くるみにはさまざまな健康に良い成分が入っているため、愛犬におやつとして与えたくなりますよね。
そんなとき、
「犬にくるみをあげても大丈夫?」
「目を離した隙に殻ごと食べてしまったけど、大丈夫?」
「すぐに動物病院を受診すべき?」
といった疑問や不安を感じてはいませんか?
実は、くるみは人にとって栄養価の高い食品ですが、犬にとっては注意が必要な食べ物であり、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
また、殻を誤飲した場合は、消化管を傷つけたり、腸に詰まったりする危険もあることをご存知でしょうか?
今回は、現役獣医師の意見をもとに、犬にくるみを与えない方がよい理由や殻ごと食べてしまった場合のリスク、注意したい症状などについて分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬へくるみを与えることのリスクについて、正しい理解を深めましょう。
目次
【結論】犬にくるみは食べさせない方がいい
結論から申し上げますと、犬に積極的にくるみを与えることは控えた方がよいでしょう。
理由として、少量で直ちに中毒を起こすような食べ物ではありませんが、胃や腸に負担をかけやすいためです。
また、殻付きのくるみを丸のみした場合、食道で詰まったり、小腸で詰まって腸閉塞を引き起こしたりすることも少なくありません。
さらに、持病がある犬にとっては、くるみを食べることで病状を悪化させる可能性も否定できません。
「少量なら大丈夫」と過信せず、基本的には与えないことを推奨します。
では、これらのリスクはなぜ起こるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Can Dogs Eat Walnuts? | PetMD)
犬にくるみは食べさせない方がいい理由①脂質が多く、犬の消化に負担がかかる
くるみには、ほかの食べ物と比べて脂質が多く含まれています。
また、人用のくるみには、調味料で味付けをされているものも少なくありません。
犬は一般的に、人ほど脂質の多い食べ物に強くなく、一度に多くの脂質を摂取すると胃や腸に負担がかかります。
特にシニア犬は、成犬と比べ消化機能が衰えていることが多く、少量でも体調を崩すケースがあるため、注意が必要です。
また、硬い殻は犬の消化管でほとんど消化されることがありません。
そのため、殻が消化管を傷つけてしまったり、途中で詰まって腸閉塞を起こしたりして、胃や腸に負担がかかることもあります。
犬にくるみは食べさせない方がいい理由②下痢・嘔吐を起こすことがある
前述の通り、くるみには多くの脂質が含まれており、胃や腸に負担をかけることで、嘔吐や下痢といった症状を引き起こす可能性があります。
特に、一度に大量に食べた場合や、いままでくるみを食べたことがない犬では、これらの症状が見られるリスクが高まります。
また、体質によっては少量でもこれらの症状が見られる犬も珍しくありません。
くるみを誤食してしまった場合は、まずは一度かかりつけの獣医師に相談しましょう。
また、嘔吐や下痢といった症状が続く場合は、放置すると脱水につながる恐れもあるため、様子を見ずに早めの受診を心がけましょう。
犬にくるみは食べさせない方がいい理由③肥満の原因になる
くるみには脂質が多く含まれるため、少量でもカロリーが高く、食べ過ぎると肥満の原因になります。
犬は人より体が小さいため、少量のくるみを食べただけでも摂取カロリーが大きく増えてしまい、肥満につながることも少なくありません。
特におやつとして頻繁に与えると、必要以上のカロリー摂取につながりやすいため、注意が必要です。
また、肥満になると関節への負担が増えるだけでなく、糖尿病や心臓病などさまざまな病気のリスクも高まります。
愛犬の健康維持のためにも、くるみを与えることは控えましょう。
犬にくるみは食べさせない方がいい理由④膵炎のリスク
犬では一般的に、脂質の多い食べ物を大量に摂ると、膵炎を引き起こすリスクがあります。
膵炎とは、脂肪を消化する消化酵素を分泌する「膵臓」において、何らかの原因で消化酵素が膵臓自身を消化し、炎症が起こる病気です。
この病気は、軽度であれば軽度の嘔吐や下痢といった症状が見られますが、より重症化すると命に関わることもある危険な疾患です。
私自身の診察でも、膵炎を起こした犬をたびたび経験します。
くるみのような脂質が多く含まれる食べ物は、愛犬の膵臓へ強い負担をかける可能性があります。
そのため、膵炎を予防するためにも、犬にくるみを与えるのは避けた方が安全です。
犬にくるみは食べさせない方がいい理由⑤持病のある犬にはより不向き
前述の通り、くるみには膵臓や消化管に負担をかけ、肥満のリスクを高める可能性があります。
そのため、特に持病のある犬にくるみを与えることはおすすめできません。
膵炎の既往歴がある犬や肥満傾向である犬はもちろんのこと、
- 心臓病
- 関節疾患
- 肝疾患
- 糖尿病
- 慢性腸症
- 食物アレルギー
といった持病がある犬にとって、くるみは病状の悪化を引き起こす可能性があります。
また、これらの病気はシニア犬において起こることが多いです。
さらに、シニア犬は消化機能が低下していることが多く、くるみをうまく消化できない場合があります。
そのため、健康状態に不安がある犬には、くるみを与えないことが大切です。
(参考文献:Obesity in dogs | PDSA)
犬がくるみを殻ごと食べたら身体に悪い?
では、くるみを殻ごと食べた場合は、身体にどのような影響があるのでしょうか?
くるみの殻は非常に硬く、そのまま食べた場合は身体に悪影響を及ぼす可能性があります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Can Dogs Eat Walnuts? Can Dogs Have Walnuts? | akc.org)
くるみの殻は硬く、犬には消化しにくい
くるみの殻は非常に硬く、多くの場合、犬の消化管では消化することができません。
そのため、殻をそのまま飲み込むと、胃や腸に長く留まり負担をかける可能性があります。
また、細かく砕けた殻でも安全とは言えず、消化不良や便秘の原因になることも少なくありません。
特に、殻を噛まずに丸ごと飲み込んだ場合は、消化管閉塞につながる危険もあるため注意が必要です。
殻の破片で口の中や消化管を傷つける可能性
割れたくるみの殻は断面が鋭くなることがあり、犬の口の中や食道、胃腸を傷つける可能性があります。
場合によっては出血や炎症を起こすこともあり、
- 食欲がなくなる
- よだれが増える
- 口を気にする
- 血便が出る
- 嘔吐や下痢をする
といった症状を引き起こすことも珍しくありません。
これらの症状が見られる場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
小型犬は喉詰まり・腸詰まりのリスク
小型犬は体が小さいため、くるみの殻を誤飲すると食道や小腸に詰まりやすくなります。
特に丸のみした場合は、そのリスクが高まるため注意が必要です。
苦しそうにする、何度も吐こうとするなどの様子が見られた場合は、くるみの殻がどこかで詰まっている可能性があります。
くるみに限らず、木の実が原因で腸閉塞を起こし緊急手術となった症例は、日頃の診療でもよく見られます。
その場合は、早急な治療が必要となるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
また、無理に吐かせようとするのは危険ですので、自己判断せず獣医師に相談するよう心がけましょう。
犬がくるみを食べたときに注意したい症状
では、もし愛犬にくるみを与えた場合、もしくは愛犬がくるみを誤食した場合、どのような症状に注意すべきなのでしょうか?
犬がくるみを食べた後、下痢や嘔吐、元気消失などの症状が見られる場合は、特に注意が必要です。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Can Dogs Eat Walnuts? | PetMD)
下痢・軟便
愛犬がくるみを食べたあとに最も起こりやすい症状の1つに「下痢」や「軟便」が挙げられます。
この症状は、くるみに多く含まれる脂質をうまく消化できなかったり、食べ慣れない食べ物を食べることで腸内環境が乱れたりすることで起こります。
症状が軽度ですぐに治まる場合もありますが、何度も続く場合は、脱水が進行する危険性があるため、放置せず早めの受診を心がけましょう。
嘔吐・吐き気
下痢や軟便と同様に、くるみによる胃や腸への刺激によって、吐き気や嘔吐が見られることがあります。
特にくるみを大量に食べた場合や、殻を丸ごと誤飲した場合は注意が必要です。
何度も吐く、食べ物や水も受け付けないといった状態は、膵炎や腸閉塞が起きている可能性もある危険なサインです。
そのような場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
食欲不振・元気がない
前述の消化器症状のほかにも、普段より元気がない、食欲がないといった様子が見られる場合は、体に強く負担がかかっている可能性があります。
そのほかに見られる症状としては、
- ぐったりする
- 震えている
- 動きたがらない
- お腹を触ると痛がる
といった様子が見られることも少なくありません。
いつもと違う様子が続く場合は、自己判断せず早めに動物病院を受診しましょう。
「犬 くるみ」に関するよくある質問
Q1.犬にくるみは何粒までなら大丈夫?
犬が食べたくるみの量が少量であれば、大きな問題にならないケースもあります。
しかし、一概に「何粒までなら大丈夫」とは言えません。
なぜなら、犬の体格や体質、健康状態によって、くるみによる体調への影響が異なるためです。
特に小型犬では、1〜2粒でも胃腸に負担になることも少なくありません。
また、殻付きや味が付いたくるみは、さらに体調を悪化させるリスクが高まります。
基本的には、愛犬にくるみを与えることは避けましょう。
もし食べてしまった場合は、その量に関わらず、早めに動物病院を受診することがおすすめです。
(参考文献:Can Dogs Eat Walnuts? Can Dogs Have Walnuts? | akc.org)
Q2.犬にマカダミアナッツやアーモンドは大丈夫?
マカダミアナッツやアーモンドは、くるみと同様に脂質が多く含まれています。
胃腸に負担をかけて嘔吐や下痢を引き起こす可能性があるため、犬に与えることは控えましょう。
また、マカダミアナッツは犬に中毒を引き起こすと言われています。
その原因となる成分はまだ特定されていませんが、体重約1kgあたり約30gのマカダミアナッツを食べただけでも症状が現れる可能性があります。
症状としては、
- 震え
- 発熱
- 歩様異常
- 嘔吐
- 下痢
といったものが挙げられるため、絶対に与えないようにしましょう。
(参考文献:Can Dogs Eat Macadamia Nuts? | akc.org)
Q3.犬がくるみを殻ごと食べたらどうする?
犬がくるみを殻ごと食べた場合は、まずは動物病院を受診しましょう。
特に小型犬は体が小さいため、殻を丸ごと食べた場合、食道や小腸に詰まる可能性が高まるため、注意が必要です。
具体的な症状としては、
- 何度も吐く
- 食欲がない
- 下痢を繰り返している
- ぐったりする
- 震えている
- 動きたがらない
- お腹を触ると痛がる
といった様子が見られる場合は、特に早急に受診が必要であることも少なくありません。
放置すると、どんどん症状が悪化し、その分治療にも時間がかかる可能性があるため、注意しましょう。
(参考文献:Can Dogs Eat Walnuts? Can Dogs Have Walnuts? | akc.org)
【まとめ】愛犬の健康を思うなら、くるみは「与えない」が正解
ここまでの内容をまとめますと、愛犬にくるみは与えないことをおすすめします。
くるみは人にとって栄養価の高い食品ですが、犬にとっては決して安全なおやつとは言えません。
脂質が多いため、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす可能性があり、食べ過ぎれば肥満や膵炎につながるリスクもあります。
また、殻ごと食べた場合は、消化管を傷つけたり、腸閉塞を起こしたりする危険もあるため注意が必要です。
特にシニア犬や持病のある犬では、少量でも体調を崩すケースも少なくありません。
愛犬の健康を守るためにも、基本的にはくるみを与えないようにし、誤食した場合は早めに動物病院へ相談しましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム