですが、それは「全員が早く亡くなる」という意味ではありません。平均にとらわれすぎず、「この子の寿命を全うさせる」という前向きな気持ちで、日々のケアを積み重ねていきましょう。
【まとめ】遺伝的なリスクを理解し、環境を整えれば、天寿を全うさせることは十分に可能
バーニーズマウンテンドッグは、確かに統計上は短命な傾向にある犬種です。
しかし、その理由は「運」だけではなく、遺伝的な腫瘍リスクや大型犬特有の身体的負担、そして環境要因(暑さ・胃捻転)といった、明確な根拠に基づいています。
理由が明確であるということは、対策が可能であるということです。
- 徹底的な温度・湿度管理
- 厳格な体重コントロール
- 日々の全身チェックによる早期発見
- リスクを見据えた定期的な健康診断
これらの「備え」を万全にすることで、彼らが苦しむリスクを減らし、穏やかで幸せな時間を伸ばすことは十分に可能です。
「短いから諦める」のではなく、「短いからこそ、1日1日を大切に守り抜く」。
そんな覚悟を持って迎えることができれば、バーニーズとの暮らしは、あなたの人生において何物にも代えがたい、宝物のような時間になるはずです。
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バーニーズは統計的な寿命が短い傾向にありますが、悲観する必要はありません。彼らの命を脅かす「腫瘍」や「胃捻転」等のリスクは、飼い主様の知識で管理可能です。徹底した暑さ対策と体重管理、日々のスキンシップによる「異変」の早期発見が長寿への鍵です。限られた時間だからこそ、1日1日の密度は濃くなります。正しい知識という愛情で守り、彼らとの「今」を大切に過ごしてください。
監修・うさパラ コンテンツ制作チーム