2025/12/26
犬のフィラリア症は、蚊の吸血を介して感染したフィラリア(犬糸状虫)が原因で起こる感染症です。
一方で、フィラリア症は予防薬を適切に使用することで、ほぼ100%予防可能とされています。
現在、犬のフィラリア予防には
- 注射薬
- 飲み薬(錠剤・チュアブルタイプ)
- 滴下薬(スポットタイプ)
の3種類が主流となっていますが、そんな中で
「3種類のうちどれが一番いいの?」
「うちの子にはどれが合うのだろう?」
「それぞれの違いは何だろう?」
といった疑問や悩みを抱えてはいませんか?
本記事では、現役獣医師の意見をもとにそれぞれの予防法の特徴や費用、メリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、愛犬に最適なフィラリア予防薬を見つけてあげましょう。
(参考文献:Heartworm disease – Overview, intervention, and industry perspective|PubMed CentralⓇ)
【監修】うさパラ コンテンツ制作チーム
犬猫ペットのお薬通販輸入代行うさパラのコンテンツ制作チーム。専門知識を活かし、正確で分かりやすい情報発信を心がけています。 薬剤師 ・獣医師が在籍。
目次
フィラリア予防薬の3タイプを徹底比較① 注射
注射タイプのフィラリア予防薬は、1回の接種で1年間、フィラリア予防の効果が続く薬です。
注射で投与された薬の成分が体の脂肪組織などにとどまり、徐々に放出されることで長期間のフィラリア予防を可能にしています。
最大の特徴は毎月の投薬が不要で、飲み忘れなく通年でフィラリア予防を行うことができる点です。
一方で、注射後に体調の変化が見られるケースも報告されています。
また、注射が苦手な犬にはストレスになることもあるため、愛犬の性格や健康状態を考慮して、フィラリア予防薬を選択することが重要です。
(参考文献:Proheart | For Animal Healthcare Professionals zoetisus.com)
フィラリア予防薬の3タイプを徹底比較② 錠剤・チュアブル
錠剤やチュアブルタイプのフィラリア予防薬は、月に1回飲ませる方法で使用します。
フィラリア予防においては一般的な方法で、多くの飼い主様がこのタイプを選んでいます。
これらは「予防薬」と呼ばれているものの、実際は体内に侵入したフィラリア幼虫が成虫になる前に「駆除」をするための薬です。
月に1回、フィラリア予防薬を定期的に投与することで幼虫を駆除し、フィラリア症を予防します。
錠剤タイプは、その名の通り小さな固形の薬で、おやつなどに包む、または口に直接投薬する方法で使用します。
チュアブルタイプは美味しいフレーバーがついており、そのままおやつ感覚で与えられる予防薬です。
(参考文献:Heartworm Disease in Dogs, Cats, and Ferrets – Circulatory System | MSD Veterinary Manual)
フィラリア予防薬の3タイプを徹底比較③ スポットタイプ(滴下薬)
スポットタイプのフィラリア予防薬は、月に1回皮膚に塗布する方法で使用します。
首元などの皮膚に直接滴下することで、予防薬の成分を皮膚から吸収させる方法です。
皮膚から吸収された成分は、血流に乗って全身へ行き渡ります。
錠剤やチュアブルタイプと同様に、適切な用量・用法を守ることで高い安全性と有効性が確認されており、同等の予防効果があるといわれています。
ただし、使用前には皮膚の状態を確認し、異常がないことを確かめたうえで使用することが重要です。
また、使用後にシャンプーができない、塗布した部位に脱毛が起こるなどのデメリットもあるので、愛犬の性格や健康状態を考慮してフィラリア予防薬を選択することが重要です。
フィラリア注射と飲み薬どっちが安い?年間費用と通院回数で比較
では、フィラリア注射薬と飲み薬において、価格はどのような違いがあるのでしょうか?
まず、どちらの予防薬を使う場合でも、予防を始める前にはフィラリアに感染していないかどうかの血液検査を行うことが推奨されています。
そのため、検査費用はどちらの予防薬を使用しても変わりはありません。
また、一般的にフィラリア予防薬自体の年間での費用においても、注射薬も飲み薬も大きく変わりはありません。
注射薬は1回あたりの費用が高めになる一方、飲み薬は1回あたりの費用は抑えられますが、年間では注射薬とほぼ同様の費用となることが多いです。
ただし、地域や動物病院により価格は大きく変動しますので、注意しましょう。
フィラリア注射・飲み薬・スポットタイプのメリット・デメリット
ここまでは、主に3種類のフィラリア予防薬をご紹介しました。
では、それぞれの予防法にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
(参考文献:Heartworm disease – Overview, intervention, and industry perspective|PubMed CentralⓇ)
注射
注射タイプの最大のメリットは、毎月の投薬が不要で飲み忘れなく通年でフィラリア予防を行うことができる点です。
また、飲み薬が苦手な犬でも、動物病院で注射してもらうだけで予防ができる点もメリットとして挙げられます。
一方で、注射後に体調の変化が見られるケースがあり、因果関係は明確ではありませんが重篤な有害事象が報告された例もあります。
錠剤・チュアブル
錠剤やチュアブルタイプの予防のメリットのひとつに、安全性の高さが挙げられます。
さらに、さまざまな形状やフレーバーの商品が発売されているため、同じチュアブルタイプでも愛犬に合ったものを選ぶことができます。
デメリットとしては、毎月投与しなければならない手間や、飲み忘れによるフィラリアへの感染リスクなどが挙げられます。
また、投与後に嘔吐や下痢が起こると、薬が適切に吸収されないというデメリットもあります。
スポットタイプ
スポットタイプの一番のメリットは、飼い主様と動物への投薬のストレスが少ない点です。
スポットタイプは動物病院が苦手、または飲み薬が苦手な愛犬でも使用することができます。
デメリットとしては、薬が吸収されるまでシャンプーができないことや、塗布した部位の毛が抜けて生えなくなる場合があること、薬剤のにおいが残ることなどが挙げられます。
副作用のリスクはある?
フィラリア予防薬はどれも安全性が高いことで知られていますが、どの予防法においても副作用のリスクはゼロではありません。
特に有名な副作用が、コリー系の犬に見られる「MDR1遺伝子」の異常により起こるものです。
本来であれば、体内に入った薬の成分は、細胞に取り込まれてもすぐに細胞外に排出されます。
しかし、遺伝子の異常がある場合は成分が正しく排出されず、副作用を引き起こすことが知られています。
そのほかに、注射タイプであれば注射部位の腫れやアレルギー反応、元気消失、食欲不振などが見られることがあります。
過去に薬で体調を崩したことがある犬や持病がある犬の場合は、健康状態を考慮してフィラリア予防薬を選ぶことが大切です。
(参考文献:Proheart | For Animal Healthcare Professionals zoetisus.com)
(参考文献:Heartworm disease – Overview, intervention, and industry perspective|PubMed CentralⓇ)
うちの子にとってベストなフィラリア予防法は?
ここまではフィラリア予防薬のそれぞれの特徴と副作用を解説しました。
では、愛犬にとって最適なフィラリア予防法を選ぶには、どのような点を考慮すればよいのでしょうか?
まず1つ目として、薬が飲めるかどうか、といった点が重要です。
飲めるようであれば錠剤やチュアブルタイプ、飲めないようであれば注射やスポットタイプが適切でしょう。
2つ目として、愛犬の犬種や生活スタイルに合うかどうか、といった点が挙げられます。
フィラリア予防薬の副作用が出やすい犬種であれば、より慎重に、愛犬に適した予防薬を選んであげましょう。
また、皮膚病でこまめにシャンプーをしている犬や水を浴びる機会が多い犬などは、スポットタイプより錠剤やチュアブル、注射タイプが適切だと考えられます。
(参考文献:The Best Heartworm Prevention – PetBucket)
動物病院で相談
もしフィラリア予防薬を選ぶうえで判断に迷った場合は、自己判断せずに必ず動物病院で相談しましょう。
そうすれば、愛犬の性格や健康状態に合った適切な予防薬を提案してもらえるでしょう。
フィラリア予防薬は安全性が高いものの、副作用のリスクはゼロではないことに注意が必要です。
獣医師に相談する際のチェックリスト
また、動物病院を受診するにあたり、以下のようなことを予め伝えておくと、スムーズにフィラリア予防薬を提案してくれると思われます。
- 現在の健康状態
(体重や食欲、排泄、嘔吐の有無、治療中の病気の有無など)
- 投薬のしやすさ
(薬を飲ませるのが簡単か、おやつに包めば飲めるか、など)
- シャンプーの頻度
(月に何回程度シャンプーをするか、または水を浴びることがあるかなど)
- 外出の頻度や外出先
(森林などの感染リスクが高い場所にいくか、その頻度など)
- 過去の薬の副作用の有無
(フィラリア予防薬やそのほかの薬で体調を崩したことがあるか、など)
「フィラリア注射 飲み薬 どっち」に関するよくある質問
Q1.子犬はいつから予防を始められますか?
一般的に子犬に関しては、生後2か月頃から開始できる場合が多いです。
しかし、地域により蚊がいない時期に生まれた場合は、さらに遅くから予防を始めることもあります。
また、使用するフィラリア予防薬に月齢や体重の制限がある場合も、それを満たすまで予防を待つこともあります。
まずは自己判断せずに、かかりつけの動物病院に一度相談しましょう。
(参考文献:Essential Guide to Heartworm Prevention for Puppies – petscare.com)
Q2.フィラリア注射は保険適用されますか?
現在発売されている多くのペット保険では、フィラリア予防は病気の「治療」ではなく「予防」を目的としているため、補償の対象外となっている場合がほとんどです。
また、フィラリア予防目的のみで受診した際の初診料や再診料についても補償の対象外となることが一般的です。
その他、狂犬病や混合ワクチン、ノミ・ダニ予防も同様に補償の対象外となることが多いでしょう。
ただし、すでにフィラリア症を発症した後の「治療」であれば、状況により判断が異なる場合がありますので、正確な情報は保険会社へ確認しましょう。
Q3.途中で「注射→飲み薬」または「飲み薬→注射」に変更してもいい?
上述の通り、注射タイプと錠剤やチュアブルタイプはその効果の持続時間が異なります。
そのため、基本的に変更は可能と思われますが、切り替え時期に関しては自己判断せず獣医師の指示に従いましょう。
万が一切り替え時期の判断を誤ると、フィラリア症に感染するリスクが高まります。
また、切り替え時点でフィラリアに感染していないかどうかも確認した方が安心です。
【まとめ】愛犬にとって「最も確実で安全」な予防法を選ぼう
犬のフィラリア症は、フィラリア予防薬を適切に使用することでほぼ100%予防可能とされている病気です。
現在、犬のフィラリア予防にはさまざまな予防薬が発売されています。
確実に予防を行うためにも、愛犬に最適なフィラリア予防薬を選んであげることが大切です。
そのためには、愛犬の健康状態や投薬のしやすさ、それぞれの予防方法のメリット・デメリットなどを把握する必要があります。
そのうえで、かかりつけの動物病院と相談をし、本記事を参考にしながら最も確実で安全な予防方法を選択していきましょう。
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監修・うさパラ コンテンツ制作チーム